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食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第69回

FUKUSHIMAから世界へ続くロングテーブル。

あっという間に6月、年間の半分が過ぎようとしています。今年は、5月から全国でも最高気温が30度を超える暑さが続き、東京においても過去の記録を越えたと言われております。こうして2000年に突入し、早19年。季節や風土が変わりつつある中、僕自身、もう一つ気にしているものがあります。それが「福島」という土地です。

福島は、首都圏からも近く、果物や野菜の産地としても、非常に有名です。特に、八百屋を経営していた身としては、福島のほか静岡、長野といった、距離感の場所から得られる食材は品もよく、また特に果物については、モモ、さくらんぼ、最近ではリンゴなども非常に良い出来のものが多くあります。けれども2011年の震災以降、僕らの口に入る機会がめっきりと少なくなりました。この問題は、それこそ僕らが生きている間では解決できない時間と、そこにかけられる付加価値や想いも全て削ぎ取ってしまう、そんな福島をどんな風に感じて、応援していくのかというところが鍵になるのではと感じていました。

その時、ちょうど「和ヴィーガン料理人」の本道佳子さんからのお誘いがありました。「実は猪苗代で、震災からの風評被害の農家さんを応援する企画『ロングテーブル 平和の食卓』を、25メートルのテーブルを設けて、田んぼのあぜ道で開催することになりまして。私が料理を拵えるので、ぜひお越しになりませんか?」と。本道さんは、まさに野菜の料理人でもあり、この福島という土地でどんな料理を作られるのか、そして今回「福島の食材」とどのように向き合って、この企画をまとめられるのか、個人的に気になり、福島は猪苗代に足を運ぶことにしました。

指定の場所に向かうと、まさに田んぼのあぜ道に、それは長い長いテーブルが設置されていて、白いテーブルクロスの上には、続々と福島の野菜で作られた本道さんの料理が所狭しと並べられていた。

後から聞いてわかったのだが、当初100名近くを呼んで、、、ということだったらしいが、蓋を開けてみると160名!ほどのお客様が訪れていたらしい。確かに、端から端まで声が届かず(笑い)、2、3回に分けて、料理の紹介や「いただきます!」が伝えられていました。

いくつかの野菜料理を写真で紹介しますが、今回の料理で気になったのは「メニュー」です。写真を見ていただけると思いますが、メニュー名ではなく、「メッセージ」が添えられていました。そのとき僕は、このテーブルに着席した瞬間に単に「何かを食べてもらう食卓」だけではなく「そこに携わっている人の気持ちを大事にした場所作り」なんだなと感じたのです。

ちょうど僕が着席した場所の隣に、今回お野菜を提供した須賀川の生産者「そらちね」の深谷さんがいらっしゃって、料理に使用した「カブ」や「大根」「にんじん」「葉物野菜」の説明を詳しく説明いただきました。どれも果肉がジューシでまろみのある野菜が特徴的で、本道さんの料理を引き立てている。(もしかすると、本道さんがメッセージ含めてそうした料理に仕上げたという印象もありました)

また参加された方々も、いわゆる食に詳しい人たちが仰山いるわけでもなく、本当に地域で暮らし、この食材と向き合って、生活を成り立たせている方々が多く、この料理を食べる場所作りをとても楽しんでおられた印象を受けました。

このロングテーブル企画、もちろん東京でイベント的にやるにしても面白いと思いますが、僕はわざわざ猪苗代に足を運び、田んぼの横でいただくこの料理を通じた場づくりに非常に興味を抱きました。

特に「和ヴィーガン」を主にしている本道さんにとっては、野菜メインで肉、魚を一切使わず、それでいて、いわゆる「田舎臭く」ならず、絶妙な味付けで勝負している様を、改めて勉強させていただきました。

FUKUSHIMAから世界へ続くロングテーブル。もちろん、10−20年のレンジではまだまだ時間が足りないけれども、その過ぎていく時間の中で、食材と向き合い、その食材を料理する人間のメッセージとして、非常に感化されたイベントだったと思う。

ちなみに、このイベントにはNHKが取材に訪れていました。タイミング合えば6月中にご覧になれるかもしれません。ぜひチェックしてみてください。

●NHK総合「明日へ つなげよう」

6月23日(日)福島 田んぼの大饗宴(仮)

https://www.nhk.or.jp/ashita/bangumi/

 

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp