site_logo

光文社厳選!和食情報ナビ

story

NIPPONの「和食遺産」を巡る旅 静岡・浜松の「うなぎ」

世界の熱帯地域に生息し、
日本で食用とされているのはニホンウナギ。
養殖は明治時代に浜名湖で始まり、
稚魚のしらすうなぎを捕獲して成魚に育てる。
タンパク質、ビタミンA、Dが豊富。

倉本康子さん、富士を望む湖で滋味あふれる幸を食す

絶滅が危ぶまれ、ここ数年ですっかり高級食材になってしまったうなぎ。輸入物が主流となり、天然物はおろか養殖うなぎもいまや希少な食材に。
今回はうなぎの名産地として知られる浜松、浜名湖周辺を旅しました。

歴史ある浜名湖うなぎの養殖場を見学しました

うなぎ

浜名湖養魚漁業協同組合の組合長、内山光治さんは養殖歴約50年の大ベテラン。(左下)凄まじい勢いで餌に食いつく光景は衝撃。コート¥59,000ボーダーニット¥23,000パンツ¥19,000(すべてキャラ・オ・クルス)ピアス(私物)

うなぎ

透き通った小さなしらすうなぎがうなぎの稚魚。養殖は、浜名湖や天竜川河口で獲れた地元の稚魚を仕入れて育てるところから始まる。

伝統の養殖技術で安心、高品質なうなぎを育成

うなぎといえば、まず思い浮かぶのが浜名湖。明治時代に日本で初めて養殖を始めた地であり、100年余の歴史が浜名湖うなぎのブランドを確立してきました。
ところが、ニホンウナギは昨年ついに絶滅危惧種の指定を受け、なかなか口にすることができなくなってきています。気になる現状を伺いに、長年うなぎの取り扱い業務を行っている浜名湖養魚漁業協同組合を倉本康子さんが訪ねました。

倉本初めて養殖場を見せてもらいましたが、ビニールハウスの人工池で養殖しているとは意外でした。浜名湖の中で養殖するわけではないんですね?

――“けっこう勘違いされている人が多いのですが、細かい網目もすり抜けてしまうので湖のような広い場所で養殖するのは不可能です。浜名湖周辺に養殖池を造り、地下水を汲みあげて育てています。

倉本それは知りませんでした。外にある池は冬の間は使われていないのですか?

――場の需要が多いときは外の池も使いますが、基本的に冬も夏もハウスで飼育します。
うなぎは温暖な場所を好み、水温が低くなると餌を食べなくなり、冬眠をするので、常時30℃前後に設定してよく餌を食べる夏のような環境を整えています。
養殖は水温と水質を一定に保つことが大事で、昔から薬などは撒かず、塩を撒いて殺菌する方法をとっています。

倉本ひとつのハウスでどのくらいの数を育てているのですか?

――約4トン、2万匹ほどです。

倉本そのハウスが何面もあるわけですから相当な数ですね。
そもそもこのあたりでうなぎの養殖が発展した理由はなぜですか?

――気候が温暖で、養殖に適した地下水に恵まれていたこと、何より稚魚のしらすうなぎが豊富に獲れたからでしょう。

倉本その稚魚が最近は獲れなくなってきたんですよね。近い将来うなぎは食べられなくなるといわれていますが、天然うなぎだけでなく、養殖のうなぎも減少しているのですか?

――養殖も稚魚を池入れするところから育てるので、稚魚が獲れなくなると当然減少する一方です。

倉本しらすうなぎも初めて見せていただきましたが、どのくらいでうなぎに成長するのですか?

――半年から1年くらいで生育しますが、負担をかけないように漁協では1年以上を基本に、飼育記録をつけて大事に育てています。
もちろん、しらすうなぎは浜名湖や天竜川河口で獲れた100%地元産のものだけです。

倉本しらすうなぎはどうして獲れなくなっちゃったのですか?

――ほかの魚も同様で、温暖化や異常気象、乱獲などさまざまな要因が考えられると思います。
ニホンウナギは熱帯地域に生息し、夏にマリアナ諸島の西海域で産卵して北赤道海流と黒潮にのって秋から翌春にかけて日本の沿岸に回遊してきます。
その後しらすうなぎに成長し、海や川に遡上してきたところを捕獲するのですが、昔は佃煮にするほど獲れたものです。

倉本今はかなり危機的な状況ですか?

――昨年は比較的好漁でしたが、年々減少傾向にあることは変わりません。

倉本ここで加工もしているのですか?

――衛生管理された工場で手作業で捌き、ばらつきが出ないように機械化された工程で白焼きにし、急速冷凍して出荷しています。
ロット番号によって生産履歴もHPで確認できるようになっています。

倉本それは安心ですね。浜名湖うなぎはどこで食べられますか?

――浜松駅の近くに直営店がありますし、駅構内と百貨店では蒲焼きや白焼きの販売もしています。
これから店にご案内しますので、ぜひ味わってみてください。

倉本やった! 久しぶりに堪能させていただきます(笑)

うなぎ

組合に運ばれたうなぎは、太さや長さによって手早く選別されます。やっこちゃんも果敢に手摑みに挑戦しました。

うなぎ

白ニット¥19,000ストライプシャツ¥14, 000デニムパンツ¥24,000(すべてキャラ・オ・クルス)

  • 白焼き白焼きを蒸してから3度タレに浸けてパリッと焼き上げます。香ばしい匂いに思わずうっとり。
  • まぶし茶漬けまぶし茶漬けも人気の定番。お好みでおだしをかけていただきます。¥2,350
  • 白焼一品料理の白焼¥2,000、うざく(蒲焼ときゅうりの酢の物)¥900はお酒とも好相性。
肉厚で脂がよくのった浜名湖うなぎは絶品!
浜名湖うなぎを味わえる漁協直営店もあります
丸浜

丸浜

浜松駅直結で利用しやすく価格もお手頃

浜松駅に隣接するビルの1階にあり、1日通して営業している使い勝手のよい店。漁協の直営店なので、正真正銘の浜名湖ブランドのうなぎを安心して味わえます。関東風に蒸してから焼き上げる蒲焼きは身がふっくらやわらかく、旨みがたっぷり。旅の帰りにうなぎ弁当を買って、作りたてを新幹線の中でいただくのもおすすめ。

浜松市中区砂山町322-4 ビックカメラ館1F / ☎053-454-2032
営業:11:00〜20:30(20:00L.O.)無休

うなぎの本場にはさまざまな味わい方がありました

うなぎの養殖場発祥の地だけあって、浜松市は
1世帯当たりの「うなぎの蒲焼き」の購入額が全国一という総務省の統計(2009年〜2011年)があり、
市内にもうなぎ料理の名店が数多く点在しています。
定番のうな重や白焼きだけでなく、ひつまぶしやお茶漬け、柳川風などバラエティに富んだ味わい方が楽しめます。
徳川家康公も好んで食したという、とろろと一緒に味わうなど、斬新なメニューに出合えるのもご当地ならでは。

とろろとうなぎ、こんなに相性がいいなんて驚き

ボーダーニット¥19,000クロスペンダント¥8,400
(ともにキャラ・オ・クルス)ピアス(私物)

うなぎの村こし

うなぎの村こし

4〜5通りの食べ方で楽しめる大人気の「うなぎとろろ茶漬」

138年の歴史を誇る「中川屋」の支店。老舗の味を守りながらオリジナルメニューも充実させ、名物の「うなぎとろろ茶漬」や「天龍丼」など、とろろと組み合わせたメニューが評判です。うなぎは天竜川の伏流水で3〜4日生かして臭みを抜いて身を締め、蒸してから焼き上げる関東流で、オープンキッチンの店内もモダンな雰囲気。

浜松市中区中央1-10-1 / ☎053-456-5454
営業:11:00〜14:00、17:00〜20:00(L.O.)休み:水曜(祝日の場合は営業)

  • ヌルヌルして摑みにくいけどおもしろ〜い!
  • うなぎ
  • (左)多彩な味のバリエーションが楽しめるうなぎとろろ茶漬はお吸い物とデザート付き。¥3,800
    (右)キャビア(ランプフィッシュの卵)をのせた白焼きはワインとの相性も抜群。¥2,500
  • そのままで
    そのままで
    まずは、そのままうなぎ丼で。創業以来、継ぎ足しの秘伝のタレと香ばしい焼き具合を堪能。
  • 薬味をのせて
    薬味をのせて
    白髪ネギとワサビをのせて味の変化を味わったら、さらにだしをかけてお茶漬けに。
  • とろろをのせて
    とろろをのせて
    3膳目はとろろをのせて。またガラッと異なる味わいが口の中に広がります。
  • とろろ茶漬けにも
    とろろ茶漬けにも
    締めはうなぎとろろ茶漬けに。カツオと昆布の上品なおだしであっさりいただけます。

撮影/谷口 京 モデル/倉本康子 スタイリスト/加藤万紀子 ヘア・メーク/高梨 舞 取材・構成/秋山美英