和食STYLE

EATRAVELLER HIROE の女子美食旅 ㊼ パリ「 Le Clarence(ル・クラランス)」

呼吸を整えこの邸宅の門をくぐる瞬間、期待で胸が高鳴りました。 パリの華やかな美食界の精鋭たちが集う美食の聖域、Le Clarence(ル・クラランス)はパリを代表するミシュラン2つ星の名店。
19世紀の風情を残す贅沢な空間で極上のエクスペリエンスを約束してくれます。 ここはワインの品揃えも一級品。オーナーがボルドーの名門ワイナリーの主でもあるため蔵出しのワインが楽しめます。 そしてワインと共に楽しむシェフのクリストフ・ペレ氏が生み出す料理はモダンで独創的な芸術品そのもの。 コースの大部分がシーフードで構成されていますが、ペレ氏が紡ぎ出す唯一無二のセンスには驚くばかりです。

ブリオッシュはまさに芸術性の極み。 幾重にも重なる層が見目麗しくしばし見とれます。口に含めば儚く消えていくバターの豊潤な味わいとテクスチャーは圧巻です。

メインのホロホロ鳥、鳩とフォアグラのトゥルテは、言うなれば巨匠の手によって生み出された傑作。見た目の美しさと、口に運ぶと広がる贅沢な味わいはただ驚嘆するばかり。美しい層をなすトリュフとコクのあるジュが絶妙に調和し、ベルベットのように滑らかなポテトのピュレとの組み合わせは見事なまでに繊細。食べ進むにつれ五感が刺激されます。

テクスチャーと塩味とのバランスが絶妙な” Caviar sur anguille”(キャビアと鰻)。 蒲焼のタレのような砂糖入りマリネ液で鰻をマリネし、炭火でこんがりふっくら直焼きに。キャラメリゼのように焦がし、甘やかな風味と鰻の脂、燻製香が相まって類稀なるハーモニーが生まれます。キャビア・オシェトラをたっぷり盛り付けリコッタクリームと共にいただきます。

20皿にも及ぶ珠玉の料理を通じて、眼福、口福、そして心からの満足。 洗練されたテイストと華やかさを兼ね備えたペレ氏の才能には瞠目せざるを得ません 。 驚きと感動は絶えることなく、あっという間の4時間でした。 この至福のひとときを心に刻み、再訪を誓うのでした。

評価基準
わざわざ度:わざわざ旅する価値があるか
食材への愛:生産者さんへのリスペクト、食材のポテンシャルをどこまで引き出せるか
地産地消度:地元で生産されたものをどれだけ消費しているか
唯一無二度:いわゆるオリジナリティ
リピしたい度:わざわざ行ってみて尚再び行ってみたいか

わざわざ度 ★★★★★

食材への愛 ★★★★

地産地消度 ★★★★

唯一無二度 ★★★★★

リピしたい度 ★★★★★

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大野ひろえ

美食を求め旅するEATRAVELLER. その土地ならではの食材を使ったディスティネーションレストランからB級グルメまで幅広く巡ります。趣味は変態料理人探し。
https://www.instagram.com/hiroeono/