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NIPPONの「和食遺産」を巡る旅 山形・鶴岡の「だだちゃ豆」

山形県鶴岡周辺の限られた地域限定の枝豆品種で、江戸時代から農家に受け継がれてきた在来種。
市場に出回るのは7月末から40日ほどで、お盆過ぎから最盛期を迎える。
コクの深い甘みと芳ばしい豆の香りが特徴。

倉本康子さん、酒処・庄内で、おつまみの王様を味わう

ビールの美味しい季節となりました。おつまみに欠かせない枝豆も旬を迎えています。
今月は、枝豆の最高峰と名高い「だだちゃ豆」の故郷、鶴岡を訪ねました。

枝豆の最高峰「だだちゃ豆」の生産者に美味しさの秘密を教わりました

生産者の五十嵐渡さんの畑にお邪魔しました。ストライプ×レースブラウス¥16,000デニムパンツ¥23,000(ともにアンレクレ)
除草と土寄せ

鶴岡の限られた地域だけで栽培されているだだちゃ豆。
こまめに除草と土寄せを繰り返すことで美味しい豆が育つ。
取材時は、まだ小さな実が生り始めたばかり。

だだちゃ豆

うぶ毛が茶色で2粒さやが主体。
旨み成分であるアミノ酸の一種アラニンが多く含まれている。

代々受け継がれてきた門外不出の在来種

山形県の日本海沿岸地域、庄内地方は日本有数の穀倉地帯として知られていますが、南部に位置する鶴岡は、近年人気のだだちゃ豆の産地としても注目されています。
“日本一美味しくて、日本一高価な枝豆”と称されるだだちゃ豆の産地を訪れたのは、自他共に認めるビール愛好者のやっこちゃん。
ビールのお供に最高の枝豆はいかにして作られるのかを確かめに、まずは畑にお邪魔しました。

倉本最近はいろいろな種類の枝豆が出ていますが、だだちゃ豆はダントツに美味しいですよね。
そもそも、だだちゃ豆という名はどこから来ているのですか?

――“だだちゃ”は、庄内地方の方言で“お父さん”という意味で、鶴岡が庄内藩だったころ、枝豆好きな殿様が、毎日城下から持ち寄らせては「今日はどこのだだちゃ(お父さん)の枝豆か?」と尋ねたことからその名が付いたといわれています。

倉本そういうことですか。ということは、江戸時代から評判の味だったんですね。
昔も今も鶴岡周辺が最大の生産地なのですか?

――山形の特産品と思われている方が多いようですが、鶴岡の限られた地域だけで栽培されている限定品種がだだちゃ豆です。知名度が高まるにつれて類似品が出回ってきたため、平成9年にJA鶴岡で「だだちゃ豆」の商標使用権を獲得しています。

倉本限られたエリアでしか作られていないものとは知りませんでした。
一般的な枝豆と風味が違うのは栽培されている土地のせいですか?
美味しさの違いはどこにあるのでしょうか?

――ほかの枝豆とのいちばんの違いは種です。鶴岡周辺の農家に代々受け継がれてきた門外不出の在来種であること。あとは、昼夜の温度差が大きいことや、水はけのよい砂土の土地であることなど、栽培に適した自然条件も加わって、独特の味わいが生まれます。風土の持つ力は大きくて、鶴岡以外の土地で栽培しても同じ味にはならないと聞きます。

倉本鶴岡で採れた種と鶴岡の土で育てたものしかだだちゃ豆にはならないということですか……。
それってすごいことですね。味以外にも粒の大きさなど、特徴はありますか?

――うぶ毛が茶色でさやの色も薄く、2粒のさやが多く、くびれがはっきりしているのが特徴で、ひと枝に生る実の数が極端に少ないんです。

倉本だからお値段も張るわけですね?
2粒っていうのも初めて気づきました。ふつうの枝豆は3粒や1粒も混ざっていますよね?

――もちろん全部が2粒というわけではないです。選別するとき1粒などははじいて、フリーズドライにしたり、お菓子などの加工品に使います。

倉本希少ですから無駄にはできませんよね。旬の時季は8月中旬でしたっけ?
早く出てくるものもありますが、だだちゃ豆の中にも品種があるのですか?

――現在10種類ほどありますが、JA鶴岡が認定している品種は6種類です。最も早いもので7月下旬から出荷がスタートし、お盆のあたりから8月下旬にかけて出荷する「白山」という品種が最も有名です。

倉本品種によって味も違うのですか?

――やはり微妙に違います。8月上旬に出荷する「甘露」は甘みがあり、「白山」は風味が豊か。9月頭から中旬に出荷する「大浦」は、さやも大きく食べ応えがあります。店頭に並ぶ際は、「だだちゃ豆」のマークだけで、品種名までは記載されませんが、早生や晩生など、出荷の時期によって種類は異なります。

倉本収穫量もその年によって差がありますか?
やはり天候に左右されたりも?

――昨年は雨が多くて不作でした。もちろん天候にも左右されますが、だだちゃ豆は暑さに弱いため収穫時間にも制限があるんです。熱がこもらないよう朝4時~5時の涼しい時間帯に収穫しますが、午前中は10時まで、午後は3時以降と決められています。

五十嵐さんの奥様に茹で方を教わりました。迷彩ショート丈トップス¥8,500ネックレス¥6,500デニムパンツ¥23,000(すべてアン レクレ)

鮮度が命。夜明け前に収穫し、温度管理を徹底

倉本けっこうデリケートなんですね。ということは、採れたてを現地で味わうのがいちばん美味しいのでしょうね。でもこの畑には小さな青蛙がたくさんいるし、虫食いの葉っぱもあるので、新鮮で元気なだだちゃ豆が育ちそう!

――もちろん農薬は極力使わないようにしていますし、収穫したらすぐに枝からさやをはずし、ひとさやずつ選別してから袋に詰めて、冷蔵庫で保管します。新鮮さを保つために、朝採れのものは昼には出荷し、運搬にも保冷車を使用して温度管理を徹底しています。

倉本その手間が美味しさの秘密なんですね。
鮮度が大事ということは、購入したらすぐ茹でるほうがいいですか?

――そのほうがいいですね。茹で加減は硬めのほうが美味しいです。

倉本茹で上がったら水で冷やすとか、広げて団扇であおぐとか、扇風機で冷やすとか、茹で方も諸説ありますが、地元ではどのような茹で方をしているのですか?

――あまり面倒なことはしないので、通常は、沸騰したお湯に塩を入れ、2~3分茹でたらざるに上げて氷水で一気に冷やします。仕上げに塩をふって、まんべんなくなじませたら冷蔵庫に入れて冷やしてから食べるのがいちばん美味しいと思います。

倉本本当にサッと茹でる程度でいいんですね。茹でたてのホクホクしたのも美味しいけど……。
冷やして味わうほうがポピュラーなんですか?」

――冷やして食べるのが一般的ですね。氷水にさらすと水っぽくなるという人もいますが、団扇であおいでも均一には冷えないので、やはり氷水で一気に冷やす方法を勧めています。

倉本今度試してみようと思います。それにしても、つまみ始めたら止まりませんね。お天気もいいし、早くビールが飲みたいで~す(笑)

美味しい茹で方のポイントは、硬めに茹でて一気に熱を取り、よく冷やすこと

  • 美味しい茹で方のポイント大きな鍋にたっぷり水を入れて沸騰させ、塩をひとつまみ加える。
  • 美味しい茹で方のポイント沸騰した湯の中にだだちゃ豆を入れ2~3分置き、さやが半開きになったらざるに上げる。
  • 美味しい茹で方のポイント氷水の中に茹で上がっただだちゃ豆を入れて一気に冷やし、すぐざるに上げる。
  • 美味しい茹で方のポイント仕上げに塩をふり、ざるを揺すってよく混ぜ、冷蔵庫で冷やして塩を全体になじませて食す。

だだちゃ豆のコクの深い旨みは料理の素材としても最高です

  • だだちゃ豆グラタンセットはサラダ、ス-プ、バゲット、デザート、コーヒー付き¥1,575フリル袖ブラウス¥7,900イヤリング¥4,800(ともにアンレクレ)
  • もっちりとしたお米の食感に、だだちゃ豆の甘みがアクセントに。だだちゃ豆ごはんは8月いっぱいまでの期間限定。

ほかの枝豆に比べて収穫量が少なく、高価なだだちゃ豆は、茹でておつまみとして味わうことがほとんどですが、地元鶴岡には、だだちゃ豆をごはんやソースにアレンジしてメニューに取り入れているレストランやスイーツ店も人気を集めています。
さっそくやっこちゃんも地産地消をテーマとするレストランで、だだちゃ豆を使ったメニューをいただきました。
「デザートに使うのはなんとなく想像できますが、ソースに使うというのは新鮮ですね。粒が入っていなくてもしっかりとだだちゃ豆の風味が口の中に広がって、美味しいです! ビールのおつまみだけでなく、こんな食べ方もできるんですね」。
フリーズドライやアイスクリームなどの加工品も豊富で、お土産におすすめ。

食事処 地産地消の店 スカーゼ

撮影/渡辺晃行 モデル/倉本康子 スタイリスト/加藤万紀子 ヘア・メーク/大平千紗子(pinica) 取材・構成/秋山美英