豆腐百珍のすべて 48 佳品 碎とうふ
時代小説家/江戸料理・文化研究家 ⾞ 浮代(くるま うきよ)
【⾖腐百珍とは】
天明2(1782)年5月に刊行され、大ベストセラーになった江戸時代のレシピ本。豆腐料理だけを100品、6段階に分けて紹介するという斬新さで話題に。大根、卵、鯛、蒟蒻といった百珍ブームのきかっけとなり、『豆腐百珍続篇』『豆腐百珍餘録』も刊行された。
『碎(くだき)とうふ』は、水気を切った豆腐を掴み崩して炒めた料理です。10番『雷とうふ』と調理過程が似ているため、レシピには「[十]雷とうふの下(ところ)に出たり」と書かれています。
『豆腐百珍』では、この「〇〇の下に出たり」に法則はなく、前出することも後出することもあり、現代の編集感覚では座りが悪いように感じます。
また、『雷とうふ』と似ていると言っても、崩して炒めるところが同じなだけで、合わせる食材は全く違います。『雷とうふ』は葱、大根おろし、山葵の千切りを使いますが、こちらの『砕とうふ』は青菜(小松菜や大根葉など)のみ。
「(豆腐)十挺に(対して)油二合あまりの分量也」とありますので、炒めるというより、アヒージョのように油で煮る、といった感覚でしょうか。
■薯蕷かけ豆腐レシピ
【材料】
木綿豆腐…1丁
青菜(小松菜など)…1束
胡麻油…18ml
葛粉(片栗粉)…小さじ2
醤油…小さじ2
薬味(胡椒、七味など)…少々
【作り⽅】
1. 木綿豆腐はしっかりと水切りし、青菜は洗ってみじん切りにして水気を切っておく。
2.鍋に胡麻油を熱し、豆腐を崩し入れてかき混ぜながら炒める。
3.2に青菜を加えてさらに炒め、醤油をかけまわして香りが立つまで炒める。
4.さらに移し、お好みの薬味をかけていただく。
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(くるま うきよ)
時代小説家/江戸料理・文化研究家。
江戸時代の料理の研究、再現(1200種類以上)と、江戸文化に関する講演、NHK『チコちゃんに叱られる!』『美の壷』『知恵泉』『歴史探偵』等のTV出演や、TBSラジオのレギュラーも。
著書に『江戸っ子の食養生』(ワニブックスPLUS新書)、『免疫力を高める最強の浅漬け』(マキノ出版)など多数。小説『蔦重の教え』はベストセラーに。
最新刊は『発酵食品でつくるシンプル養生レシピ』(東京書籍)。
http://kurumaukiyo.com
『江戸っ子の食養生』
『免疫力を高める最強の浅漬け』
『蔦重の教え』
『発酵食品でつくるシンプル養生レシピ』