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食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第60回

日本のお味噌、北海道のお味噌を世界へ!

正月も明け、大寒が近づく一月中旬。私は、4年ぶりの中国・上海に足を運んだ。

実は、先日blogにも書かせていただいたが、「新潟清酒(にいがたせいしゅ)」と呼ばれる地域団体商標のほかにもう一つ、「北海道味噌」を海外に販路展開していくプロジェクトを、日本貿易振興機構(以下JETRO)のお仕事として、合わせて取り組ませていただいております。

「北海道味噌」という地域商品、皆さんはご存知でしょうか? 北海道といえば、海の幸、山の幸が豊富で、「おいしい名前の都道府県」としても有名であり、また「味噌」という部分でいえば、言わずと知れた「味噌ラーメン」といった普遍性の高いものから「ちゃんちゃん焼き」といった郷土料理まで幅広く活用された調味料と言えるでしょう。とはいえ、信州味噌や八丁味噌のように、「とんがり」を持った特徴的な味噌ということではなく、むしろ「クセがなく、誰にでも愛される味噌」であり、いわば「日本の味噌の中でも『スタンダードな味噌』」と言えるのかもしれません。

今回のお仕事を頂いた時に、「北海道味噌」のブランドづくりにおいて、北海道味噌についての歴史から、その背景に至るまで調べさせていただきました。北海道は明治時代に大きく「開拓」という活動が起こり、日本全国から多くの人が、北海道という新しい土地に夢や希望を持ち、訪れ開発した経緯があります。その際に、その開拓の糧となる食材として、お米とともに欠かせなかったものとして、多くの地域の味噌が津軽海峡をわたり、時間をかけて「北海道らしい」新たな味噌が生まれたと言われております。

そして、北海道らしく、その雄大な自然から、多くの生産量を生み出し、そこから主に業務用・大量消費向けの商品としても販路を拡大、今は、日本の味噌業界においても、おおよそ22事業者の味噌企業があり成長しているのです。

しかしその北海道味噌も、今転機を迎えております。北海道の、新千歳空港を軸に、多くの外国人、特にアジア系の観光客、そしてビジネスマンが訪れるようになりました。東京などの都会とは異なり、大自然に囲まれた上、空気や水がうまく、それでいて食事がうまい国の都市は、アジアでもそんなに多くはありません。また、冬という季節も大人気で、雪が降ることはもちろん、ニセコなどをはじめとしたスキー場の、インバウンド向けの宿泊施設や飲食店も流行っており、観光客のニーズに応えはじめています。そうした中、北海道に来た外国人観光客は「北海道の食材の良さ」に気づき、それをビジネスにしたいという方も増えてきております。例えば、味噌の会社を丸ごと買い取りたい、商品を仕入れたい、ということも少なくありません。また「北海道味噌」という商品名の味噌が、国産もの(つまり中国産で作られたもの)で販売されており、ボーダー(国境)を超えた「北海道問題」が、起こりつつある現状です。

そうした状況を踏まえた上で、北海道味噌の事業者を引き連れ、中国の市場を視察していただきつつ、「本物の北海道味噌」を上海に売り込むためにはどうしたらよいのかを改めて感じてもらうために、上海に足を運んだのである。

視察内容は、少し省かせていただきますが、今回、数社の日系企業の小売販売店を視察でき、都度現地日本人担当者に対応をいただき、主に味噌の販売についての輸入状況や商品の情報、売り場の展開、マーチャンダイジングの仕組み、ターゲットとなる中国人の性格や感覚、「北海道」のネーミングバリューなどを中心にお話を聞くことができました。

今回、海外市場においての、輸入品としての「味噌」「日本食材」の、中国人による捉え方、そして中国人の「食に対する考え方」の明らかな違いに、僕は驚きつつも、非常に示唆があるきっかけが見えたと思っている。単純に「中国人はここが違う!」という差別化ではなく、「中国人とはこういうことだ!」という確固たる自信、特異点を見いだすことに近い。いずれにせよ、「中国で味噌を広める、食べてもらう」ためには「中国で味噌を食べたい・・・!!」という感情的かつ買い手のモチベーションを上げていくことが重要だ。しかし、とうとう味噌も普通に上海の小売販売店で見かけるようになった。この商品が日本を飛び出し、世界に打って出ていくことがもっと増えるし、それが「当たり前」になるということを、僕らももっと自覚して、海外と付き合っていかなければならない。そして「和食」の源の一つである「味噌」も、この時代の流れにのって、おいしい味噌を提供していかなければならないのだ。僕が前述した「日本の味噌の中でもスタンダードな味噌」と記したが、さらに「世界の味噌、北海道味噌」としてポジショニングを少しずつ作り上げていくことだと思う。まだまだ世界は広く、おいしい味噌を広げていくチャンスが迫っている。日本のお味噌、北海道味噌を世界へ!

北海道味噌醤油工業協同組合 http://www.hokmisho.or.jp/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp