菅原佳己のGOTO GoTo-chi ⑤【発酵文化を知って・食べて・免疫力アップを目指したい!Part2】 m子
前回知った驚きの日本各地の発酵食品たち。聞けばそんな土地に根付いた伝統食を若い世代に伝え、また次の世代へと引き継ぐためのさまざまな取り組みがあるんですって。伝統とイマドキのハイブリッド商品とはいかに?!
研究家 菅原佳己
自昔ながらの醸造を続けるメーカーでは、蔵や仕込み桶などを新調する際は細心の注意をはらうそうです。代々、蔵や道具に棲みついていたカビ・菌・酵母などの微生物がいなくなってしまうと、味が変わってしまうから。そして、仕込みの最後は蔵にある神棚に「今年もいいものができますように」と拝みます。様々な菌が科学的に解明されていなかった時代から現在にいたるまで、発酵食とは「神のみぞ知る」とても神秘的な現象なのです。日本人が大切にしてきた発酵食を次世代に伝えるには、まず食べること! お腹の中から神秘体験しましょう。
GOTO-CHI Supermarket
ルックスや酒粕の独特な風味が苦手、というネガティブなイメージがつきまとう「しもつかれ」を、地元の若い層にむけてブランド化しアピールしているのが、しもつかれブランド会議。「しもつかれ」から一番遠いところにあるイタリアの焼き菓子ビスコッティに転化させたアイディアがすごすぎます。地元の焼き菓子屋さんとコラボして、ちゃんと大関商店のしもつかれを使っているのがうれしい。しもつかれの要冷蔵品という難点を、見事に解決し、お土産としての道を開く商品に! そのまま食べるとふわっと酒粕の香りがして、ちゃんとしもつかれの主張もあります。コーヒーに浸して食べると最高!
しもつかれ¥380(参考価格)大関商店
しもつかれビスコッティ ¥330 菓子工房こぶし
https://kashi-kobushi.stores.jp/
しもつかれブランド会議
http://shimotsukare.fun/
GOTO-CHI Supermarket
現代は家に急須がない人もいるという茶葉自体が売れない時代。そこで、伝統の茶葉を美味しく抽出した、飲みきりサイズのカート缶を開発し手軽に味わえるようになりました。さらに碁石茶を強炭酸のスパークリングで楽しめる、碁石茶スパークリングも登場。碁石茶の伝統的な作り方は400年変わりませんが、飲み方の提案は時代に合わせて大変化中。また伝統の発酵茶のPRとしてとてもキャッチーなコピーがクスッと笑えるんです。納得のコピーが印象的なのは丁寧な手作業の風景があるからでしょうね。
碁石茶スパークリング¥000
碁石茶カート缶(6本入り)¥972
大豊町碁石茶協同組合
http://514.or.jp/
GOTO-CHI Supermarket
現代人は年中スーパーで納豆を買えるので忘れがちですが、「納豆」は冬の季語。昔は、秋に新米を収穫した藁をつかい、冬、各家でゆでた大豆を包み発酵させたのです。だから、山形では納豆汁は体の温まる季節の食べ物。本来は野菜などを煮て味付けした汁にひきわりにした納豆を入れますが、雪割納豆でつくったの納豆汁の素は、旨味も塩気も充分なので味付け不要。忙しい朝にもぴったりです。1パッケージで5人前、たっぷり作れます。
また、「雪割納豆×かんずり」は山形の発酵食と新潟の発酵調味料のW発酵コラボ。パッケージのゆきんこちゃの勇ましい表情の所以について佐野社長にお尋ねしました。「雪割納豆の発祥した米沢は上杉謙信公を藩祖とする上杉藩の城下町ですので、謙信公に縁のある神様、毘沙門をデザインに取り入れました。ゆきんこが手に持っているのは、毘沙門が物 三叉槍(さんさそう)です。」とのこと。またとうがらし入り辛口のゆきんこちゃんは「ヒー!」っていう顔。パッケージの遊び心も楽しいですね。
雪割納豆かんずり入り ¥350
雪割納豆入り即席納豆汁の素¥240(冬季限定品)
ゆきんこ http://yukinco.jp/
(すがわらよしみ)
スーパーマーケット研究家。一般社団法人「全国ご当地スーパー協会」代表理事。
大学卒業後、放送作家としてバブル時代を彩る伝説のバラエティ番組を数多く担当。結婚後ご主人の転勤先の地方スーパーに出会い、その土地の日常食はほかの地域では非日常の魅惑の味であることを発見。持ち前の探求心と好奇心で、お土産屋さんでは出会えない魅力あふれるご当地スーパーの逸品を日々研究。執筆やテレビ出演、講演活動など広いフィールドでご当地スーパーの魅力を伝えている。
菅原佳己オフィシャルサイト
https://www.gotouchisuper.online/
「全国ご当地スーパー協会」
https://www.go-to-chi-supermarkets.com/