日本料理のお品書き難読漢字クイズ 第4回は食事&水菓子編です!
日本料理のお品書き難読漢字クイズ第4回:食事&水菓子編
会席料理のお品書きに出てきそうな料理の難読漢字クイズを、連載企画で出題しています。第1回の先付&椀物編、第2回の向付&鉢肴編、第3回の強肴&止肴に続いては、いよいよコースも終盤の食事&水菓子編です。ご飯と汁物、そして多くの難読漢字クイズでよく出題される果物名からの出題です。
7品目:食事
基本的にはご飯・止め椀(汁物)・香の物(漬物)の3点で出されますが、冬場では鍋物を出した流れで雑炊というパターンもあります。
① 蜆汁 お酒の後に頂くと、五臓六腑に染みわたりますね。
② 滑子と湯葉の赤味噌仕立て キノコの一種。やっぱり赤味噌ですね。
③ 鼈雑炊 事件をしつこく究明しようとする刑事さんも、こう呼ばれてましたね。
④ 水雲と小柱の雑炊酢の物やスープでよく使われる海藻です。
⑤ 鯛と玉子の素朧ご飯 肉と玉子は子供のお弁当の定番にもなってますね。
⑥ 蕗の葉と縮緬の混ぜご飯絹織物の名前ですが、和食で使われた場合は……
⑦ 零余子の炊き込みご飯 秋に獲られる茶色の球形の食材です。
⑧ 垢穢と芹の雑炊市場に出回ることはごくごく稀な、寿司屋や料亭直行の超高級魚です。
⑨ 栗とキノコの御強 狭義の意味では赤飯のことです。と言えばお分かりかと……。
⑩ 鹿尾菜の飛龍頭、赤味噌仕立て 最初の漢字は海藻。二番目の漢字は練り物です。
【解答】
① 蜆汁 ●しじみじる ……シジミは淡水と汽水に生息する小型の二枚貝。青森の十三湖や島根県の宍道湖などがブランドしじみとして有名です。
② 滑子と湯葉の赤味噌仕立て ●なめことゆばのあかみそじたて ……ナメコは「滑茸」とも表記。ただ「なめたけ」となるとエノキ茸を醤油などで味付けした瓶詰の食べ物になります。
③ 鼈雑炊 ●すっぽんぞうすい ……スッポンは甲羅や爪、膀胱、胆嚢以外はすべて食べられることが特徴で、漢方薬にも使われる滋養強壮の食材としても有名ですね。
④ 水雲と小柱の雑炊 ●もずくとこばしらのぞうすい ……モズクは「海蘊」とも表記。産地では沖縄県が有名。土佐酢や三杯酢で頂くことが多いですが、天ぷらや吸い物、そして出題の雑炊でも使われます。
⑤ 鯛と玉子の素朧ご飯 ●たいとたまごのそぼろごはん ……そぼろは挽肉や魚肉、そして溶き卵などを汁けがなくなるまで炒った料理のことです。
⑥ 蕗の葉と縮緬の混ぜご飯 ●ふきのはとちりめんのまぜごはん ……和食での縮緬(ちりめん)は、チリメンジャコ(縮緬雑魚)のこと。イワシ類の仔稚魚(稚魚の一歩手前の段階・シラス)を塩ゆでした後、天日などで干した加工食品。干している様子が凹凸のある織物の縮緬に似ていることからとか。
⑦ 零余子の炊き込みご飯 ●むかごのたきこみごはん ……むかご飯とも。ムカゴは、長芋や自然薯などのヤマノイモ属の葉の付け根にできる小さな肉芽・球芽のこと。ヤマイモの多く獲れる北海道や青森県が産地とされます。
⑧ 垢穢と芹の雑炊 ●くえとせりのぞうすい ……クエは「九絵」と書かれることも。西日本に分布し、成魚は体長60センチほどになる超高級魚。刺身で頂く以外に、和歌山の「クエ鍋」や福岡の「アラ鍋」などの鍋料理食材として扱われます。
⑨ 栗とキノコの御強 ●くりときのこのおこわ ……御強(おこわ)はもち米を蒸したご飯のことで、堅い飯の意味の強飯(こわめし)からきています。一般のうるち米に比べて、もちもちとした食感と甘みが特徴となります。
⑩ 鹿尾菜の飛龍頭、赤味噌仕立て ●ひじきのひりゅうず、あかみそじたて ……ヒジキはおなじみの海藻ですね。飛龍頭はがんもどきの関西風の呼び名で「ひりょうず」とも読みます。ヒジキの飛龍頭は、飛龍頭のなかにヒジキを練り込んだもの。
8品目:水菓子
基本的には果物のことですが、昨今ではアイスクリームやシャーベットなど、果実を使ったスイーツが供されることも増えてきました。ここでは果物名単独での出題です。
① 桜桃 山形県が全国の収穫量の7割です。
② 八朔 日本原産の柑橘類です。
③ 椪柑 愛媛県宇和島市が日本一の産地です。
④ 無花果 乾燥させたものはトルコ産、イラン産が有名です。
⑤ 木通 その蔓(つる)はカゴなどの工芸品の材料に使われます。
⑥ 石榴 果肉は赤い小さな粒が多量にできます。
⑦ 甜橙 ジュースとして頂く機会も多い柑橘系の果物です。
⑧ 楊桃 似ているからというわけではないようですが、鳥の名前からネーミングされた果物。
⑨ 果物時計草 芳香と酸味が特徴。漢字の通りトケイソウの仲間ですが。
⑩ 蕃瓜樹 日本では沖縄地方に現生する果物で、熟すと黄色くなります。
【解答】
① 桜桃 ●さくらんぼ ……山形県東根市が生産量日本一。実にさまざまな品種があり、佐藤錦や高砂が代表的。観賞用の桜の実ではないことはご存知ですね。
② 八朔 ●はっさく……ハッサクの原産地は広島県。主な生産地は和歌山県です。
③ 椪柑 ●ぽんかん……生産地1位は愛媛県で、宇和島市は日本一のポンカン産地。原産地はインドで、ポンの名の由来はインドの地名プーナ (Poona) に由来するそう。
④ 無花果 ●いちじく……イチジクを「無花果」と書くのは花が咲かずに直接実がなるからとされていますが、実は果実のなかに花があるそうで、当て字です。
⑤ 木通 ●あけび……9~10月に熟して淡紫色に色づきます。種を包む胎座という部分がほんのりとした甘みを持ちます。
⑥ 石榴 ●ざくろ……観賞用の庭木としても栽培される植物で、食用とされある部分は種皮といわれる部分で、この中に種子があります。
⑦ 甜橙 ●オレンジ……日本で食用にされるのはネーブルオレンジとバレンシアオレンジの2種がほとんどですが、日本で栽培されるのは広島県、和歌山県、静岡県などでのネーブルオレンジです。
⑧ 楊桃 ●キウイフルーツ……品種改良に成功したニュージーランドからアメリカに輸出する際に、ニュージーランドのシンボル的な鳥「キーウィ (kiwi)」にちなんで命名されたとか。
⑨ 果物時計草 ●パッションフルーツ……生食というより、アイスクリームやヨーグルトに入れて食すことが多い果物。果物自体は赤、濃い紫などで、その中に黄色いゼリー状の果肉と果汁があります。
⑩ 蕃瓜樹 ●パパイア……「万寿果」とも表記されます。メキシコ南部から西インド諸島が原産地とか。東南アジアでは未完熟の青いパパイアを野菜として調理することも多いようです。
いかがでしたか? この和食の難読漢字シリーズはこれ以降 第5回:番外 珍味&郷土料理編 と続く予定です。引き続きチャレンジしてみてください! 第1回:先付&椀物編 第2回:向付&鉢肴編 第3回:強肴&止め肴編 も公開されていますので、まだチャレンジしてない方も再チャレンジしてみたい方も、ご覧いただければと思います。