和食STYLE

食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第97回

真夏がやってきた・・! コロナ夏(か)だからこそ、中華で楽しむ!

ようやく遅くはなったが、この8月関東地方も無事に梅雨明け。それとともに、グッと気温が軒並み上がり、「猛暑日(日最高気温35度以上)」が連日続くようになった。そんな猛暑日をできるだけ涼しく過ごしたいという、ごくごく当たり前な過ごし方もあれば、真っ向からその暑さに打ち勝つために、熱いもの、辛いもの、といった「汗だく必至」の料理を食べたい(?)季節になる。そんな欲求を満たしてくれるのが、僕の場合、中華だ。間違いない。

実はこの夏、梅雨明け前から、中華料理にハマっていた。それも辛いものだ。

例えば、出張で青森に戻った時に食べたのは、中学校の頃からハマっていた「満来飯(バンライハン)」。中学の頃、部活動が終わり、わざわざ自宅で食べずに、そのお店にまで足を運んで食べた、特製味噌餡掛けラーメンだ。

当時のご主人は残念ながらお亡くなりになり、今は、場所を変え、その娘さん、そしてご主人の奥さんの2名で切り盛りしている。鍋をふるうのは娘さん。ご主人が作り上げた、この特製味噌餡掛けの味を復活させ、当時食べたものと遜色なく、思い出が蘇るような、まさに、美味い瞬間を作り上げている。営業時間は11:30-14:00のランチタイムのみ。メニューはとてもシンプル、「満来飯」「満来めん」「ライス」のみ。この「潔さ」が、この満来の良さを引き出している。この熱々の中華を口にかけ入れ、上唇がすこし火傷するくらいの熱さと「あまじょっぱさ」が、記憶の片隅に残っている。

一方、東京では、日本において中華料理ではミシュラン2つ星を初めて取得した、東麻布にある「茶禅華(ちゃぜんか)」。その料理への取り組み、味の構築は見事だった。1982年生まれの川田智也シェフが織りなす料理は、「日本らしい中華料理」というコンセプトのもと、中国料理だけやっていても、中国人に敵わない、だからこそ中国の技法を用いながら、それで闘う日本人として、日本の食材を生かし、学ぶ姿は、ファンも多いだろう。

ちょうどいただいた「鮎(あゆ)」は、調理の直前まで泳いでいた鮎を、さっと揚げ、食べさせていただいた。川魚がもつ「滋味」と、白身の軽やかさが、絶妙。付け合わせの香り、辛みもまた演出の一つで、味の多角化を楽しむことができた。

「香り」「辛み」は、中華料理の真髄。そのほかの肉料理、アワビに関しても火入れが抜群で、ポイントに香りと辛みが絶妙にマッチング。さらにドリンクペアリングとしてお茶とワイン、日本酒、紹興酒(このラインナップも素晴らしい、是非ノンアルペアリングの掛け合わせをお勧めする)の掛け合わせは、中国では体験できない中華料理を楽しむことができる場であった。

そしてこのコロナ禍、新社会人となったばかりの、新卒の弊社インターンとともに歓迎会で伺ったのも、中華料理だった。その時いただいたコースのメニューの前菜に「運気の上がる前菜盛り合わせ」が書かれていた。手前左からジグザグと、「豆腐干(とうふガン)とセリのネギ油和え」「紹興酒の香りづけフォアグラとナツメのテリーヌ」「ソラマメと雪菜の寄せもの」「よだれ鶏」が元気よく並んでいる。さらに中心には鮎を揚げたものが、まさに滝を登るように躍動的に配置されており、手前側から食べ進み、最後は、よだれ鶏にたどり着く、運気上昇を地でいく、盛り合わせだった。皿で見事に旬を感じさせ、盛夏と言えるこの2020夏を一皿に表現できるのは、元「麻布長江 香福筵」、現在「慈華 itsuka」の田村亮介シェフならではだ。このコロナ禍において、お店の料理をテイクアウトできるように、手間暇かけて準備をしている。むしろテイクアウトできる中華料理としては最高の水準だ。お店に足を運んでいただきたいのだが、是非ご家族で、慈華のテイクアウトをこの機会に楽しんでいただきたい。

どの中華料理も「辛さ」は必須だ。その辛さを際立たせるために、甘みや、多少の塩味を感じるような、ほぼ無味の料理が、ポイントとして際立っている。この灼熱のような暑さと、うだるような湿気を伴う、日本ならではの土地だからこそ、日本でしか味わえない中華のピンキリを、この夏是非楽しんでもらいたい。外食が難しい、このコロナ禍だからこそ、食の時間をどのようにして楽しむのか。僕は中華だと思う。

●らぁめん満来(ばんらい)

住所 青森県弘前市末広4-8-1

TEL 0172-28-0639

Facebookページ https://www.facebook.com/満来-187796861298672/

営業時間 11:30~14:00

定休日 水・日曜日、祝日

 

●茶禅華

東京都港区南麻布4-7-5

050-3188-8819(予約)

ウェブページ https://sazenka.com/

営業時間 月~金曜17:00 ~ 21:00LO
土曜12:00 ~ 13:00LO、 18:00 ~ 21:00LO

定休日:日曜、月曜を中心に不定休

 

慈華 itsuka

東京都港区南青山2-14-15 五十嵐ビル2F

050-3468-1029

営業時間  火~木 17:30~23:00 (O.21:00)
金~日・祝日 11:30~14:00 (L.O.13:00)

定休日  月曜日 第2日曜日、第4日曜日

松田龍太郎

松田龍太郎

2010年より株式会社oiseau(オアゾ)を設立。主に食にまつわる事業開発・店舗開発では、これまで50店舗以上を手掛け、一方企画・プロデュースの分野では、元テレビ局カメラマンとして、食に限らずメディア、PRコンテンツの発信、企画展開を得意としている。2020年4月より「奈良蔦屋書店」2階に「ブラッスリーアンド カフェ ウグイス」として新たなポップアップレストランを、そして同じく同月、青森県弘前市に開館予定「弘前れんが倉庫美術館」に付帯するカフェ「CAFE & RESTAURANT BRICK」を、それぞれ立ち上げ、運営・事業を作り上げている。
http://www.oiseau.co.jp