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光文社厳選!和食情報ナビ

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WASHOKUでおもてなし Vol.1

大森由紀子さん私がジャン=ポール・エヴァンさんをもてなすなら……

和食通も多いフランスからのお客様も満足の「本物」を吟味

仕事絡みでおもてなしをする海外からのお客様はフランスからが中心です。それも食の仕事に携わるプロばかり。私のフランス修業時代からの古い友人、ジャン=ポール・エヴァンさんもその中のおひとり。パリはヨーロッパで一番日本料理店の多い街ですし、みなさん自称和食通。でも折角ですから、パリでは味わえない日本ならではの和食に触れていただきたいと思い、いつも苦心しています。
そんな時に頼りにしているのが、今回ご紹介する「銀座割烹 里仙」さんです。夜になると華やかになる金春通り沿いにある割烹で、私の目当ては無垢檜の一枚板でできたカウンター席。フランス人に限らず、外国人は日本人の想像以上に靴を脱ぐことに抵抗がある方が多いので、和室ではなくカウンターのほうがリラックスしていただけるんです。カウンター越しに覗く調理風景に、食のプロはみんな興味津々で、食材だけでなく調理器具やしつらえに至るまで質問が続出。自然に会話も弾みます。

銀座割烹 里仙

フランス菓子・料理研究家。学習院大学フランス文学科卒。パリ国立銀行東京支店勤務後、パリの料理学校で料理とお菓子を学ぶ。
毎年夏にはフランスへのツアーも企画。今年は8月22日から10日間の予定でボルドー、サンテミリオン、ロックフォール、トゥールーズなどを廻るコース。
詳しくはブルーエコーツアーズ(info@blueeho.net)まで。

焼物

ライブ感のあるカウンターで日本料理の旬を堪能

里仙さんのカウンターの魅力=料理長の鈴木さんの魅力です。私は専門がフランス菓子なので、おもてなし相手に和食の細かな旬や器、素材について説明できないこともありますが、そこを知識豊富な鈴木さんが何でも教えてくださいます。
カウンター越しに伺うお話は、日本人の私でも知らないことも多く勉強になります。
気さくなお人柄で、深い知識をさりげなく時には冗談を交えて話してくださるので、誰もがその魅力の虜に。
また、店内には貴重な掛け軸や器、絵画がさりげなく飾られていて和食を楽しむのにふさわしい贅沢な空間。かといって、肩肘張った感じではないのがいいんです。
お酒をいただくグラスもアンティークのバカラや特注の楕円形をしたワイングラスなど様々。器も季節感あふれるものばかり。
今回お伺いした時には竹筒に網をのせ、笹を敷いた上に活き鮎をのせ煙を出しながらサービスされる焼き物など、プレゼンテーションにも目が奪われました。
夜の天仙のコースはデザートも2品。和食のお菓子の技法や素材づかいは、今フランスでとても注目されていますから見逃せません。
香り高い無垢檜のカウンターでの食事はどんな相手でも満足してくれること確実。私のおもてなしの強い味方です。

料理長

料理長の鈴木良二さんは昭和25年神奈川県生まれ。数々の割烹、旅館で料理長を歴任し、宮内庁御用達の料理人を数多く輩出。
東京に30人もいない難関の〈日本料理マイスター〉の称号を持つ実力派。銀座里仙では2012年10月の開店と共に総料理長に就任し、現在に至る。

客室

カウンター奥に飾られているのがフォルムが魅力の柿右衛門の壷、席後ろには金を贅沢に使った輪島塗のお椀や文化勲章・文化功労賞受賞の藤田喬平氏の作品など美術館級の工芸品が並んでいます。

カウンター

オーナーがこのお店を作るきっかけにもなったという、たっぷりとした厚みのある無垢檜一枚板のカウンター。
ほのかな香りが感性を刺激して料理の味わいを一段と引き立ててくれます。

日本酒とチョコレートのマリアージュを企画するほどの日本酒通でもあるエヴァンさんには、オバマ大統領のお土産にも使われたという山口県産の日本酒の獺祭を。
HP(http://asahishuzo.ne.jp)にフランス語の表記もあり、細かなニュアンスまで理解してもらえるそう。

選んだ理由

料理だけに限らない和食の奥深さを知っていただければ

撮影/鍋島徳恭 ヘア&メーク/丸山智路(ラ・ドンナ) 取材・文/安西繁美