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御神酒を納める東京の老舗酒店で白酒、角打ちのルーツに迫る!

正月や結婚式のお祝い、祭り、はたまた地鎮祭など。神事とは切っても切れない日本酒。新年をつつがなく過ごすべく、神前に供える御神酒を探ろうと、神社好きの前川泰之が東京の老舗酒店を訪問した。
図らずも白酒と角打ちのルーツという同店。御神酒をいただく前から早くもご利益に恵まれ、幸先のいい滑り出し。旨いだけじゃない、暮らしを彩る行事に根付いた日本酒の魅力をお届けする。

前川泰之のSAKEを巡る冒険

ありがたい御神酒をいただき新年もますます日本酒運アップ!

コート¥86,000ニット¥28,000(共にデザインワークス/デザインワークス ドゥ・コート銀座店)シャツ¥28,000(ボルゾネッラ/ストラスブルゴ)パ ンツ¥15,000(アバハウス/アバハウス ラストワード原宿店)

不易流行“をモットーに歴史を受け継ぐ老舗酒屋へ

おみき【御神酒】神前に供える酒(出典/広辞苑)。日本酒は日本酒でも、お正月や結婚式で口にすることがある、ありがたいお酒。今回伺ったのは東京最古の酒店「豊島屋本店」。創業1596年(慶長元年)、江戸の神田・鎌倉河岸で初代の十右衛門が酒屋兼一杯飲み屋の商いをはじめたのが起源だとか。
酒とおつまみに豆腐田楽を提供して大繁盛したという、角打ちの元祖というワケ。さらに白酒※1を製造・販売し、ひな祭りに売り出して江戸中の評判になったとか。
「明治時代に兵庫・灘※2で清酒「金婚」の酒造りをはじめ、昭和初期に曾祖父の政次郎が東村山に酒蔵を移し、今日に至ります」とは、16代目の吉村俊之氏。古くからのご縁で、明治神宮と神田明神に唯一の御神酒として納めているそうだ。吉村氏によれば、御神酒は神棚に捧げても、すぐに飲んでもいいらしい(←すぐ飲む派)。

「豊島屋本店」では古くから奉納を続ける一方で、新しい日本酒造りにも積極的だ。例えば、微発泡ながらアルコール度数14度と高めの「綾」は、名前に反してキリリとした辛口で男前な味わい。やばい、ゴクゴクいけちゃう。
創業者の名前を冠した「十右衛門(じゅうえもん)」は口当たりが柔らかく、次第に味と香りが広がって、後口はさらり。仕込み水は地下150メートルから汲み上げる富士山の伏流水。軟水というのも、飲んでみると実感できる。粋でいなせな江戸っ子らしい味わいだ。いいぞ、オレ。表現が実に的確!(←自画自賛)。東京・蒲田の酒屋組合と共同開発した「羽田」は、羽田空港内で売り上げナンバーワンの酒というからスゴイ!
400年以上続く老舗の名店とはいえ、明治維新では武家や大名から取り立てができず、関東大震災と空襲に見舞われ、3度も潰れかけたことがあるそう。歴史を感じさせるよね。
東京に酒蔵※3があることを広く知っていただきたいですね。変わらないものと、時代に合わせて変えるべきものがある„不易流行“をモットーに次代につなげていきたい」と、吉村さん。いつにも増して収穫の多い冒険だった。
古くからの言葉に「御神酒あがらぬ神はない」とあるけれど、つまり神様でさえ酒を飲む、人間が酒を飲むのは当然だ、ってこと(←口実)。御神酒で日本酒運アップのご利益を授かりに、明治神宮&神田明神へ参ろうゾ。

豊島屋本店

  • 豊島屋本店
  • 豊島屋本店
  • 吉村俊之氏
  • 初代・十右衛門
  • 曾祖父・政次郎氏
  1. 「豊島屋本店」が納める御神酒。左が明治神宮、右が神田明神の御神酒。明治神宮は創建当時から納めている。
  2. 左から、金婚 微発泡 純米うすにごり生酒 綾(AYA)、純米無濾過中取り生原酒 十右衛門、純米無濾過原酒 十右衛門、大吟醸 金婚。
  3. 「豊島屋本店」では試飲も可能。東京の地酒は晩酌はもちろんのこと、贈り物にも喜ばれること請け合い。女性ならどんな料理にも合わせやすく、微発泡で辛口の純米うすにごり生酒「綾」を。日本酒好きには味がふくよかな江戸前の酒「十右衛門」をお勧めしたい。
  4. 「豊島屋本店」16代目当主の吉村俊之氏。京都大学大学院修了後、日立製作所で半導体技術の基礎研究に従事。工学博士。
    以後、米国系コンサルティング会社を経て家業を継いだ異色の経歴。
  5. 外側は大工道具で安定の象徴である金尺を示し、内側は初代・十右衛門の「十」の文字から成るトレードマーク。
    実直な商いと商売の安定・繁栄を祈った初代の志を表す。
  6. 東村山で酒造りをはじめた曾祖父・政次郎氏の肖像画。
白酒 ※1みりんや焼酎に蒸したもち米や米こうじを仕込み、1カ月以上熟成させたもろみを軽くすり漬して醸した酒。白濁して粘りと甘味があり、アルコール度は7%前後。リキュール類に分類される。甘酒と間違われやすいが、甘酒はアルコールをほとんど含まない。
兵庫・灘 ※2名水の地であり、日本酒の聖地。良質な酒を生む「宮水」が湧き出しており、南北約500メートルの区画に、「菊正宗」「大関」「白鹿」「沢の鶴」など名門の酒蔵が井戸を構える。
東京に酒蔵 ※3現在、東京には「豊島屋酒造」をはじめ、澤乃井で知られる「小澤酒造」など歴史のある10の酒蔵がある。
良質な地下水や伏流水に恵まれ、各鑑評会でも安定した評価を得ている。
豊島屋本店
豊島屋本店

東京・東村山市に酒蔵を構え、地下150メートルから汲み上げる富士山の伏流水を仕込み水に、豊かな香りと味わいを備えた「江戸・東京の地酒」を醸す。
東京都千代田区猿楽町1-5-1 ☎︎03-3293-9111
営業:10:30~17:00 休み:不定

前川泰之
1973年生まれ。俳優。
ドラマ、映画等マルチに活躍。
NHK大河ドラマ「真田丸」へ出演が決定。
近況はアメブロ「前川泰之Official Blog」でチェックを。趣味は釣り、アウトドア、陶芸、など。
オスカープロモーション所属。

Gainer 2016年2月号より

撮影/寿 友紀 スタイリング/中西ナオ ヘア・メーク/山口理沙(+nine)取材・文/粂 真美子