豆腐百珍のすべて 45 佳品 線麪豆腐
時代小説家/江戸料理・文化研究家 ⾞ 浮代(くるま うきよ)
【⾖腐百珍とは】
天明2(1782)年5月に刊行され、大ベストセラーになった江戸時代のレシピ本。豆腐料理だけを100品、6段階に分けて紹介するという斬新さで話題に。大根、卵、鯛、蒟蒻といった百珍ブームのきかっけとなり、『豆腐百珍続篇』『豆腐百珍餘録』も刊行された。
『線麪(せんめん)豆腐』はその名の通り、細麺のように加工した豆腐を指します。
食べ方については、原本に書いておりませんが、本物の麺と違って切れやすいので、お好みのつゆに入れていただくのが良いように思います。
『豆腐百珍』には、豆腐を麺状に切って作る料理が、4番『結び豆腐』、7番『草の八杯豆腐』、17番『ぶっかけうどん豆腐』、45番『線麪豆腐』、46番『稭(しべ)豆腐』、67番『縮緬豆腐』、69番『焙炉(ほいろ)豆腐』、91番『別山(べっさん)焼』、98番『雪消飯(ゆきげめし)』、100番『真のうどん豆腐』と10品もあります。
豆腐料理だけで100品ものバリエーションを揃えるのに苦労したこともあると思いますが、当時は大豆より小麦の方が高価だったことも理由に挙げられます。
現代では、ダイエット目的で豆腐(大豆)で作った麺を食べますが、当時は饂飩や素麺を食べたつもりになれる“もどき料理”だった、というわけです。
饂飩サイズにするには、豆腐をただ切ればいいだけですが、細麺となると、それなりに手間がかかります。
■縮緬豆腐レシピ
【材料】
木綿豆腐…1丁
卵白…1個分
お好みのつゆ…適量
【作り⽅】
1. 豆腐の水気をしっかりと切り、擂り鉢ですってさらに裏ごしし、卵白を入れてよく混ぜる。
2.美濃紙(クッキングシートでも可)をまな板の上に敷き、1を薄く均一に包丁で延ばす。
3.2の豆腐に、流れてしまわないように注意しながら熱湯をかけて固め、冷水に浸けて冷ます。
4.3の紙をそっと剥がし、できるだけ細く切って椀に入れ、温めたお好みのつゆを注ぐ。
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(くるま うきよ)
時代小説家/江戸料理・文化研究家。
江戸時代の料理の研究、再現(1200種類以上)と、江戸文化に関する講演、NHK『チコちゃんに叱られる!』『美の壷』『知恵泉』『歴史探偵』等のTV出演や、TBSラジオのレギュラーも。
著書に『江戸っ子の食養生』(ワニブックスPLUS新書)、『免疫力を高める最強の浅漬け』(マキノ出版)など多数。小説『蔦重の教え』はベストセラーに。
最新刊は『発酵食品でつくるシンプル養生レシピ』(東京書籍)。
http://kurumaukiyo.com
『江戸っ子の食養生』
『免疫力を高める最強の浅漬け』
『蔦重の教え』
『発酵食品でつくるシンプル養生レシピ』