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食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第48回

「健康」と「甘味」のせめぎ合い。

今年から、青森県地域産業課地域資源活用チーム、そして地域活性化を主とする東京のコンサルティング会社とともに、「あおもり健康志向スイーツ」というプロジェクトを立ち上げることになりました。

青森県は「短命県」として名高い?ブランドになっておりますが、短命県を掲げる地域こそ「実は健康にはうるさい」「高齢化がすすんでいる」地域、ということが知られており、特に「健康志向スイーツ」というテーマは、僕自身もなかなかハードルが高いと思っています。

まず、今回のスイーツプロジェクトに参加するのは、和菓子から洋菓子、大企業から小さなお菓子さんまで、ありとあらゆる規模とジャンルの青森県内のお菓子業者の皆さんです。彼らの普段の営業活動において、明快なことは「菓子販売していくこと」です。そこに、「県内菓子製造業の振興と魅力あふれるしごとづくりにつなげること」「地域産業の活性化」を県が目的として掲げているからには、「新開発するお菓子を、健康志向というキーワードで作る」という課題に対応して、どのように挑んでいくのかが、このプロジェクトのカギになると思います。

  • PHOTO:Will Conscious Marunouchiにて実施「まるのうち保健室」

少しだけ、参考になるプロジェクトをご紹介します。このプロジェクトは、2014年より、東京・丸の内にて三菱地所や食関係事業者が中心となり、現在も活動している「Will Conscious Marunouchi(ウィル・コンシャス・マルノウチ)」のプロジェクト企画に、弊社が参画させていただいたものです。

東京丸の内で働く女性たちの健康状態を数値化し、その中で「睡眠不足、栄養不足、運動不足」の課題に対し、コンビニなどの小売店、そこで商品を販売する食品メーカー、そして丸の内にお店を構える飲食店が一斉に、商品開発、メニュー作りを工面し、どういう「ものづくり」が可能か、かなりの時間をかけました。また、「低糖質」「低カロリー」といった身体に紐づく「健康志向」は、医者や専門家含めて、緻密でかつ正確な情報をどうやって消費者に与えていくかがポイントであることも再認識しました。

ただ、「商品開発」においては、半年〜1年では難しく、3〜4年経った今、ようやくオリジナル商品を制作するまでに発展したという経緯があります。そこまでたどり着くには商品開発のスキルではなく、商品開発の意図、つまり「ストーリー作り」や「マーケティング戦略」をきちんと整え、それを商品開発者にお伝えする、ということが重要でした。単に既存商品を「健康食品」という名前の棚に置くことではなく、成分表示からパッケージデザインも含めたところにお客さんは響いていきます。

  • ナチュラルローソンと共同で開発した「バジルチキンのブロッコリー弁当」

さて、今回のプロジェクトの成果物は「スイーツ」です。スイーツは、人間にとって「欲」の一つであり、極論「取らなくても良い食物」でもあります。砂糖、小麦粉、卵からアレルギー性の高いもの、健康度が高いと言われる植物性のもの、さらにスーパーフードと呼ばれる栄養素が高いものなど、「食べ手」にとって、どんなニーズが潜んでいるのかを探る必要もあります。「健康」と「スイーツ」は相反するものであり、このプロジェクトにおいても、「健康志向の評価軸」をチームとして、決めないといけないと思っています。参加するお菓子業者も、そこに賛否をつけないと参加しづらいし、「ああ、これが健康志向か!」といった気づきを与えるプロジェクトではいけない。「これを売っていかないと意味がない!」「青森の健康とは、こうすべき!」というメッセージ性が高いものを見出したいと僕は思います。

  • 弊社が2016年に青森県で実施したスイーツプロジェクトの様子

実は、スイーツ作りの難しさは、この「商品開発におけるテーマ設定」だと思っています。どのメーカーも製造業者も常に考えているものであり、成功する難しさもあります。また、その商品の「MD(マーチャンダイジング)」も必要です。どこに置くのか、どのように運ばれるのか、どんな値段で販売するのか。それは生モノなのか、焼菓子なのか。冷蔵か冷凍か、日持ちはするのかしないのか、世界初なのか県内初なのか。自分たちの製造機器で作れるのかどうか。一つのスイーツを作りあげるためには、かなりの作業が各業者に発生します。だから、どんな小さな商品にも「ストーリー」がないと意味がありません。そして、テーマは感情的であろうとも、売り場としては、実践的で実用性があるものでなくてはなりません。

さて、今回のスイーツプロジェクトの状況は、このFoodnia Japan でもお伝えしていきます。

どんな形でアウトプットされるのか。ぜひお楽しみに!

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp