和食STYLE

豆腐百珍のすべて 44 佳品 雲かけ豆腐

時代小説家/江戸料理・文化研究家 ⾞ 浮代(くるま うきよ)



【⾖腐百珍とは】
天明2(1782)年5月に刊行され、大ベストセラーになった江戸時代のレシピ本。豆腐料理だけを100品、6段階に分けて紹介するという斬新さで話題に。大根、卵、鯛、蒟蒻といった百珍ブームのきかっけとなり、『豆腐百珍続篇』『豆腐百珍餘録』も刊行された。

『雲かけ豆腐』という名前から、豆腐にとろろをかけた料理かと想像しましたが、それは47番に『薯蕷(いも)かけ豆腐』という、そのままの名前で掲載されていました。

ではなぜ「雲かけ」と名付けられたのかと申しますと、豆腐に寒ざらしの餅の粉(=白玉粉)をまぶして蒸した様子が、豆腐が雲を纏ったようにぼんやりと見えるからです。

ちなみに、現在の白玉粉はもち米を粉砕し、水にさらして攪拌と沈殿を繰り返した後、乾燥させて作るのですが、昔は河内(大阪府河内長野市)にある観心寺の名物で、極寒の時期に清流にさらして作られていました。当初は「観心寺粉」と呼ばれていたそうですが、やがてその製法から、「寒ざらし粉」と呼ばれるようになりました。

さらにこの料理、蒸した豆腐の上に18番『しき味噌豆腐』でも登場した「山葵(わさび)味噌」をかけて仕上げます。山葵味噌とは、味噌に白胡麻と胡桃を擂り合わせておき、さらにおろしたての山葵を混ぜる、というもの。さっぱりとしながらもピリッと辛味があって香ばしい、という乙な味の味噌だれです。

■雲かけ豆腐レシピ
【材料】
豆腐…1/2丁
白玉粉…大さじ1
白味噌…大さじ3
白胡麻…大さじ1
胡桃…2粒分
おろし山葵…適量

【作り⽅】
1. お好みの豆腐のをキッチンペーパーでくるんで水気を切り、白玉粉をまんべんなくふりかける。
2.1を鉢に入れ、湯気の立つ蒸し器に入れて中火で10分程度蒸す。
3.その間に白味噌と白胡麻と胡桃を擂り鉢でよくすり合わせ、おろしたての山葵を少々加えて練る。
4.2の上に3を乗せ、残りのおろし山葵を好みの量乗せる。

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⾞ 浮代
(くるま うきよ)

時代小説家/江戸料理・文化研究家。
江戸時代の料理の研究、再現(1200種類以上)と、江戸文化に関する講演、NHK『チコちゃんに叱られる!』『美の壷』『知恵泉』『歴史探偵』等のTV出演や、TBSラジオのレギュラーも。
著書に『江戸っ子の食養生』(ワニブックスPLUS新書)、『免疫力を高める最強の浅漬け』(マキノ出版)など多数。小説『蔦重の教え』はベストセラーに。
最新刊は『発酵食品でつくるシンプル養生レシピ』(東京書籍)。
http://kurumaukiyo.com

『江戸っ子の食養生』
『免疫力を高める最強の浅漬け』
『蔦重の教え』
『発酵食品でつくるシンプル養生レシピ』