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食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第46回

「キチマ」ご存知ですか?

さてこの3文字、聞き覚えありますでしょうか。流行り言葉でもなく、合言葉でもないです。れっきとした業態名です。その名も「キッチン&マーケット(台所&市場)」です。(https://www.lucua.jp/foodhall/

最近では、「スーパーマーケット」が変わりつつあります。弊社が運営出店している八百屋についても、商業施設内スーパーマーケットにおける青果部門として入っておりますが、欧州などで人気、食業界で話題になっているグロッサリーとレストランが融合、イートインの進化系と呼ばれている「グローサラント」がこの「キッチン&マーケット」に近い形です。

2018年4月1日にオープンした阪急オアシスが手掛けた梅田ルクア1100に出店した「キッチン&マーケット」はこれまでとは違い革新的な売り場となっています。まず、野菜売り場に、500円均一のサラダバーが存在。そこに置いてある野菜がふんだんにカットされて、そこに群がるようにお客さんが一生懸命サラダを透明パックに詰め込む様子が見られます。また野菜に限らず、お肉屋さんでは、買ったお肉を「自宅用」「レストランですぐに食べられる用」に分けて販売、飲食が可能です。

この阪急オアシスが手掛けた売り場574坪は売り場毎にマルシェの色合いを上手に醸し出し、レストラン機能もオペレーションも緻密に考慮し、自社の商品97%の品ぞろえで、300ほどある飲食席で、買ったものをその場で食べられるようになっています。だから「飲食値段」ではなく、あくまでもスーパーの「小売価格」で販売されたものお客さんが食べられるようになっています。

価格設定については若干、高め設定が気になるところであるが、地代も高いので致し方無い。

出店先はJR大阪駅北側と直結している「ルクア側地下2階」。売り場ごとにそれぞれ特徴があり、イタリア食材、料理を提供する「メルカ」、惣菜、飲食もある生鮮マルシェ「フレッシュガーデン」スイーツを集めた「スイーツアットホーム」、精肉を集める「ミートフェスタ」などといった7つのエリアで形成されており、特に気になったのが、共用部(各店舗をつなげる廊下や照明など)のデザイントーンが統一されており、阪急オアシスとして、業態に3年ほどの時間をかけたというほどの気合が入った結果だと思う。また出店場所が「大阪のど真ん中」というのもうなずける。梅田という大阪の中心地で180万人という圧倒的な通行量でその立地にものの見事にあてはめた売り場作りであり、これまでの阪急オアシスは出店するたびに売り場が着実に良くなっていき、その集大成がこの「キッチン&マーケット」と言える。海外でも十分に通用する売り場だと思う。

このグローサラントの特徴は果たしてどこか。

大きく言うと、「人々の日常食の変化」だ。単に野菜が店頭で販売されることだけでは、「使い切る(食べきるという前提の前に、どうやって切って、どうやって食べるかがわからない)」ことができないお客さんが増えている。だから、野菜よりも「サラダ」を選び、さらに「サラダ」を出す飲食店が儲かる。つまり、より「お手軽」「時短」というキーワードがこのグローサラントを作り上げている要因とも言えるだろう。

一方で、これは飲食関係者が作る売り場ではなく、あくまでも「小売関係者が作る飲食の場」というのが面白い。あくまでもスーパーとして「見込み消費」を目算して作ることを前提に仕入れ、仕込みができる。飲食店は、そもそも「予約」「集客」があって、「席を埋めていかなくては」ならない。けれどグローサラントは、席を埋める必要がない。「食べる席がある」という感覚だ。「新たな食に対する便利さの提供」が食に関する「コト」「モノ」の展開になるだろう。

さて、「キチマ」。大阪の人たちはぜひ行ってみてください。そしてまだキチマに出会っていない方、あの賑わいは、一つのヒントして見てください。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp