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食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第19回

青森の魅力、「醞醸亭(UNJOTTEI)」を味わう。1日だけのレストラン。

年頭に一通の手紙が届いた。内容は青森で常日頃お世話になっている飲み仲間(?)で、今地方で一番行きたいレストランとしても名高いイタリアンレストラン「OSTTERIA ENOTECA DA SASINO(青森県弘前市)」の笹森通彰シェフと、つい先日、銀座三越のパイの催事で、味わったことがないアップルパイを提供してくださった、「EsqUISSE(以下エスキス)」のシェフパティシエ成田一世さんのコラボイベントの案内だった。

テーマは「発酵」と「熟成」。その1日だけのレストランの名前が「醞醸亭(UNJOTEI)」というのだ。主催が青森県ということもあり、心憎い組み合わせになっている、これは行かざるを得ない!

笹森シェフ、成田シェフとも挨拶を交わし、まず味わったのが、笹森さんが作り上げた、りんごのワインである。地元青森のリンゴ「シナノゴールド」と「ジョナゴール」をベースにして、火入れ、濾過を一切していないダイレクトな味わいのワインだ。今年から販売用にスタートするということで、気になっている商品だ。出来自体はリンゴの風味もしっかり出ている。これも「発酵」と「熟成」だ。

またワインも笹森シェフが10年以上前から栽培してきたワイン用のブドウを使い、現在11種類、少量多種のブドウを栽培しながら、青森の風土に合う品種を探して来た。今回いただいた、2015年のネッビオーロ、バルベーラはともに素晴らしい出来である。これはリンゴのワインとは異なり、ワイン特区の制限から、笹森シェフの弘前のお店でしか味わうことができない代物だ。特に赤ワインに関しては、日本全国みても、この品種を扱ったワイナリーもないくらい、本当に特別なものだと思う。これを飲むだけでも弘前に行くことはあるとおもう。

料理も、笹森シェフが自家製でこしらえたチーズやハム、燻製のマグロ、シャモロック(地鶏)のレバーのパスティッチョなど、いずれも、笹森シェフのお店のスペシャリテが登場し、ファンとしては、贅沢な構成だ。僕としては、ここ数年、笹森シェフの料理を味わう機会があるのだか、それこそ経験とノウハウが「熟成」され、料理に反映されている。その都度発見と、味わい深さを感じ、溜飲が下がるのだ。

特に、「黒にんにくの冷製アーリオ・オーリオ・スパゲッティ」は新鮮だった。青森県は「田子のニンニク」というブランドが代表するほど、ニンニクの世界的な産地だ。そのにんにくを高温多湿の環境で、じっくり熟成させるとできあがるのが「黒にんにく」。黒にんにくは、特有の匂いが消え、甘く、そして適度な酸味が加わり、「プルーン」のようなフルーティな味わいになるのが特徴だ。

その黒にんにくを冷製パスタに仕上げたのだ。以前僕自身も、笹森シェフと黒にんにくを使ったショコラティエを検討したことがある(結局様々な理由で頓挫したが)。その想いもあってか、この料理が出て来たときは「ああ、ここまで来たか・・」と一人、感慨深くなったのである。笹森シェフ曰く「結構冒険的に恐る恐る出したんです」といっておられたが、これはこれでスペシャリテになると思う。

かたや成田シェフは、パティシエではあるが、特筆すべきは「パン作り」である。2007年にはNYタイムズ紙が選ぶ、パンとデザート部門の「Best of NewYork」を受賞。それから「ラトリエ・デュエル・ロブション」などで腕を振るい、現在の「エスキス」では、「エスキスサンク」という独自パティスリーを展開するなど、いま注目のパティシエでもある。「今回のテーマにおいて、パンの中に、日本の根本的な発酵要素を、デザートの中に、よく言われる熟成とはという疑問に対して答えを感じさせようと考えた」と言っている。

その成田さんが一つ一つのテーブルを回ってだすパンの素晴らしさ、そしてデザートの二品目「栗の薄焼き熱地のタリアテッレ」は、栗のスープと洋梨のコンフィに浮かべた栗の粉で作ったネッチ(フィレンツェより北西に位置するピストーイア周辺で食べられる栗ののクレープのこと)のトルテリーニは、食べ進めると、徐々に味が変化し、このデザートに昇華されるまで、発酵と熟成させて準備した食材であることが「感覚的に」インプットされていくのが面白い。「感じたことがない味」は、自分の中で消化されるまでタイムラグがある。そのタイムラグ自体で、どんどん味が変化するものだから、面白いのだ。

こうして青森でも、そして東京でも味わうことができない「青森食材のアプトプット」を味わうことができ、至福の時だったという一方で、この取り組みをFoodnia Japanとして、地方と都会の橋渡しができる「表現の場」の必要性を感じるのである。これは美術家と一緒で、「アーティストレジデンス」で、アーティストがその地域場所に短期的に住まい、暮らすことで感じるものを、自分の作品に投影し発表するスタイルがあると思うだが、そのシェフ版、パティシエ版があるのだとおもう。それは地方だけではなく、まさに「巡回展」「ミュージアム」のように、地方と都会を巡る「食の地域間交流」はますます面白い動きをつくることになるだろう。

そんな可能性を感じる、一日だけのレストラン。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第18回

関東のおへそ、埼玉「大宮ナポリタン」を盛り上げろ!

東京を離れれば地方という感覚が正しいのかどうか、最近疑わしい。「地方創生」というキーワードを元に、都市と地域の格差を埋めるためにはどうすれば良いのか、それを「人」と「食材」で繋いでいけないかと日々考えている。

そう考えると東京もさることながら、埼玉県さいたま市大宮区の存在が気になるのだ。特に「鉄道の結節点」として東日本最強とも言えるだろう。元は、武蔵国一宮である氷川神社の門前町として、それ以後は中山道の宿場町として発展した大宮は、いまやJR東日本最大のハブであり、新幹線の結節点としても重要なポイントである。また、埼玉県から東京に通勤する人たちにとっても十分な通勤圏内で、東京と横浜の距離感と変わらない。けれど、港町横浜と比較すると観光地でもなく、これといった目立った土産ものも少ないのだ。

軒先マルシェの様子●

そんな中、大宮を愛する有志たちで、「現代の街道」として、昨年からマルシェ(軒先マルシェ:http://www.saitamas.com/)や、新幹線が繋ぐ各県からの名産を、大宮の商店街や飲食店に紹介するプロジェクトが始まっている。

雪下人参をPRする私●

その中でも、先日、青森県人代表として、12月から3月にかけて収穫される「雪下(ゆきした)人参」を紹介しに、「大宮ナポリタンの会」に参加してきた。

大宮ナポリタン●

かつて、「鉄道のまち大宮」として栄え、その周辺で働いていた鉄道員や工場マンがよく食べていたといわれるナポリタン。そんなナポリタンを、ご当地グルメとして復活させたのが「大宮ナポリタン」。いまこの活動が熱い。

大宮ナポリタン:http://omiya-napoli.jp/

そんなナポリタンに使える食材として、紹介したのが雪下人参なのですが、雪下人参自体は、雪の下から収穫される「にんじん」で、野菜とは思えないフルーティな甘さが特徴だ。

冬に収穫することにより、「にんじん」自体がもつ、寒さでも凍らないよう身を守る生理機能が働いて糖分が蓄えられ、野菜とは思えないフルーティな甘さをもった「ふかうら雪人参」が生まれる。収穫直後の「にんじん」は、糖度9度前後、高いものでは12度を超えるものもあります。また、一般的に時間とともに野菜の水分は蒸発しますから、その分糖度はさらに上がっていくこととになるのだ。

私もさっそく、自宅で「キャロット・ラペ(人参サラダ)」にしたり、筑前煮の具材としてザクザクと入れてみたりして食べている。雪下人参を美味しくいただくためのコツは、「オイル」の使い方だ。

人参に含まれる、「カロテン」が、油に溶けやすい性質をもっている。 サラダならオイルを使ったドレッシングをかけて、料理なら油いためや肉などと一緒に調理すると、体に吸収されやすくなる。特にこの時期の人参は美味しい。

手前味噌ながら、弊社の八百屋「八百屋瑞花」においても、人参フェアを断行。ぜひ2月いっぱいはFacebookページをチェックしてみてほしい。様々な種類の人参を仕入れながら、「1日1本、にんじんを食べる運動」を実施中だ。

https://www.facebook.com/yaoyasuika/

さて、大宮だが、北海道をはじめ東北や甲信越、北陸の食材を網羅し、これから新幹線就航の周年記念も相まって今後の展開から目を離せない。いま僕らが狙うのは、もしかすると東京より大宮かもしれない。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第17回

創業300年。割子そば「粉名屋 小太郎」。

珍しく今年の日本は、日本海側を中心に、大雪に見舞われている。

先日訪れた山形では、駅のホームに雪片付け用のダンプが。ダイヤも乱れがちで、できるだけ余裕を持った移動を、冬場、特に北国を訪問するときには気をつけなければならない。(一方東京は本当に快晴の毎日だが)

そんな山形で訪問した蕎麦屋がまた秀逸。創業300年「粉名屋 小太郎」だ。

「ここにきたら、必ず食べなければならないものがあるんですよ」と、いつも山形を案内してくるK氏は、めっぽう、世話好きで、必ず僕が山形を訪れると、いろんなところに連れて行ってくれる。

「もうオーダー済んでいますからね」と言われて、出てきたのが「割子そば」だ。重で重ねられていて、それぞれに楽しみながら食べるのか?と思いながら、ふとメモ書きに目が進む。

「おそばの上に薬味をのせ、その上から そばつゆをしめす程度かけ、一段づつお召し上がりください。千代口は、そば湯を飲むときに用います」

一段ずつ、そばと薬味をテンポよく、それでいて一つ一つが際立ち、面白い。あっという間に食べられる。ざるそばやそば会席にはない、「提案型のざるそば=割子そば」だ。

割子そば自体は、島根県出雲地方の郷土食としても有名だが、この重箱で積み重なった割子の楽しさを「薬味」で演出するところは、粉名屋小太郎さんの持ち味かもしれない。

「こんな青空久しぶりです、松田さん、いい日に来ましたね」とK氏も僕の割子そばの満足度具合にご満悦だ。

K氏の提案、また楽しみだ。

粉名屋 小太郎:http://www.konaya-kotaro.com/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第16回

ゆるキャラならぬ、「ゆるパイ」を全国津々浦々集めてみる。

皆さんは、地方みやげで何を買いますか?

地方名産はもちろん、その土地ならではのものを購入されると思います。それは僕もそうで、毎回、いく先々で、みやげものに悩みます。しかし、そんなみやげものを見ていくと、面白いことに気づきます。

それは各県どこでも「パイ」があるということ。北海道や沖縄であれば、果物や食材にこだわったパイや、観光名所の名前がついているパイもある。気になり出したら止まらない、そんな僕の好奇心がグッと上がります。

以前、このFoodnia Japanの記事でアップルパイを紹介したことがありました。その時も少し触れましたが、私は何を隠そう、「一般社団法人日本パイ倶楽部」の代表を務めており、地元青森のアップルパイもさることながら、日本各地のパイは、いつも気にしてみております。

話は戻りますが、そのパイ菓子は本当に全国各地、津々浦々あるものです。

2014年に行われた「全国ゆるパイ展の様子」●

その北海道から沖縄までの47都道府県にどんなパイがあるかと調べたのが、日本パイ倶楽部の理事でもある、藤井青銅氏である。藤井氏は、2014年夏、「全国ゆるパイ展」を東京渋谷で開催し、1万人を動員する催事を手がけました。会場では、商品の他に、藤井氏ならではの各県のパイに対するコメントがこと細かく書かれ、日本のご当地パイ菓子にスポットを当てるきっかけを作りました。

その日本各地のパイ菓子を再び集めて展示しようというプロジェクトがスタートしました。その名も「全国ゆるパイ展2017」。今年2017年2月10日から14日のバレンタイン期間中に、東京吉祥寺の東急百貨店にて催事と販売を行うことが決定したのです!

それからというもの、各地出張の際には、必ずみやげもの屋に駆け込み「パイ」という菓子を片っ端から集め始めています。

もう津々浦々、こんなにパイ菓子ってあるのか!ってくらい、いろんなパイ菓子があるもので、ちょっとした昆虫採集のようで、貴重品種に出会えると興奮します(一番興奮しているのが、藤井理事w)。

全国ゆるパイ展2014年のトークショーの模様●

全国各地の「ゆるパイ」の展示のほか、藤井理事による「ゆるパイトークショー」も実施。彼の視点や、ゆるパイの考え方はとても面白いし、とにもかくにも、こんなに全国各地のパイ菓子が集まることはないので、この機会にぜひチェックしてもらいたい。

パイで地域おこしができるのでは?というくらいのボリュームです。会場にてお待ちしております!

●日本パイ倶楽部:http://www.pie-japan.com

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第15回

何もないけど、何でもある。不便こそ、価値がある。

新年早々、向かった先は西伊豆だ。

西伊豆の漁港から、一隻の船に乗り込み、向かった先は、リアス式海岸でえぐられてできた、ちょっとした入江だ。仮設の船着場を伝って、そこにつくと、無人島のような、大自然に囲まれた、秘密基地。

そこには、大きなテントのほか、カヤックのボート、ちょっとしたキッチン、トイレが設置されているほかは、「何もない」。けれど、断崖を背に海を見渡すと、穏やかな海沿いの風景が、ふと、日本ではない、どこか国外のような気持ちにさせてくれる。

1日1組限定のグランピングを基本に、百人規模のイベント、ウェディング、社員研修といったオファーが絶えず、「グランピング」という全国規模の広がりを見せている中で急成長を遂げているのが、VILLEGE INC(ヴィレッジインク)だ。今回、担当者にアテンドいただき、彼らが本拠地としている伊豆を中心に、いくつかの施設を見させてもらった。

正直アクセスも不便で、車で直接現地に行けるようなところは少なく、チャーターされた漁船や、運搬用のトロッコ(乗せていただいたが、怖くて肝を潰す。)しかない。けれども彼らは「不便上等、それでないと本当の自然は手に入らない」と言っている。もともと代表の橋村和徳氏は、自ら何もない場所に踏み込み、草刈りを1年半(!)かけてやり、予約殺到の場を作り上げた。

本気度が高いゆえ、ここに来るだけの価値はある。もちろん、グラマラスな体験を求める「グランピング」だからといって、星野リゾート富士のような、全てが整っているわけではないので、利用者の度量やアイディアも求められる。しかし、そこはVILLEGE INCも、フォロー、サポートする仕組みを作っている。だからこそ、気兼ねなく遊べ、大自然の秘密基地となり、利用者を魅了しているのだ。

視察を終え、夜も更け、下田須崎にある割烹民宿「小はじ」に泊まらせていただいた。漁村に面したその場所は、早朝から漁港の営みを風景として見ることができる絶好のロケーション。大将の小川浩史さんは、神楽坂の割烹「割烹 千代田」出身。東京三田の「ふぐ料理 山田屋」にもいた敏腕である。地元の下田に戻り、実家の民宿を継いでいて、VILLEGE INCの活動もサポートしている。

さて民宿は一泊8000円弱なのだが、さすがの腕前、提供される魚料理のうまさに、舌鼓を打った。特に朝ごはんは、久しぶりに会心の出会い。ここの名物、金目鯛の煮付けには、残念ながらありつけなかったが、この民宿は、これもまた「来るべきところ」。ぜひ泊まってみてもらいたい。

伊豆は、東京から車や電車で2−3時間かかる。しかし、東京からその距離でマリンスポーツや大自然、温泉を楽しむ場として、ファンも多い。最近熱海も復活しているが、南伊豆、西伊豆も、十分楽しめる範囲である。相模湾、駿河湾に面したこの地域は、食材も豊富だ。とはいえ、地域を丹念にみていくと、この食材を生かしたレストランはあるものの、値段やメニューについては、まだまだ改善すべき点が多いと感じた。

僕としても、VILLEGE INCの活動もさることながら、この地域一帯の食のスタンダートを高めることによる実験を試みたいと思っている。日本のコート・ダジュールに。遠くの海外より、近くの伊豆。何にもないけど、何でもある、彼らの精神をもとに。

●VILLEGE INC :http://villageinc.jp/

●割烹民宿小はじ:http://kohaji.jp/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第14回

正月の果物といえば!毎年楽しみ「桜島小みかん」。

すっかり僕は、桜島の小みかんにはまってしまっている。

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先日さっそく今年第一弾の小みかんが届いた。整然と並べられて、それでいて可愛い。先日のミニ庄内柿ではないが、この小みかんもまた小さい。

生産者によると、今年の小みかんは、生育もよく、桜島の降灰の影響もなかったので、皮の損傷もなく見た目も美しいとのこと。早速食べてみると、今年は甘みもありジューシーで、小さいながらぎゅっと甘みが凝縮している。今年は昨年と比べて幾分か、種が少ない。もちろん個体差があったり、毎年異なるかもしれないが、今年は本当にオススメだ。

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その生産に当たっているのが、実は鹿児島の特産品「桜島大根」を作っているファームランド櫻島さんである。昨年、弊社の八百屋「八百屋瑞花」で桜島大根フェアをやらせていただき、そのご縁から、桜島周辺の野菜や果実の情報をいただいている。この大きさは、もはや笑える。小学生低学年の子どもと同じくらいの背丈なのだ。

もちろん今年も、桜島大根を1月後半から販売を開始するので、ぜひ弊社の八百屋瑞花をチェックしてもらいたい。丸ごと購入しても良いですし、カットして販売もするのでスタッフに話してください(笑)

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桜島大根もさることながら、その担当者から送られてくる、生産者さんたちの写真が生き生きとしていて、こちらがとても元気付けられる。なにより、食べる側がそういう気持ちになるのだから、「おいしい」という感覚は、味覚だけではなく、こうした「感情」「表情」「雰囲気」も食べているのだと改めて実感するのだ。

「地域おこし」の基本は、「外から叩き起こされる」のではなく、「内から興すこと」であるといつも思っている。僕はそのお手伝いを、仕事を通じて実践している。一つ一つ地域の宝を自ら発信し、そして「欲しい人に届ける、伝える」ことを丹念に考え、企画する。このサイクルが、地域おこしの原点だと思う。

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こうした桜島の生産者のような、明るく、そして「適正な」ビジネスをしている人たちを積極的に応援していきたい。

 

ファームランド櫻島:https://www.facebook.com/farmlandsakurajima/

八百屋瑞花:www.suika.me/

松田龍太郎

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1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第13回

あけましておめでとうございます。

2017年がスタートしました。皆様はどんなお正月を過ごしましたでしょうか。

私は毎年、自分の実家のある青森県弘前市と、妻の実家がある栃木県真岡市を行き来しております。

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真岡には、「大前(おおさき)神社」といい、恵比寿様が祀られた神社があり、縁起もよく、毎年多くの参拝客で賑わう。私も毎年ここで恵比寿様にすがりながら?正月を過ごしている。

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しかし、妻の実家の正月はそれだけではない。義理の父は、退職後に調理師専門学校に通うツワモノで、調理師免許をとり、そば職人に。それで毎年「年越しそば」と、次の日の元旦のうどんと、麺ものがめっぽう旨いのだ。

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そして義理の母は、こちらもめっぽう料理好き。自宅の畑で採れた無農薬の野菜を使った漬物をはじめ、毎年年越し用の「おせち」を作り、皆に振る舞うのだ。こうした母の味、実家の味を守っている。

日本にはこうした正月ならでは、地域ならではの伝統食が多い。お雑煮だけでも、毎年この時期、「この地域の食べ方はこう、あの地域はこう」といった話題が多い。

所変われば品が変わる。

出汁や使う食材、文化、風土も含めて、一つの料理でも全く異なるものが生まれるのである。

そうした地域の食の情報を拾い、その土地ならではの食材、料理に光をあて、地域を守っていくことである。

弊社の会社名の「oiseau」はフランス語で「鳥」である。

今年の干支は「酉(とり)」。

鳥がもつ自由闊達な行動力を軸に、今年も全国を飛び回ろうと思う。

松田龍太郎

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1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第12回

日本のプロヴァンス?岐阜、中山道のパティスリーに出会う。

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さて、2016年も残り10日をすぎ、いよいよカウントダウンである。

先日、講演会に出演するために訪れたのが岐阜県可児郡御嵩町(かにぐん・みたけちょう)である。岐阜県は、東京—京都を群馬、長野ルートでつなぐ「中山道(なかせんどう)」が横断し、その宿場町として、御嵩町も存在している。

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街の雰囲気は、その中山道に旧市街地があり、趣深い街並みである。日本有数の道ではあるが、いまの中山道は、小径のような風情で、場所によっては、アスファルトではなく、砂利道が今もなお残っている。

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そんな中山道をたどって、御嵩町役場の方にぜひ案内したいと連れて行ってもらったのが、こちらの「La Province(ラ・プロヴァンス)」である。

http://www.la-province.com/

小さな丘の上に佇んでいるこの家屋が、まさにフランスの片田舎のようなパティスリーだ。

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このお店を経営しているのが、オーナーパティシエ渡辺さん。元々はお父様がこの山を切り開き、ラベンダーをはじめとするハーブ畑をはじめたことがきっかけだ。自身は名古屋で洋菓子を学び、この土地に戻り、ハーブ畑の横に小さなお菓子屋を開いた。

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いただいたのはプチフール、これもまた小さな洋菓子の数々。一つ一つどれを取っても丁寧に作られていて、このお店の雰囲気にぴったりだ。お客様も、僕らのような県外のお客様もわざわざドライブがてらくることもあれば、地元でも唯一と呼べる、お菓子の楽園にきては、会話を弾ませ、過ぎゆく時間を楽しんでいる。

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お店の調度品も、すべて渡辺さんのセレクトで、BGMまで世界観がきっちりしていて、その「ズレ」が全くないことに、違和感なく、むしろ心地よい空間に仕上がっている。

「よく最初から狙って作ったのでは?と聞かれると、そんなことはないのです。本当に小さなお菓子屋さんからはじめて、すこしずつ増築したり、スタッフを雇ったりして、ここまで来ました。最近では、隣に小さな小屋を建てて、小さなショップを作りました。ここも地元の人が商品を並べて、商売を始めようとしていますよ」

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地元がある人間は強い、と常々思うことがあります。

僕自身も青森に生まれ育ち、その「先天性」によって、かなりの恩恵を受けることが多いです。もちろん都会と比べると不便かもしれませんが、年を重ねるとその先天性に導かれて、今の人生に厚みが出ていると感じることがあります。

渡辺さんのお父様が開いたこの土地に、自分を重ねて、さらに熟成させることが素晴らしく、そこに根付いた大きな根っこは、いまより大きな木に、実になりはじめているという印象を受けました。

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この世界観こそ、ファンを作り、そしてこのお店を成立させている。地方にあるべきお店、見習うべきお店の一つだと思います。

ぜひ名古屋で時間がありましたら、そこから電車で1時間、さらに車に乗り換えて20分。ぜひ日本のプロヴァンスのパティスリーに足を運んでみてはいかがでしょうか。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第11回

地域は最適化の時代へ。里山の風景を残すために。

すっかり師走も半分を過ぎた。あっという間に街はクリスマス。

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今年は暖冬なのか寒いのか、毎日ころころ気候が変わる。

恵まれた晴天が多く、乾燥した冬は、インフルエンザも流行りはじめが早い。

今年は早々に、予防接種を済ませ、まだまだ年内日本を走り回る覚悟だ。

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そんな中、兵庫の奥、丹波篠山へ出向くことに。

最近、地方で元気にしている企業との波長が合っている感じがする。その極め付けが、一般社団法人NOTEだ。

小さな集落の里山の風景を残すため、集落の古民家を買い付け、それをリノベーションし、ホテルや旅館にコンバージョン。それを、なんと集落の住民が運営するという画期的な手法を編み出し、移住定住を促進している、面白い会社なのである。その代表を務める金野氏と、彼らの事案を巡るツアーを先日開催した。

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特に彼らの本拠地である丹波篠山は、街中にホテルの機能を点在させ、その点在した場所の古民家を再生し、ホテルやレストラン、お店に変えて、そこに若い人たちが住み、営業をしているのだ。もちろんホテルのプロも入っていて、サービスの純度を上げている。最近では海外からのお客様も多く、インバウンド効果も望める。

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そのプロジェクトの中でも「集落丸山」は是非見てもらいたい。

篠山の街中から車で5分。山あいの小さな集落で、家屋は7軒のみ。元は2軒の地主しかおらず、空き家だったその地域をNOTEは2軒をホテルにコンバージョン。そしてレストランを運営させて、その運営者たちも住み込み、さらに住宅をリノベーション。

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そしたら、耕作放棄地も徐々に減り、いつのまにか耕作放棄地もゼロとなり、丹波篠山の名産「黒豆」を育てる農家が生まれてしまった。名産地としては、後継者不足で悩み、耕作放棄地も増えていたこともあったので、これはうれしい悲鳴だろう。

集落は、里山の風景を継続させ、住む人が再び根を下ろし始めようとしている。また森林の間伐をすることで、動物もまた、自分たちの領域を認識し、人間との距離感を取ろうとしている。最近では、シカやイノシシ、クマといった「ジビエ」と持てはやされている実態もまた、人間と動物の境界線の変化だけではなく、そうした環境を維持できないことにもつながった結果だ。少しずつ「あるべき生態系」を取り戻しつつも、「最適化される地域」は、人口減少する日本にとっては急務の課題である。

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その地域のめぐみを最適化し、提供されるのが「郷土料理」であろう。丹波篠山の大手食堂でいただいた、猪肉(シシ)と、「山の芋」と呼ばれる自然薯のトロロがかかった「シシ肉とろろ丼」は絶品だった。いつか「ぼたん鍋」も挑戦したいものだ。

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食べ物もそうだが、こうした過疎地域を育て、運営することの大変さもまたある。けれどNOTEの仕組みは卓越している。積極的に専門的な企業や組織、メンバーを入れながら、「地域に必要なものを最適化して届ける」ことに特化している。きちんと賑わいづくりも始まっていて、そこを目掛けてわざわざ遠方から集客、、、と思いきや、集まってくるのは地元の人たち。小さな顔が見えるコミュニティが自生し始めている。これが町のあるべき姿で、まさに最適化された効果が出ている。インバウンド、アウトバウンドではなく、まずは地元、近所、両隣、街中だ。

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また街中のホテルは、サービスを充実させ、宿泊業や飲食業に長けたチームで構成されているので、他と遜色がない。だから、質を落とすことなく、最適な金額を満足して払うことができる。一方で集落は、そこに住む人たちが、その場所を運営している。街中とは違い、ホッとした空気感と距離感が、都会暮らしや海外生活が長い人たちや外国人にとっては、安らぎを与えている。

地域にはいま「最適化」が必要なのかもしれない。そして、そこに必要とされる人もまた必ずいる。地域へ飛び込むチャンスは、居場所探しではなく、明確な意志であることを確認する。まだまだ意志がある人がいる限り、地域は衰退することはない。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第10回

今年の新物は「新あずき」で決まり!

師走とともに、秋の収穫を祝う事柄も多くなります。

その最もたるものが「ボジョレー・ヌーボー」。フランスで始まったこの新酒を飲む習慣は、瞬く間に世界に広がり、11月の第3木曜日の解禁日になると、今年も美味しいワインを飲もうと、マーケットは華やぐ。一時期の賑わいよりも熱は下がったが、新物といえばこの話です。その他、「新米」「新(日本)酒」など、日本も穀物や果物に由来する、こうした催しや歳時記を目にする機会が増えました。

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そんな師走の中、福島・郡山で始まったのが、「新あずきをつかったお饅頭」の販売だ。嘉永3年創業、今年165周年、郡山の銘菓「柏屋」の「薄皮饅頭」がそれにあたる。

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柏屋の薄皮饅頭が、「新あずき」を銘打ったのが2015年の昨年12月。それまでも、もちろん北海道十勝産の新物あずきを使っていたが、「新あずきを使った新物まんじゅう」をお客さんに明確にアピールすることはなかった。いつもこの時期になれば、小豆が変わり、胴鉢で煮込まれる小豆が、アンコとなり、代々伝わる「薄皮饅頭」としてお客さんの口に届けていた。

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しかし、お饅頭は、ケーキと違って、歳時記があるわけではないし、旬ものとはまた異なる。あくまでもお土産として考えられていたが、ふと「新あずき」をアピールしようと考えた、5代目本名善兵衛社長は、パッケージから何から、12月の新あずきが出た時からガラッと変更して販売を開始。それまで同じ時期に販売していた「薄皮饅頭」の売り上げが前年比を大きく超える成果をだしたのだ。

広い和菓子業界でも、なかなか「新あずき」と銘打ってアピールすることはほとんどない。むしろ「当たり前」ということで見過ごすところを、原点回帰し、価値につなげた好例といえるだろう。

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柏屋はさらに、「日本三大まんじゅう」の一つであり、東京の塩瀬総本家の「志ほせ饅頭」、岡山の大手饅頭伊部屋の「大手まんぢゅう」と並び称され、最近注目のお饅頭屋さんである。先日も日本橋三越本店で行われた催事では、3社が勢揃いし、お客様を楽しませたのは他でもない。

足下を掘れ、そこには泉がある。

その昔、ニーチェが言ったその言葉にまさにあたることではあるが、お饅頭の価値を見出そうという企業の志もさることながら、「当たり前の中に気づく本当の価値」が、これからの地方の食における究極のヒントである。

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僕はもともと、こし餡のファンだが、この「新あずき」の時だけは、「つぶ餡」ファンになろうと心に決めた。

●柏屋 薄皮饅頭

http://www.usukawa.co.jp/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp