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食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第75回

中国・深圳から見えた、日本食レストランたちの挑戦。

最近もっぱら自分の視点として、日本地域を踏まえつつ、2020年以降、どんな 「和食スタイル」に進んでいくのかを探りに、海外視察が増えている。先日中国は「深圳(しんせん)」という地域に足を運んだ。

いま深圳は、中国でも北京、上海などに続く「5大都市」の一つと掲げられた、中国でも重要な都市の一つだ。最寄り「福田口岸」駅から車で20分の距離に都市型複合商業施設「深業上城— Shenzhen UpperHills(シンセン アッパーヒルズ)」が2018年にオープン、その一角に、日本食レストラン、カフェが一気に16店舗生まれた「YOKOCHO(横丁)」を訪ねた。

YOKOCHOの敷地面積はおおよそ3000平米。シンガポールを拠点にレストラン運営などを手掛けるPJビジョナリーと、香港上場のニラク・ジー・シー・ホールディングスが組み、三菱地所が外部コンサルタントとして飲食店を誘致したもの。構想は日本食のレストランを配置するため、3年以上に及んだとのこと。レイアウトや環境・共用部の設計を手掛けたは、インテリアデザイナーの巨匠佐藤一郎氏。各レストランの境界線は、微妙に「にじり出し」、他のお店にいながら隣の飲食店のメニューも頼める「日本らしい」提案がなされている。それでいて、日本人にとっては非常に過ごしやすい空間だ。

おおむね、「プレミアム・ハイエンド・ゾーン」「ミッドレンジ・レストラン」「カジュアル・カフェ・ティハウス」とコンセプトにわけてレストランが配置。ミシュランを獲得している焼き鳥「GINZA BIRD LAND」や、日本では「アロマフレスカ」で有名、原口慎次氏がプロデュースするイタリアン「東京イタリアン Sala Amabile 意居 Tokyo Italian」、また「月桂冠」がサポートする日本酒バー「5/60 Sake Bar」、「ご当地酒場 北海道八雲」を作り上げたファンファンクションプロデュースの「北の炉端」など、日本が展開する料理屋において、あらゆるジャンルのお客様に対応するため、様々な業態の飲食店が軒並み、展開している。

7月8日にグランドオープニングイベントが開催され、現在は、この商業施設の、他のテナントのオープン状況も含め、徐々に集客を進めているようだ。

僕はその中で「北の炉端」で食事する機会を得た。主に、北海道や東北の食材をメインにしたメニューが特徴の居酒屋ではあるが、中国の場所で提供する日本食レストランのクオリティとしては、非常に高い印象だ。そして、提供されたメニューの中で、特に印象にのこったのが、北海道名物である「北海道ちゃんちゃん焼き」だ。北海道の郷土料理で、味噌とバターのコクが病みつきになり、これに白米があれば、お代わりが止まらない、そんなメニューをこの中国・深圳でどんな提案か気になった。

オーダーして出てきたのは、五寸(15-16センチ)ほどの黒鍋に、紅シャケがのった、鍋料理だった。その鍋料理を、スタッフが丁寧に調理して提供するスタイルだった。

しかし、この鍋に火を入れて、グツグツと煮込まれてきたら、そこに、少し辛めの味噌と合わせて、お鍋に投入。そしてバターが溶け出すと、鍋に敷かれていた「つゆ」が少し甘口で、(どことなく、「すき焼き風味」だが)、そのバターとの絡みが抜群にうまいのである。その他、メニューも東京で食べるものと遜色のない出来栄えで、正直、驚いた。確実にメニュー内容や、提供サービスの質は上がっている。オープンして間も無くということもあり、まだまだ集客もままならないと聞いているが、新たに地下鉄も通る構想も控えており、相変わらずの中国の「開発スピード」からすれば、早い展開が臨まれるだろう。いずれにせよ、2、3年で大きく変わるテナントであり、エリアのひとつであることは、間違いない。

ここ最近、日本以外の「日本食レストラン」の展開は目をみはるものがある。特にアジアの展開や発展はここ2、3年で一気に広がり、流行ではなく、文化として広がりが見えつつある印象だ。また、日本のレストランのオーナーやシェフの「コミュニケーション力」が上がっている印象を受けた。それは経営としての展開力だけではなく、その土地先のスタッフの教育や展開力も上がりつつある。それがレストランのクオリティを下げずに、良いものとして「日本食レストラン」の展開力を上げているとおもう。「和食スタイル」が日本を超えて海外に向けてどのように発信していっているのか、僕自身も引き続き学んでいきたいと思う。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp