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光文社厳選!和食情報ナビ

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NIPPONの「和食遺産」を巡る旅 鳥取の「松葉がに」

鳥取、島根、兵庫北部など山陰地方で獲れる雄のズワイガニ。福井では越前がに、京都では間人がにと、水揚げされる場所で呼称が異なる。
資源保護のため漁期は11月6日〜3月20日、甲羅の幅が9㎝以上と定められている。

榊ゆりこさん、冬の山陰で、味覚の王様を食す

「鳥取県は、蟹取県へ改名しました」と、知事自ら公言したことで話題を呼んだ鳥取県。
今月は、山陰を代表する冬の味覚、松葉がにを求めて鳥取東部の岩美町に出かけました。
首都圏ではなかなか味わうことができない松葉がにのフルコースや、親がにを使ったおふくろの味など蟹取県ならではの美味を堪能しました。

県内一の松葉がに漁獲量を誇る網代漁港を訪ねました

ズワイガニ

4日ぶりに寄港した松葉がに漁船の山下船長に獲れたてのかにを見せてもらいました。ボーダーニット¥15,000デニムシャツ¥24,000ホワイトデニム¥19,000(すべてアン レクレ)

ズワイガニ

サイズや状態によって仕分けされたかにがズラリと並ぶ中でセリが行われ、威勢のいい声が響きます。

ぎっしり身が詰まった上品な旨みが特徴

今回、榊ゆりこさんが旅をしたのは、かにの水揚げ量&消費量日本一の鳥取県。松葉がに漁のシーズン最盛期で活気づく網代漁港で水揚げの様子を見せてもらいました。

松葉がには、ズワイガニのことですよね?

“松葉がに” は山陰地方での呼称で、雄のズワイガニを指します。雌も地方によってコウバコガニやセイコガニなど、呼び方が異なりますが、鳥取県では“親がに”と呼ばれています。

雌は、たしか短期間しか味わえないんですよね?

漁期は資源の保護を考慮して、雄が11月6日〜3月20日まで、雌は12月いっぱいまでと定められ、雌の漁が終わると“若松葉がに”という脱皮したての雄の漁が始まります。雌は1年のうち、たった60日ほどしか味わえません。

松葉がにの漁はどのように行われるのですか?

底曳網漁です。港を出た船は3〜4日間戻らず、24時間操業で漁を行います。

過酷な漁ですね。港に戻ったらすぐセリが始まるのですか?

大きさや足の本数、傷の有無などによって仕分けしてセリにかけます。活かしたまま行うのでスピード勝負です。

やはり大きいものほど身が詰まっていて美味しいのですか?

大きさというよりずっしり重いものが美味しいです。かには脱皮を繰り返しながらゆっくり成長するため450〜500gになるのに7年ぐらいかかります。1・5〜1・8㎏級になると15〜16年は経っています。
鳥取沖の松葉がには、越前がにと比べると第2、第3関節が短くてずんぐりしていて見た目以上に重たいものが多く、質は最高といわれています。

そういった最上級のものにブランドタグが付くわけですね。

甲羅の幅が11㎝以上で10本全足揃っていて、傷のない最上級品だけに水揚げ漁港と船名を記したタグが付けられます。

甲羅に付いた黒いポツポツが多いほうが美味しいのですか?

黒い点は、実はかにだけに付くヒルの卵で、脱皮してから時間が経ったかににたくさん付いているため、身入りのよさの目安になっています。

え〜っ! ヒルの卵だったんですか?
そう聞くとちょっと気味が悪いけど、身がたくさん入っている証しなんですね。

こちらで浜茹でもしているので、まずは獲れたて、茹でたての松葉がにを、味見してください。

わぁ〜♡ ではお言葉に甘えて。…………。
美味しすぎて無言になっちゃいます(笑)。こんなに贅沢な食べ方をしたのは初めて。松葉がには最強の食材ですね!

  • 浜茹
  • 浜茹
  • 浜茹

浜茹では、塩加減が味の決め手に。海水に近い塩分濃度が美味しいそう。
活きたまま熱湯に入れると驚いて足がはずれてしまうので、真水に浸けてから茹でるのがポイント。

漁協女性部に地元に伝わる美味しいかに料理を教わりました

「高級な松葉がには、地元でもなかなか口にできない代わりに広く親しまれているのが雌の親がにです」と話してくれたのは、
網代漁協女性部の下根鈴江さん。毎年漁が解禁になると、ほとんどの家で作られるのが“親がにの味噌汁”だそう。
「短冊切りにした大根を一緒に入れるのが特徴で、家によっては大根をすりおろしてみぞれにするところもあります。
親がにはスーパーなどでも3〜4杯千円ほどで買えるので、炊き込みご飯などもよくします。
小さいので身を出すのが手間ですが、足をハサミで切って麺棒で押し出せば簡単です」と、
下ごしらえのコツやおすすめの食べ方を紹介してくれました。

  • レース使いニット¥18,000ホワイトデニム¥19,000(ともにアン レクレ)
  • 親がにの味噌汁「親がにの味噌汁」は
    県民のソウルフード
    冬になると各家庭で作られる最もポピュラーなかに料理。親がには半分に切って殻ごと入れたり、身を出して入れる家も。かにのだしがしみ込んだ大根が絶妙だそう。
  • 煮がに甘辛く炊いた「煮がに」は
    ハレの日のごちそう
    松葉がにを醬油、酒、砂糖、みりんで甘辛く味付けして、かに味噌と一緒に煮た豪快な漁師料理。足が取れてしまったりしたかになどを利用するそう。
  • 松葉がに丼かに味噌と大ぶりの身を贅沢に
    使った絶品「松葉がに丼」
    松葉がにの身をほぐしてかに味噌と和え、さらに足の身をたっぷりのせてごはんと一緒にいただく超ぜいたく丼。淡泊な身を濃厚な味噌と絡ませれば極上の味わいに。
  • 親がにの全部のせ宝石箱のような
    「親がにの全部のせ」
    松葉がにの身をほぐしてかに味噌と和え、さらに足の身をたっぷりのせてごはんと一緒にいただく超ぜいたく丼。淡泊な身を濃厚な味噌と絡ませれば極上の味わいに。
  • 親がにのかに飯「親がにのかに飯」は
    ほっこり美味しい家庭の味
    かにを茹で上げた出汁を使って、酒、醬油、みりんを加えて炊き上げたごはんに、親がにの内子、外子、身をほぐして混ぜ合わせた地元飯。
  • 新鮮さが違うから現地で食べるのがいちばん!

ちょっと贅沢に松葉がに尽くしのコースも楽しみました

鳥取県で松葉がにが水揚げされる網代港、境港、賀露港、田後港周辺の食事処や旅館には、
11月6日の漁のスタートとともに多くの観光客がかに料理を目当てに訪れます。
茹でがに、焼きがに、かにすきはもちろん、獲れたてだからこそ味わえるプリップリのかに刺しやかに味噌の甲羅焼きなど、
さまざまなかに料理を御膳や会席、フルコースで楽しめます。
鳥取には名湯も点在しているので、冬は松葉がにと温泉をセットで堪能する旅もおすすめです。

松葉がに

トップス¥9,800ネックレス¥5,500(ともにアン レクレ)

旬魚 たつみ

旬魚 たつみ

野尻湖周辺で四季を通じて多彩なアウトドアプログラムを体験できる

松葉がにの本場・岩美町にある地魚料理の人気店。モサエビや白イカ、ばばちゃんなど地元でしか味わえない旬の魚を楽しめるのが魅力です。タグ付き松葉がにを1人1杯半使用する贅沢なフルコースは鍋、茹でがに、お造り、天婦羅、甲羅焼きに赤ガレイ等の煮付けや茶碗蒸し、小鉢、鍋の〆のごはんが付いて¥11,000〜。松葉がに会席や松葉がに御膳などメニューも充実。

岩美郡岩美町浦富2475-240 / ☎0857-72-8700
営業時間:11:30〜14:00、17:00〜21:00(L.O.)/ 休み:火曜 要予約
特選松葉がに会席¥8,000、松葉がに御膳¥5,000

  • 松葉がに
  • 焼きがに
  • 活がにの味噌
  • かに刺しと旬の魚3種のお造り
  • カツオ出汁のかに鍋

フルコースはタグ付きの最上級の松葉がにを使用。さっとお出汁にくぐらせると花が咲くのは新鮮さの証し。焼きがにも人気の定番。ぷっくりと膨らんだ身を頰張れば、香ばしさと上品な甘味が口中に広がります。活がにの味噌は火を入れると自然に固まるそう。焼きがににつけて食べると悶絶の美味しさ。身が透き通ったとろけるような甘さのかに刺しと旬の魚3種のお造り。写真は鰆のたたき、ハマチ、カレイの子を茹でて和えた〝カレイの子まぶり〟。カツオ出汁のかに鍋は、白菜を入れてかにの味をしみ込ませるのがポイント。〆の雑炊も絶品。

影/谷口京 モデル/榊ゆりこ スタイリスト/加藤万紀子 ヘア・メーク/高梨舞 取材・構成/秋山美英