和食STYLE

今さら聞けない「日本酒」のアレコレ vol.02 ゲスト吉峯英虎さん【後編】

今さら聞けない「日本酒」のアレコレ vol.2 は、前編に引き続き、ゲストに吉峯英虎さんをお迎えし、日本酒の魅力や楽しみ方について語っていただきます。
(今さら聞けない「日本酒」のアレコレ vol.1はこちらから)

家庭での日本酒消費がカギ
さちこ: 日本酒のポピュラー化には、やはり家での飲酒機会のアップは欠かせないですね。日本酒を飲む習慣があれば外でも飲むし、日本酒をギフトにしたくなるし。

吉峯さん:そうなんだよ。最近は宅配とか惣菜が拡大してきて、外食から内食への揺り返しの動きもあるから、日本酒ともぜひ色々合わせてみてはと思う。家庭でのメニューと日本酒のわかりやすいマリアージュの提案ができるといいんだよね。

ゆうこ:家飲みなら、お醤油と七味があればもう日本酒進みますしね。

さちこ:最近は冷奴に鰹節とお醤油かけたら、日本酒スイッチ入ります(笑)

吉峯さん:そうだね、確かに日本酒はアミノ酸だから、アミノ酸の味覚と合うな。

ゆうこ:実は私オレンジワインが好きで専門的に深掘りしてるんです。昨日もオレンジワインとスパイス料理のイベントをやったんですけど、オレンジワインはタンニンなのでスパイスが合うんですよね。

さちこ:私も参加したんですが、オレンジワインとスパイス料理の相性がとても素晴らしくて、脳髄に刻まれました。

吉峯さん:そうだね、そんな風に合わせの軸みたいなのがあると、より日本酒を選びやすくなるかもしれない。家庭内で日本酒を飲むことの後押しにもなるよね。とにかく日本酒を家庭で楽しむにはまず日本酒と酒肴の時間をつくること。鍋でも煮物でも和食ならまずは手元にある日本酒を一杯飲んで、相性を感じることが大切だよ。

ゆうこ:そうですね。

吉峯さん:あ、すみません、お酒おかわり〜。また別のをもらおうかな。

おかみ:どれにします?

吉峯さん:任せるよ。

さちこ:じゃあ私もそれお願いします。

ゆうこ:私もお願いします。ちなみに明日関西出張で朝7時の新幹線なので、今目覚ましかけてもいいですか(笑)。

おかみ:あら、早くて大変。

吉峯さん:すでに結構飲んじゃったね(笑)。

日本酒を楽しむコツ
吉峯さん: 日本酒って本醸造とかアルコール添加したものが二流で、純米酒とか大吟醸が上みたいなイメージがあると思うけど、必ずしもそんなことはないんだよね。そこらのわかりづらさで二の足を踏む人も多いのかもしれないな。

ゆうこ:そのあたりもポピュラー化しづらい理由の一つかもしれませんね。

さちこ:確かに、まだよくわからないです。先日、本醸造の四合瓶を二人で開けたんですが、美味しいし悪酔しないし、二日酔いもなかったなあ。

吉峯さん:まあ、日本酒は飲むほどにどんどん好きになっていくし、まさに右脳的トライなんだよね。情緒や感覚で飲んでいる。銘柄を記録したり、「30%磨かれました」いやこっちは「50%磨かれた」なんて話になるとまるで左脳的だけど、何より気軽に楽しむことが大事。

ゆうこ:一度飲む習慣がつくと、あれもこれも試してみたい気持ちになりますしね。

さちこ:今日いただいている日本酒もどれも美味しいな〜。おかみがつまみに合わせて選んでくださっていることも大きいと思うんですが、吉峯さんがお店で日本酒をオーダーされるときは何を基準に選ばれるんですか?

吉峯さん:もちろん「その料理にはどの酒が合うか? 」だけど、ポイントは 「では、それはなぜ合うのか? 」。吟醸だからとか純米だからというのではなくて、どこが旨いポイントだったかを自分の記憶にできれば最高だね。そして、こんな美味しいお酒の作り手はきっと素敵な人たちなんだろうなと想いを馳せることも忘れずに。

さちこ:作り手への想い、いいなあ。自分なりの統計ができると日本酒を選びやすくなりますね。

ゆうこ:本当。なぜ合うか、を感じるって素敵。作り手に想いを馳せることがさらにお酒を美味しくしますね。

吉峯さん:なんか二人といると酒が進みすぎて、酔ってきたぞ(笑)。

吉峯さん流🍶日本酒を楽しむための五ヶ条
其の一、気楽に色々な銘柄を試してみるべし
其の二、料理と日本酒の相性を感じてみるべし
其の三、その料理となぜ合うのか? を自分の記憶に刻むべし
其の四、美味しい酒に出会えたら、作り手に想いを馳せてみるべし
其の五、日本酒の魅力がわかってきたら周りに伝授して、仲間を増やすべし

吉峯英虎(よしみね・ひでとら)さん
1954年大阪生まれ、鹿児島育ち。一橋大学法学部卒業後、味の素株式会社に入社。食品の開発やマーケティング等と担当し、1997年スイスローザンヌのIMDにてPEDコース修了。2000年よりアメリカで責任者として冷凍食品事業を立ち上げ、2011年より2019年まで味の素冷凍食品株式会社社長を務める。2000年代中盤に「日本酒唎酒師」資格取得し、現在は日本酒の復興運動に奔走中。著書に『酒を愛し・酒に学ぶ』(エクセレントローカル出版部)。通称チャーリー。

ちんとんしゃん
東京都杉並区高円寺南4-24-11
chintonshan2@gmail.com(ご来店の際はご連絡いただけると確実です)
定休日 日・祝
美人女将は田島徳子(たじまのりこ)さん。

yOU/河崎夕子(かわさき・ゆうこ)

神奈川県逗子市出身の写真家。青山学院大学経済学部卒。雑誌、広告、ポートレイト、風景、料理写真中心に活動するほか、旅メディアの執筆(現在雑誌「旅の手帖」とweb「旅恋」で連載中)TV出演、国内外の地域ブランディングのプロジェクトへの参加も。2003年初個展「SHARE」から、これまでに12回の個展を開催。2013年フォトエッセイ「酒場のおんな」出版。現在は、複数のアパレルとのコラボでフォトTシャツがリリースされている。趣味は旅とアートともちろんお酒。
http://www.youk-photo.com

上田祥子(うえだ・さちこ)

1972年福岡生まれ。國學院大學神道文化学部卒。美容研究家・サン・ロータス株式会社代表取締役。「弥勒寺子屋」主宰。第17代クラリオンガールに選ばれ、モデル、レポーターなどを経て、ライターに。その後、2000年より3年間、アメリカ(NY、LA)に滞在し、英語、広告デザイン等を学ぶ。現在は、女性誌やウェブマガジン等に美容・健康を軸とした執筆、またコメンテーターとしてTV出演中。商品企画アドバイザー。神職資格を取得し、神主としても活動している。
https://miroku-terakoya.com

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