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光文社厳選!和食情報ナビ

食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第82回

情報が溢れている時代だからこそ、情報を捨てる勇気。

2019年、今年は5月より「令和」という新しい年に生まれ変わり、いよいよ消費税10%という増税もスタートした。消費税10%、飲食店に限って言えば、「テイクアウト(持ち帰り)」と「イートイン(その場で飲食)」での軽減税率もあり、それに伴いメニューや、店舗の業態変更もみられた。さらに11〜12月の渋谷周辺の大規模開発商業施設のオープンと、あっという間に、2020年に突入しそうな「師走」である。

これだけ「新規開店」が多い一方で、2019年は、例年になく「閉店・倒産」の数字も軒並み上がっている。2019年の飲食店事業者の倒産は、11月までに668件発生し、既に前年(653件)を上回った。過去最多となっているのは2017年の707件であるが、2019年はこのままのペースで推移すると通年の倒産件数は728件前後となり、過去最多を更新する可能性が高い。消費者の節約志向は高まる一方で、外食を控えて中食や内食を選ぶ消費者が増加しているのは前述した通りだ。

そうした中、弊社では現在、飲食点経営者や料理長といった、世代でいえば40後半から50代前半、そして北海道から沖縄まで全国幅広く、地域活性化において活躍している事業者・キーマンをターゲットに、丸の内にて「食の学校」を運営させていただいている。その名も「丸の内 食・コトデザイン研究所」だ。

主宰は、大手ディベロッパーの三菱地所が仕掛け人。これからも5年、10年と中長期のスパンで、商業施設におけるオフィス以外の部分、特に「レストランフロア」においては、その商業施設に足をはこぶお客様、ひいては、その魅力作りに非常に敏感であり、次の一手を打ちたいという部分が、私たちもとても感慨深く、勉強になる試みの一つでもある。

この学校は、2019年7月から開講。月に一回、12月まで合計6回の講座は、大きく三つの構成となっており、「1、地方食材をどのように活用するかを考える試食会」「2、飲食業界のトップシェフ、ゲストを招いたトークセッション」「3、受講生とともに、飲食業界の質の向上を考えるグループワーク」を実施、おかげさまで、70名弱の受講者とともに、いまの飲食というワークスタイル(働き方)から、その飲食業界で働いていくための手法、これからのステップ、いま戦っている状況を、ガラス張りにして伝えることを実施させていただいた。

その中で、第6回、12月に実施されたトークセッションにおいて、「丸の内シェフズクラブ」のシェフのひとり、和食「分とく山」の野崎洋光総料理長が受講生に話された言葉が、まさに今の時期にぴったりなメッセージだと思う。

「みなさん、和食のことをどのくらい理解されていますか?なぜ、和食の基本は『だし』をとることからはじまるのでしょうか。どれもこれも「知識」の一部。『知らないことを言えない時代』だからこそ、その本質が見えなくなるのです。いま情報が溢れている時代だからこそ、情報を捨てる勇気をぜひ持ってください。」

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僕は2008年から飲食の業界に足を踏み入れ、「飲食店の立ち上げ」に関する企画会社で修行をしていた。その時、現場で感じたのは「時代のスピード感」だった。100店舗展開、来週には5店舗オープンという、スピード命の「ベンチャー的飲食企業」と、それに反するように、何年、何十年と、その技術と実績で「老舗」と呼ばれる飲食企業と数多くみて、その土地、その時代、そのルールにしたがった様相をみてきた。

だからこそ、分とく山・野崎総料理長の言葉は、改めて聞くと、新鮮なメッセージだった。実績とノウハウは、若いだけでは培えない、もっと奥深く、時間が必要だということも。

特に、2019年のスピード感、いや「脱皮感」は、2020年に控えている東京オリンピックにむけてに、間違いない。東京オリンピックを潜り抜けた時、脱皮後の「進化」はどこに向かっているのだろうか。政治も変わり、ルールも進化し、そして、そこに働くスタッフもまた「脱皮」と「進化」を繰りかえす。その中で考えなければならない「情報を捨てる勇気」。

皆さんにとって、今捨てるものはなんですか。いまテレビで話題の「グランメゾン東京」が注目されているように、「まず目の前のお客様に対して最大限にサービス、料理を提供する」という主人公の台詞が一つのヒントかもしれない。

●丸の内 食・コトデザイン研究所 2020年1月より第2期が開催!

https://shoku-koto.jp/

●分とく山

https://waketoku.com/

●丸の内シェフズクラブ

http://shokumaru.jp/chefsclub/

松田龍太郎

松田龍太郎

慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後企画・プロデュース業に転職ののち、2010年より株式会社oiseau(オアゾ)を立ち上げる。
主に食にまつわる事業開発・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在2019年11月1日にオープンした渋谷スクランブルスクエアB2階に、ハワイのヴィーガンカフェ人気店「PeaceCafe Hawaii」をデリスタイルに業態変更、店舗展開のお手伝いをしている。また一般社団法人日本パイ倶楽部理事を務める。
http://www.oiseau.co.jp