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食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第72回

フランスの食卓に、味噌が受け入れられる時代へ

さて、前回台東区谷中にオープンした発酵食品を使ったお店「HAKKODO」。おかげさまで、焼きおにぎりが大人気。当初より販売が順調だったが、一方で、たくさん作れば作るほど、お店の負担も増加。クオリティも下げてしまうということもあり、早速調整をはかり、「個数限定」「日数限定」とさせていただくことになりました。

もちろん、お店としては、より多くのお客様に対応していこうという気持ちではありますが、だからと言って、とことんお出しするということは、スタッフ含め労働作業が増えてしまい「伝えたいこと」よりも「お店を運営すること」の方が強くなっていく原因になります。ですからお店の主旨を見失うのでは、という結論に達したことにより、限定での提供となりました。あたたかく見守っていただければと思います。僕らもより発酵食品に向き合う時間を作りつつ、「売ること」より「伝えること」を大切にしたいと考えています。

その「伝えること」ですが、2019年度も、北海道味噌醤油工業協同組合とともに、海外展開を主旨とした事業をお手伝いすることになりました。今年も中国を主軸に、北海道の美味しい味噌をどのようにお届けするかを、引き続き考えておりますが、ちょうど別のプロジェクトでお世話になっている、東京港区「フレンチ割烹 ドミニク・コルビ」の店主、ドミニク・コルビシェフから「今度、フランス婦人会で、味噌のワークショップをするから見にこない?」というお誘いをいただき、「フランス婦人に味噌!?」ということで興味が湧き、出かけることとしました。

まず、ドミニクシェフは、400年の歴史がある、パリの名店「トゥールダルジャン」の東京店のエグゼクティブシェフとして来日。そこからル・コルドン・ブルー日本校のエグゼクティブシェフに就任、今は、港区でフランス料理を割烹形式で提供(これはまた後日紹介します!)している、フレンチシェフの大御所だ。そのドミニクシェフが、フランスから東京に移住もしくは転勤でお越しになるフランス人の、奥様を対象に、不定期で料理教室を開いている。

その中で、今回のテーマは「味噌」だったのだ。僕としては、「味噌」という日本の発酵食品がどの程度、興味を持って、フランスの家庭で提供されるのか、もしくは興味を持ってくれるのかが気になっていた。

しかし、料理教室でとても驚いたのが、いわゆる日本食を提供する味噌料理ではなく、フランスの家庭料理の中の調味料が「味噌化」したレシピがドミニクシェフからの提案だったことだ。それが「味噌マヨネーズ」「味噌ピザ」「味噌カツレツ」だった。

味もさることながら、味噌を「調味料」として活用し、フランスの食卓に「馴染むような」提案をしているのが、非常に勉強になった。さらに、それぞれの食材や調味料が「味噌」と合わさったり、交わることで、新たな「味覚」を提供していることが新鮮だった。そして、もう一つの驚きが、「お土産」だった。もちろん味噌は味噌だったのだが、化粧品会社が製造元になっている味噌、「アムリターラ農園 自然栽培味噌 蔵付き麹菌仕込み」だった。

フランス婦人たちにも好評。単に日本の調味料だけではない付加価値がそこに存在していた。まさか、化粧品会社の味噌が大人気。最近では、味噌にまつわる健康情報も多くなってきているのは事実だが、美容や健康をメインとしている化粧品会社の商品展開力は、北海道味噌とは異なる展開だ。

つまり「情報の伝わり方」がデザインされているのだ。もちろん、日本の醸造文化や伝統、歴史というのは深く、そして「老舗」と呼ばれるくらい長く継続された事業であり、その味を守るために、職人が働き、その味を守っているのが「味噌」である。醤油も日本酒も同様だ。

話が戻るが、ドミニクシェフの提案も素晴らしい。たかがマヨネーズ、ピザかもしれない。けれども、彼らの食卓の主食、つまり普段のレシピに沿った提案がレシピ化されているのが、「気が利く提案」だと感じた。

僕らは中国やヨーロッパの食卓をいかにイメージして、「味噌」を提案できているのかが、改めて問い直すきっかけではないかと考えた。確かに、現在は、日本食レストランが、世界的に「爆発的」に増加している。農林水産省のデータから、2006年24,000店だった日本食レストランが、2017年で、12万件まで増えている。10年で5倍だ。ものすごい数である。そのお店に対応する施策を検討していたが、いかに、その国の食卓を攻めれるか、というところは目から鱗の出来事だった。

もちろん、可能性としての提案は多いと思うし、その認知のなかで「理解度」を高めていくことは、非常に大切だと考えている。フランスの食卓に、味噌が受け入れられる時代へ、きっかけを作っていきたい。

[参考]

・フレンチ割烹 ドミニク・コルビ

http://dominique-corby.com/

東京都港区新橋2-15-13 エレガンス新橋ビル5F

 

・国産のオーガニック化粧品・サプリメント・オーガニック食材を扱う

「アムリターラ」公式サイト、フード&ドリンク

https://www.amritara.com/fs/amritara/c/food?headerpc

 

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp