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食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第65回

シェフが恋した塩尻野菜のスープが、出来上がった!

4月1日(月)より、平成最終月がスタートした。それとともに、新元号「令和(れいわ)」が発表された。まさに、新しい元号を迎え入れる気持ちが、いま日本で湧き上がっている。近年では、明治、大正、昭和、平成、そして令和と5人の天皇陛下が変わるわけだけど、その中でも令和は、今までとちがって「祝福された」元号とも言える。これだけ「元号に対する期待感」があったのも珍しいと思う。単語自体は、すこし冷徹なイメージがあるが、凛とした凛々しさがあり、潔いイメージでもあるし、かといって好き嫌いという感情が芽生えないのが、素晴らしいことだと思う。

そんな中、新しい季節とともに自宅に届いたのが、これまた新しくうまれた商品だった。

それは、「シェフが恋に落ちたのは、塩尻で美味しく育った野菜たちでした」というキャッチコピーがついた「シェフが恋した塩尻野菜のスープ」という商品だ。中身は冷凍食品。けれど「非常に温かみがある商品」という印象を受けた。実はこの商品、開発から商品が出来上がるまで、僕の友人が3人ほど関わった商品だ。

まず一人目は、世界的ソムリエ、石田博氏。2000年、第10回世界最優秀ソムリエコンクールで第3位に輝いた石田氏に誘われて、僕は塩尻に2回ほど足を運んだことがある。理由は「桔梗ヶ原メルロー」だ。日本ワインといえば、やはり山梨、特に勝沼には世界的水準のワインを産出するワイナリーがひしめいている。特に甲州ブドウは独特の風味をもつワインをつくる日本土着の品種で、世界のソムリエも注目している。その山梨の隣にある長野県の、塩尻市が誇るメルロー種が石田氏も気に入っており、僕も紹介されて、その土地のメルロー種のワインを飲みまくった。圧倒的な凝縮感をもちながら、滑らかで、きめ細かな渋みをもった、大変魅力的な味わいが持ち味で、僕も気に入ってそれから「塩尻のメルロー」は大のお気に入りだ。

そして石田氏と行った塩尻で出会い、今回の「塩尻野菜スープ」をこしらえた「ラ・メゾン・グルマンディーズ」シェフである友森隆司氏が、2人目の友人だ。友森氏は東京、横浜のレストラン勤務を経てフランスで修業をしたのち、塩尻市産野菜のおいしさと種類の豊富さに魅了され、2011年に塩尻市でフレンチレストランを開店した。当時は、塩尻の食材を活用しながら、塩尻でしか食べられないフレンチ料理を提供し、好評を博していた。僕もジビエの食材を、友森さんを通じて相談したり、気さくでアイディアマンだ。

その友森氏とともに、一緒にこのスープを開発したのが「NPO法人ハナラボ」だ。ハナラボを立ち上げた代表であり、僕の3人目の友人でもある角めぐみさんは、「誰もが社会変革の担い手になる社会」を目指し、女子学生のリーダーシップと創造力を育むことを目的として、実在の社会課題をテーマに、女子学生が課題解決プロジェクトに挑戦する集団を作っている。実は今回この企画が立ち上がった時に「そもそもスープを商品開発するのはどれだけ大変なのか、学生の相談に乗って欲しい!」ということで、3時間ほど、会議室を借りて、ミニ講演会を実施。企画から実施に落としこまれる時の大変さと、それにまつわる準備、これからすべきこと、いつ発売するのかまで、白板を使って事細かく話をさせていただきました。ハナラボの活動はいつも気になっていて、時折企画設計にも入れさせていただいています。まさに異なる大学の女子大生が、チームを作り、商品の企画から製造、販売マーケティングまで行うプロジェクトとして、このスープを作り上げたのです。塩尻で生まれたスープが、こうして手に届くのは、非常に感慨深いものです。

さてそれでは早速の味見。実は僕も初めていただくことに。この商品、いくつかの種類があるのですが、その中でも気に入った「塩尻冬野菜のポトフ」を紹介させていただきます。食材は、塩尻で育てられた玉ねぎ、にんじん、ごぼうなどの根菜を中心とした冬野菜と、信州福味鶏が見事な特大サイズとして入っています。実は「冷凍食品」というのもミソで、解凍して食べさせる方法として、ものすごく「今っぽい」作りになっていた。それも「味とは別の提案」として、的を得た提案でした。いまの女子大生が真剣に考えたんだなと思うものです。

僕が気に入ったのは、「レンジでチンして簡単にできる」です。え?当たり前すぎて、どこがすごいのか、という部分ですが、こうした地域活性化を目的とし、女子大生が企画する食品の商品開発において「自分たちが理解できていないノウハウやスキルを、食業界の専門家に任せておざなりになってしまう」ということです。今回の場合でいうと「冷凍」「気軽に手料理」という部分です。このスープを包んでいるパッケージですが、非常に特殊で、このまま皿に乗せて温めても「破裂しない」仕組みになっているものを扱っているということです。普段の地域商品では、こうした点は見過ごされがちで、ここまでたどり着かないものが多い。「代わり映えがしない」理由の一つです。商品開発は「レシピ」や「アイディア」、「パッケージデザイン」といった「売り手が売りたい商品」をブラッシュアップしがちなのですが、「買い手が買いたい商品」の特性をしっかり読み取り(=マーケティング)、商品に落とし込んでいる、見事な「商品開発」だと思います。

スープの出来栄えも、友森シェフならではです。分量も多くなく、1人分でちょうどよく、今回入っていた5種類をバランスよく食べるためには、飽きずに、ちょうど良い分量でした。ただ、少々塩っけが強いのは、冷凍食品という特性かもしれません。また冬というキーワードがある分、寒い時期に少し熱めに温めて飲むと、その塩っけさも気にいるのではないでしょうか。(僕は少し気になりました)また、商品を温める際に、せっかく良いパッケージ袋に入っているのに、「何度で何分温めるのか」が抜けていた。もちろん別途入っている説明書を読めば記載があるが、地味に手元に情報が欲しい。(多分、袋の業者次第だ)まだまだブラッシュアップが必要です。

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もちろん、これからも春、夏、秋と塩尻スープは続いていく。僕も楽しみだし、女子大生も「学年が変わり、卒業した人もいれば、新しく入ってくる人もいるだろう。できるだけ、メンバーを変えながら、塩尻の人たちと継続的に関わりを持って、成果を出し続ける商品としてあって欲しいと願っている。是非みなさんも、「シェフが恋した塩尻野菜スープ」を試してみてください!またその感想をお戻しいただけると、より良い商品に、さらにパワーアップすると思います。

シェフが恋した塩尻野菜スープ https://soup.hanalabs.net/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp