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光文社厳選!和食情報ナビ

食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第47回

Fruit with coffee, Please! コーヒーの新提案。

この赤々とした「完熟マンゴー」が、「沖縄」「宮崎」といった産地から届くとき、季節の移り変わりとともに、一気に外気温も急上昇して、夏が訪れる。今年は6月末で、関東地方も梅雨明けとなり、また西日本を中心に、大雨が続いている状況からも、まさに、温暖というよりは、熱帯という気候になりつつあるのではと感じる。弊社の八百屋にも、今年はじめて宮崎は「やました農園」さんより、立派なマンゴーが届いた。沖縄の「あいあいファーム」さんからもアップルマンゴーなども届き始めており、早春の愛媛の柑橘から、いよいよ夏場の完熟果実が店頭でも目立ち始めてきた。

一方で、弊社が出店している商業施設「FOOD & TIME ISETAN YOKOHAMA」では、夏場を境に、各店舗さんとのコラボレーションが生まれ始めている。

そのうちの一つ、今までにない新しいコーヒースタイルを提案するUCC上島珈琲さんの「COFFEE STYLE UCC(コーヒースタイルUCC)」とともに、「私にぴったりのコーヒーに出会うことができる」、「私らしいコーヒースタイルを見つけることができる」をコンセプトに、新しいコーヒーのライフスタイルを提案する「Fruit with coffee」を提供することになりました。

つまり、私たちが提供する果実に、UCCさんの世界選りすぐりのコーヒーをくっつけようという企画だ。いま「マンゴー」「西瓜(すいか)」「白桃(もも)」と言った水分多めで甘みも豊富、果実味があるものと、少し時期的には早いが柑橘系の、旬が速いもの、2つを提供しようと検討している。それに、UCCさんで、ブラジル産のコーヒーをメインに、エチオピアや中南米の豆をブレンドし、スイーツ系に合うまろやかなもの、サワー系の酸味の強さを引き立たせながら、コーヒーの味わいがしっかりしたものを出すのである。

先日、試しに、果実を食べながら、UCCさんのコーヒーを試飲させていただいたのだが、驚くことに、水出しコーヒーのような、夏の暑さを吹き飛ばすような冷たさのものではなく、手差しでしっかり入れた暖かいコーヒーが、果実の味わいを、より別の世界に送り込んでいるような感覚を提供しているのだ。八百屋として、「野菜に合う」「果物に合う」といった「コーヒーへの見方」をしてこなかったので、その味わいの新鮮さにスタッフ共々、感銘を受けたのを覚えている。

7月28日(土)、29日(日)とUCCさんのお店で、果実とコーヒーの組み合わせを紹介するワークショップ、そして果実の販売を始める。ぜひこの機会に、横浜店まで「Fruit with coffee」を味わいにきて欲しい。

 

●COFFEE STYLE UCC(コーヒースタイルUCC)

(関連記事)https://www.ryutsuu.biz/store/k032042.html

 

●ヤオヤスイカ横浜西口店

http://www.suika.me/yokohama

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第46回

「キチマ」ご存知ですか?

さてこの3文字、聞き覚えありますでしょうか。流行り言葉でもなく、合言葉でもないです。れっきとした業態名です。その名も「キッチン&マーケット(台所&市場)」です。(https://www.lucua.jp/foodhall/

最近では、「スーパーマーケット」が変わりつつあります。弊社が運営出店している八百屋についても、商業施設内スーパーマーケットにおける青果部門として入っておりますが、欧州などで人気、食業界で話題になっているグロッサリーとレストランが融合、イートインの進化系と呼ばれている「グローサラント」がこの「キッチン&マーケット」に近い形です。

2018年4月1日にオープンした阪急オアシスが手掛けた梅田ルクア1100に出店した「キッチン&マーケット」はこれまでとは違い革新的な売り場となっています。まず、野菜売り場に、500円均一のサラダバーが存在。そこに置いてある野菜がふんだんにカットされて、そこに群がるようにお客さんが一生懸命サラダを透明パックに詰め込む様子が見られます。また野菜に限らず、お肉屋さんでは、買ったお肉を「自宅用」「レストランですぐに食べられる用」に分けて販売、飲食が可能です。

この阪急オアシスが手掛けた売り場574坪は売り場毎にマルシェの色合いを上手に醸し出し、レストラン機能もオペレーションも緻密に考慮し、自社の商品97%の品ぞろえで、300ほどある飲食席で、買ったものをその場で食べられるようになっています。だから「飲食値段」ではなく、あくまでもスーパーの「小売価格」で販売されたものお客さんが食べられるようになっています。

価格設定については若干、高め設定が気になるところであるが、地代も高いので致し方無い。

出店先はJR大阪駅北側と直結している「ルクア側地下2階」。売り場ごとにそれぞれ特徴があり、イタリア食材、料理を提供する「メルカ」、惣菜、飲食もある生鮮マルシェ「フレッシュガーデン」スイーツを集めた「スイーツアットホーム」、精肉を集める「ミートフェスタ」などといった7つのエリアで形成されており、特に気になったのが、共用部(各店舗をつなげる廊下や照明など)のデザイントーンが統一されており、阪急オアシスとして、業態に3年ほどの時間をかけたというほどの気合が入った結果だと思う。また出店場所が「大阪のど真ん中」というのもうなずける。梅田という大阪の中心地で180万人という圧倒的な通行量でその立地にものの見事にあてはめた売り場作りであり、これまでの阪急オアシスは出店するたびに売り場が着実に良くなっていき、その集大成がこの「キッチン&マーケット」と言える。海外でも十分に通用する売り場だと思う。

このグローサラントの特徴は果たしてどこか。

大きく言うと、「人々の日常食の変化」だ。単に野菜が店頭で販売されることだけでは、「使い切る(食べきるという前提の前に、どうやって切って、どうやって食べるかがわからない)」ことができないお客さんが増えている。だから、野菜よりも「サラダ」を選び、さらに「サラダ」を出す飲食店が儲かる。つまり、より「お手軽」「時短」というキーワードがこのグローサラントを作り上げている要因とも言えるだろう。

一方で、これは飲食関係者が作る売り場ではなく、あくまでも「小売関係者が作る飲食の場」というのが面白い。あくまでもスーパーとして「見込み消費」を目算して作ることを前提に仕入れ、仕込みができる。飲食店は、そもそも「予約」「集客」があって、「席を埋めていかなくては」ならない。けれどグローサラントは、席を埋める必要がない。「食べる席がある」という感覚だ。「新たな食に対する便利さの提供」が食に関する「コト」「モノ」の展開になるだろう。

さて、「キチマ」。大阪の人たちはぜひ行ってみてください。そしてまだキチマに出会っていない方、あの賑わいは、一つのヒントして見てください。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第45回

[「わざわざ訪ねる」土地を作ること。]

6月初旬。久しぶりにバスで岡山県新見市に向かう。

以前このブログでも紹介させていただいたが、岡山県にあるワイナリー「domaine tetta」にて、昨年2017年からスタートしたイベント「Vin Voyage」に参加するためだ。このイベントは、tetta高橋社長とフードプロデューサーがタッグを組み、その年のテーマに沿って、チームを作り食事や什器、そしてワインのペアリングを実施するものだ。

今年のテーマは「山形」だ。

(※山形「タケダワイナリー」のラインナップ。)

その中でも、国産ワインとしても著名な「タケダワイナリー」の岸平ご夫妻がわざわざ岡山県にやってくるというからには行かざるを得ない。また、それに合わせた食事も秀逸で、いつもお世話になっている、山形県鶴岡市「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフが行うことになり、そのセッティングのお手伝いをさせていただいたこともあり、tettaに1年ぶりに足を運ぶことになった。

(※雄大な丘陵地には、tettaの葡萄畑が広がっています。)

tettaのイベントは雨が付き物、と呼ばれるくらい、天候が変わりやすい地域ではあるのだが、今日は打って変わっての青空。涼しく、少し乾燥した風が汗ばむ肌には心地よい。

イベントは夕方17時よりスタート。入り口では、タケダワイナリーのスパークリング「サンスフル」からスタート。乾杯は、まだ未完と言われている、tettaのスパークリング。そのワインに舌鼓を打ちながら、ワイナリーの屋上が、特別レストランに。周りには100名を超えるお客様が着席、久しぶりにお会いする友人もいたり、楽しい宴になった。

(※100名を超えるお客様が岡山県以外からも多数!)

奥田シェフをはじめ、岡山県のシェフと交互に出てくる料理にtetta、タケダワイナリーのワインが合わせられ、あっという間の3時間のディナーは幕を閉じる。

(※今年のtettaのワインは秀逸です!秋以降お楽しみに!)

・・・・・・・・・・・・

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、やはり岡山県新見市はなかなか遠い。岡山市から車で2時間弱。空港からも電車からもどこからも遠い。よく、tetta高橋社長はフットワーク軽く東京や他の地域でもお見かけするが、その行動力には頭がさがる。

(※料理の説明をするアル・ケッチァーノ奥田政行シェフ)

実は私の会社では、このtettaワイナリーのカフェ部門立ち上げのお手伝いをさせていただきました。ここにどんな料理を出すべきか、短期間でやるべきか、ちいさくても長くやるべきか。それは2年近いやりとりのなかで、双方のスタッフを交えながらようやく2018年5月の半ばに、カフェをスタートすることができるようになりました。まだまだスタートしたばかりで、曜日も限定された営業にはなりますが、土日を踏まえ、ぜひ足を運んでいただきたいと思っています。

(※タケダワイナリー岸平ご夫妻)

こうしたカフェを作ろうとdomaine tettaが思うのは、tettaを目指す人は、ワインはもちろん、このワインを生み出す土地、ぶどう、それに携わる人と「関係を持ちたい」と、体験しにやってくるからだ。そのために、tettaではワインを作り、ぶどうを生育し、そしてカフェを作り上げる。高橋社長含め、tettaのスタッフが、すこしでも「お客様との接点を、よりよくしていこう」と奮闘し、苦労する姿が見られるのだ。

わざわざ地域に足を運ぶ。地方のお仕事で、ここ最近言われていることだが、「その地域が衰退する、なくなる、人がいなくなる」時代が、早くても2-3年でやってくる地域も少なくない。またSNSなどを始め、情報発信に関するボーダーレス状況が続くことで、多少タイムラグがあっても、年ごとの変化ではなく、月、日によってどんどん変わっていく印象を感じる。しかし、1年で作り上げる食材やこうしたワインの価値が、逆に問われ、付加価値として生き残っていくのだと、僕は一方で感じている。多くの活動や企業体が生まれては消える中で、その「新しく生まれる活動」を見ていくべきで、そこから発信される情報を僕らも感じていかなくてはならない。

(※奥田シェフ、岸平ご夫妻とともに)

より情報が発信されていることで、発信する話者の情報より、その情報の中身を掴む。その中身に、人は魅了され、この土地に呼ばれ、時間を体験していくことが価値になる。今後もこうした動きをチェックしていきたい。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第44回

「飽きる」ということに慣れるということ

2018年5月。例年よりも気温が上昇し、青々とした空が広がる日々も増えている。

いまこの時期は、今年の新しい動き、仕事、相談が増える時期だ。現在もおかげさまで全国飛び回り、その「課題のフック」になるような問題を抱え、その課題解決に向けて動くかを検討中だ。

一方で、その町から外を出て、人口も事業も少ない場所で元気にやっている人たちに話を聞くと、また違った様相で、町の外の様子をうかがいながらも、自分たちの事業を進められている感触が大きい。単に「人が減っていること」が原因ではなく、「何を目指して」「どこに食の接点を持つのか」によっては、生き方も働き方も異なってくるのだと思う。

いま僕らが仕事の中で気をつけているのは「いつ『飽きがくる』のか」だ。どんな商品も、飲食店もお店も、飽きが来るとお客様は寄り付かなくなる。そこで事業者は「商品開発」「店舗開発」「教育しなおし」が求められ、ある一定期間をその時間に費やしていく。単純にビジネスとして捉えられる事業者、またそれを元にビジネスにつなげていく事業者にとっては良いことかもしれないが、地方都市のように「生まれてから酒屋」といった自社事業者、また「引っ越す」「業態を変える」などを考えてみたこともない事業者からすると「飽きられることに慣れている」ことが事業の本幹とも言える。

これを「老舗」「創業○周年」といった時間に置き換えられて、付加価値が増していく場合がある事業も少なくないが、現在、社会を賑やかされている事業売買の大半は「飽きが来ることに慣れていない」事業者と考えている。そうして考えると、僕らが手がけている仕事は「飽きが来ることに慣れる」事業であり、その事業との向き合い方、接し方が大事なんだと思うようにしている。必ずしも長くやる続けることが良いとはいえないが、「次の世代に残す」という思いが、その事業を継続していく手立てだと感じているのだ。

農業の最適化、飲食店の立ち上げ、酒蔵の再生。新たな事業の成り立ちは、改めて「それをどのように続けていくか」だと思う。そうした仕事に出会えることも、弊社の醍醐味だなと、つとに感じる。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第43回

「八百屋」を改めて問うこと。

みなさん、大変ご無沙汰しておりました。

1月当初に書かせてもらい、4ヶ月ほどちょっと充電時間をいただいておりました。そんな間に何をしていたかと言いますと「八百屋の2号店」を自社で横浜駅に出店しておりました。

●ヤオヤスイカ 横浜西口店(みなみ西口改札より徒歩1分)http://www.suika.me/yokohama

常日頃、いつも美味しいお野菜、果物を提案し、多くのお客様に食べていただいておりました。この場を借りて改めてお礼申し上げます。

もともと私たちが運営する「神楽坂 八百屋瑞花」は、「食に関するよろずごとを相談できる場づくり」として始めたのがきっかけです。そして創業当時から、その理念や思いを広げていくために、2015年より弊社が事業をさらに発展させて、今日に至っています。

その中で今回の2号店出店に関し、その理念を引き継ぎながら、自社としての次なるステップとして、今年冒頭に掲げた「人と食の接点を、よりよくする」ことをテーマに、私たちの神楽坂店以外でも「食に関するよろずごとを相談できる場を作りたい」ということを考えておりました。

もちろん、単純にお店を広げていこうというのは難しく、求人募集、仕入れ流通、そしてEC販売など、また「誰が作っていて、どうやって育てていて、どんな取り組みをしているのか」といった、お客様と生産者の接点が非常に多くなっているということも、皆さんも肌で感じているのではないかと思います。

とはいえ、売り場を見ますと、単に仕入れている商品が異なる程度で、ことこまかく触れておらず、少し有能なパッケージと売り場のカッコよさが、その代弁者として、お客様の「右脳」を賑わせている状況でもあります。そこで私たち、神楽坂八百屋瑞花は、そうしたことをせずに、ECよりも店頭販売での強さを出しているからこそ、お客様との信頼を勝ち得て、「人と食の接点を、よりよくする」ことを体現できていると自負しておりました。

そうした中、物流やネットが隆盛し、お客様が野菜に手や目に触れる場、特にスーパーなど私たちのような「神楽坂」「10坪」とは比較にもならない場所での展開やその影響力は計り知れないと感じるようになり、「もっと皆様の美味しい野菜をきちんとお出しできないか」と考えるようになりました。盲目的に「価格帯」「作り方(有機栽培ほか)」に左右されず、本当に美味しいものを適正にお出しできる、本来の八百屋のあり方のような場づくりを目指したいと考えております。

ちなみに、今回の新店舗名は「ヤオヤスイカ横浜西口店」です。全く異なる名前ではなく、とはいえ「カタカナ」になり、もっと「?」というイメージをお持ちかもしれませんが、よりカジュアルに「楽しさ、元気良さ」を伝え、新たなお客さまと土地に対して、よりとっつきやすいイメージで訴えかけていきたいという気持ちを込めて新たにしました。また、横浜という立地は既存の住民のほか、みなとみらいを含めて、30-40代の家族やカップルが駅を中心に増えております。特にこれから元気で健康に暮らして欲しい子どもたちに安心しておいしい野菜を食べてもらえるようなコンセプトで、その子どもたちに食べさせる親への「食育の一手」として、まずは八百屋瑞花の目利きをした青果を手にとってもらうことを目指したいと思います。

また、駅直結立地ということもあり、人目にも触れやすく、かつ多くの新しいお客様との「接点」が増えています。もちろん僕たちもその分リスクが上がってくる、営業時間が延びるなど検討事項がたくさんございますが、それを皆様の商品と共に「よりよく」すべくチャレンジしてみたいと思っております。

生産者が作ってくださるものが本当に美味しく、広く多くの方に知ってもらいたいと思っています。弊社としても精進して参りますので、ぜひ一度お店に足を運んでみてください!新店舗出店に際し、神楽坂店も含めより一層盛り上げていきます。

これからも八百屋瑞花をどうぞよろしくお願い致します。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第42回

[人と食の接点を、よりよくすること]

早いもので2018年1月も、もう終わろうとしています。

ずいぶん前のことのように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、みなさまは今年どんな予定で年を越しましたか?

私はというと、本当に「何もない」年末年始で、妻と子ども、そして妻の姉妹とまた子どもたちと一緒に昨年と同じ栃木県にて年を越しました。

さて、今回私が掲げる大きなポイントとしては、今回のテーマでもある「人と食の接点を、よりよくすること」です。

これまで、私たちは「食のスタンダードをあげていく」ことをテーマに、食品メーカーさんのプロモーションや商品開発に紐づいた販促活動を主に実践してまいりました。そうした中で私たちが気づくこととして、「朝も昼も夜も、この商品、この場所にたどりつくお客様の性質は異なる。けれども、商品には『ターゲット』があり、実は紐づけられていないのでは?」と思うことが多くなりました。

2001年から、もはや18年。

当時の販促活動と今実施すべき販促活動は大きく異なります。SNSを活用しながらも、人口減少に押され、「人材募集」を謳う会社も多いという現象が見え始めています。

そのような中、朝起きて(例えば7時)夜寝るまで(例えば24時)、商品のある「場所(コンビニ、冷蔵庫、レストランなど)」、この商品に「いつどこで出合えるのか?」というセレンディピティを考えていく時間がとても大事だと思うようになりました。

その出合う場所や売り場を私たちがより良くすることによって、お客さんが「ホッとする」「嬉しくなる」「健康になる」というタイミングに出合うのであれば、農家や食品メーカー、スーパーなど、これまで単にお仕事として考えていたお客様とまったく違った方向で、お仕事ができるのではと思い始めています。

そういう中で、私たちは、この会社名である「株式会社oiseau(オアゾ/英語小文字です!)」を変更させて、新たなステップに踏み出そうと思っています。

まもなく会社名、発表間近です。是非楽しみにしていてください。

さて今回は珍しく「写真ゼロ」です(笑)

引き続きよろしくお願いいたします。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第41回

[おともあってのご飯です。]

「今日夕飯何食べる?」と聞かれて、

「お米食べようか?」という会話はほとんどない。

「おかずなににしようか?」と聞かれて、

「お米にしようか」ということもない。

お米にいわゆるマーケティングやプロモーションをかけていこうとしたとき、事業者自体が、生産者でない場合は、そのお米の良さを最大限に伝えていかなければならないのだが、お米屋ではないその人たちにとっては、結構難題であることがわかる。そう、つまりお米メインの直接的な伝え方ではなく、実は伏流のような、「お米を生かしていく」方法論が必要になる。そう、僕からすると、印籠を出さない水戸黄門は「だれ、この爺さん・・?!」という考え方だ。

少し極論めいたことを書いているが、日本全国のお米のプロモーションをみていくと「伏流」の筋ではなく、本流筋で「ど直球」ばかり。

そこで、僕らは「伝わり方」を考えてみることにした。お米は食べているけれども、主食というよりは、なにか「副食」のような存在にもなりうるお米、という捉え方だ。

「おともあっての、お米です。」

ちょっと謙虚な態度で、僕らがお手伝いさせていただいているお米「奥島根弥栄米」と向き合ってみようかと思ったのです。品種は「つや姫」「コシヒカリ」。品種を聞いただけだと、他の地域と代わり映えありません。「うまいの?まずいの?粘り気あるの?有機なの?なぜこの土地なの?」も、アバウトにいうと、実はかなりグレーな表現で、「作り手の思い」に寄りすぎて、そのお米を食べているお客さんが少し置き去りになっている。もっと言うと「個人的な意見です」的な健康食品みたいな感じです。お米の良さは、お米単体では図れないほどマニアックな食材だなと思っていました。(もちろん評論的に食べ比べできて、違いがわかれば大したものです!)

だから、お米を食べてもらうには、お米だけでは成り立たない。そこで企画したのが「おともアワード」。お米だけではなく、おかずだけではなく、全部が一つになって、美味しい食卓が生まれる。どちらが主役ではなく、一緒に美味しくなる関係を目指すアワード。そして今回は第一回ということもあり、全国発信ではなく、まず地方、地元島根県でしかやらない企画をつくりました。

その企画は、まずお米が取れる地域で行われる小さな地域のお祭りで、おともとともに、お米をみんなに食べてもらいました。もちろん食べた人は一票いれます。そこで一等を取ったのが、島根県雲南地域の「雲南山椒 ジャコのり」という商品です。なかなか病みつきになる商品。

そしてもう一つはモニター企画として島根ゆかりのいろんな人に食べてもらいました。これも本当に接戦となって、こちらで一等をとったのは、島根県仁多地域の「しょうゆ味 ごまふりかけ」です。

今回、おともとしてノミネートさせていただいた9品目は、すべて島根のものばかり。島根で生まれたものだから、島根のものとマッチングして欲しいし、そこから全国区になるのが楽しみだなと思っていて、なかなかのラインナップです。先日おとも探しで、食べ比べたら、ご飯が何杯あっても足らない。米が食べたくなる!(笑)

これをきっかけに、全国でもいろんな「おともアワード」が生まれると、全国おともアワードっていうのもありかもですが、まずは島根から。

ちなみに、この一等をとったおともたちと、お米が来年セットで販売になります。ぜひお試しいただけると嬉しいです!

 

●奥島根弥栄米 「おともアワード2017」

http://okushimane.jp/otomo-award2017/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第40回

[シンプルという言葉の意味を考えてみる。]

シンプル、と言われると、僕の意味合いとしては「潔い」という言葉が当てはまる。奇を衒わずに、伝えたいことがはっきりしていること。見た目が、特に食べ物においては、「期待と同等」ということが何よりも条件だ。どんなに綺麗に整ったものでも、美味しくなければ価値は下がる。一方で、見た目はさほどでも、こんなに美味しいものが世の中にあるなんて!というモッタイナイことだって、まだまだある。

このブログでも紹介してきた離島シリーズ。KDDIさん、そしてNPO法人離島経済新聞社さんとともに、日本各地の離島の産品にスポットを当て、最終的に購入につながる販売促進のコツとプラットフォームの提供を実施している企画ですが、3島目の今回は東京都伊豆大島、大島町に相成りました。浜松町駅から海側へいくと、竹芝桟橋ターミナルがあり、そこからジェット船にのり90分弱。大島は心理的、物理的距離含め今までの離島シリーズよりは断然近い。しかし、そこは太平洋に浮かぶ島だけあって、この冬の時期は西風も強く、船の欠航率が高い。またクジラやイルカの生息地ということもあって、結構な頻度で、このジェット船とぶつかる(というより乗り上げるようだ)確率もある。

一方、東京から飛行機もある。プロペラ機ではあるが、こちらは風にはめっぽう強い。毎日3往復飛んでいるが、空港が調布の奥、、、便利なのか不便なのか。悩ましいところである。そんな大島町との取り組みは年明けも続いていくのだが、大島町といえば、「椿」である。国産の椿は、この伊豆大島と、五島列島が唯一だ。今、事業者含め、この椿商品たちをどうやって見せていくかを検討中。乞うご期待。

さて、今日ご紹介するのは、「べっこう寿司」だ。

ちょうど記者会見と講義があった日にお昼に皆に配られたのがこのお寿司。「島島寿司」と名付けられたこのお寿司は、外観は洒落た「縞模様」、船をイメージしたこのパッケージがまた可愛らしい。

伊豆諸島の家庭料理として長く愛されてきた「べっこうずし」は、もともとは温暖な島で生魚を美味しく保つための知恵から生まれたもの。島とうがらしと醤油で魚を漬け込み、刺身が鮮やかな「鼈甲(べっこう)色」に染まることからこの名前はつけられたそうです。今日のお魚は白身の「目鯛」。コクのある醤油と、梅ゴマの酢飯で、表面にはオリーブオイル、極め付けは、明日葉をあしらうなど、まさに伊豆大島を象徴している商品だ。

そんなべっこう寿司が、可愛らしい小舟のようなパッケージに収められ、これまた伊豆大島の自然塩と青じそで煮た「塩こんにゃく」と「ガリ(レモン生姜でしょうか)」が添えられていた。とてもコンパクトに収められ、日持ちは難しいけれど、とても「島らしい商品」だなと改めて思いました。

離島は本土と離れていて、どうしても「物流」「輸送」「賞味期限」を問われてしまいます。特に物販だけではなく、ECですと、お届け先によっては、5−6日かかる場合もある。そうなると、どうしても自分たちの技術や思いだけでは届けられない島ものができてきます。そのなかで「シンプルに立ち返る」ということが大切ではないかと思うのです。もちろん島のものを、より多くのお客様に味わってもらい、ビジネスにつなげるのが食に関しては当然なことではありますが、そのために特徴を無くしてしまっては意味がありません。僕が「潔い」という言葉を「シンプル」であると言い得るように、この島島弁当には、ある種「潔さ」を感じます。聞くところによると、この島島弁当をこしらえている寿司屋さんは竹芝桟橋ターミナルに出店されていると聞きました。まさに、シンプルで、島ならではだなと思うのです。

離島は正直遠いです。けれど、離れているからこそ、未開の地で、それこそ自然に生かされた食材が本当に多い。食にまつわる生態的にも非常に面白いと思っています。その食材を、新鮮なままでお届けするのではなく、知恵を持って生かす、ということが大事になるのではないでしょうか。写真は東京で唯一牛乳を作っている「大島牛乳」さんの見学の様子。バターやアイスクリームも絶品。新しいプロジェクトを仕掛けたいと思っています!

●竹芝桟橋ターミナルにある『鼈甲鮨 BEKKOUZUSHI』

http://www.bekkouzushi.jp/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第39回

[美味しいものを届ける努力。]

11月、紅葉も終盤、まさに「凍(しば)れる」ような季節になりはじめました。そんななか、私たちが運営している「神楽坂 八百屋瑞花(すいか)」では、全国各地の農家さんから、露地物(主に屋外で育てられたもの)で自然栽培、有機栽培のものを中心に、野菜や果物を仕入れされていただいており、月に一度、その取引先の農家さんを巡る「ご挨拶出張」を執り行っています。

先日も、群馬の農家、埼玉の醸造場(味噌、醤油など)など関東近郊を巡りつつ、今月は私の実家がある青森県を一泊二日の強行軍で、三八地方(「三沢」「八戸」の地域のことを総じて「さんぱち」と呼ぶ)、そして津軽地方(主に弘前を中心とした津軽平野の地域を総じて「つがる」と呼ぶ)を回る旅に出ました。

まずは、三八地方では2つの農家、土嶺さんと赤石さんです。土嶺さんは、「長ネギ」の農家さんです。主に青森県内で流通させていますが、たまに東京のマルシェなどにも出店されていて、非常に元気なネギを育てています。(とはいえこの時期の長ネギは、この地域ではほぼ終盤。今年は全国的に品薄で高騰の兆し。)元気の証が、このどろっとした透明な液体。ネギから出てくる水分が粘質を持って、主に葉先の濃い緑の部分にたまるのですが、これがネギ自体がミネラル豊富な証拠です。

次に赤石さん。彼は、元々は弊社のスタッフだった人間です。新規就農を経て、自然栽培のハーブ農家になりました。CONSE(コンセ)という屋号です。今では、県内はおろか、東京のレストランからもお声がかかるほどの人気。

彼の農場は、一定の温度を保つために、ハウス栽培となっていますが、土も食べられるほど健康な農場。また三八地方は、津軽地方と比べて積雪も少なく、日照時間も長いため、ハーブを育てやすい環境とも言われています。管理している2つのハウスはおおよそ100メートルほど。その中を往復すると、この季節でも20-30種類のハーブやエディブルフラワーをみながら、 試食体験することができました(一般のお客様はできません)。同行した八百屋スタッフもその「エグ味」「甘み」「苦味」などを体験し、味覚が刺激されていました(笑)。

こうした30台前半の若い農家たちが、全国各地におり、自分たちのこだわりを産物に与えていこうという気構えがあり、共感できます。彼らの食材は、私たちの八百屋瑞花でもスポットで入る可能性がありますが、まだまだ「スターティングメンバー」にはいってきません。

その八百屋のスターティングメンバーとして頑張っているのが、津軽地方にいるお三方です。

まずは、ぶどうとセリの農家である伊東竜太さん。伊東さんは神奈川出身。大学時代を弘前ですごし、その後そのままIターンで弘前に移住。現在は、スチューベンと呼ばれるぶどうを主品目に、栽培をしています。また彼が農地を持っている地域は「一町田(いっちょうだ)」と呼ばれる地域で、津軽地方でも岩木山(いわきさん)の麓にあり、水が清らかで豊富。その地の利を生かした「セリ」の名産地でもあります。

そのセリを地元の農家さんと共同で管理しており、私たちの八百屋にも届けてくださっています。まずなにより、彼の農園は「綺麗」です。行き届いた管理状態と、そこで育った産物の「生きの良さ」が特徴的で、私たちも自信を持ってお出しすることができる商品を作っています。特に今年のスチューベンは、出来が良い。生で食べても良いし、彼が特に力を入れている「100%ジュース」は、全国でも秀逸の一品です。

次に、りんご農家「あっぷりんご園」の水木たけるさん。彼の、りんごにかける思い、もちろんりんごの状態もさることながら、「どうしたらマーケットで受けるか」をきちんと考えられている人です。そのために、わざわざ管理が難しい、完熟に近い状態でマーケットに出すため深夜早朝と、収穫から手入れまでに時間を割いています。この努力はいつもFacebookでも拝見しておりますが、いつも感心します。彼のりんご、そしてこちらもジュースを八百屋瑞花でも取り扱わせていただいております。

また彼は加工品などの「りんごの付加価値づくり」にも力を入れております。いまとあるミシュラン二つ星のフレンチレストランと共同で、商品開発を進めております。私が彼の紅玉をシェフに進めたところ、気に入っていただき、今に至ります。本当に良いものは、一般のお客さんもさることながら、飲食店などで付加価値をつけようとするオーナーさんやシェフ、パティシエには必要であり、彼らはそれを探すために日夜力を入れております。

八百屋瑞花は飲食店卸販売を基本実施しておりませんが、問い合わせがあれば、全国各地から良いものをご提案すべく、準備はできています。(実際にパティスリーやレストランでの需要も多く、小口ですが実施しています)

そして、八百屋瑞花には欠かせない農家、あおもり健康村の成田陽一さんです。八百屋瑞花創業主でもある矢嶋文子が独立する際に、「この人の野菜を是非仕入れたい!」とわざわざ仕入れた農家さんです。

成田さんは自然栽培の農家さんで都心の百貨店にも取引がある、小規模ながらも非常に卓越した技法と栽培を実施されています。特に、葉物、根菜などの味わいは秀逸で、八百屋でもリピーターが続出している人気商品です。

この時期は「赤カブ」「ビーツ」「インゲン」「長ネギ」などがメインで、まもなく雪が降ると来春まで収穫が終了という段階でしたが、ギリギリの段階で畑を視察することができ、私たちも成田さんのこだわり、作っている様子を改めてみることができ、人気の理由を改めて感じることができました。

飛び込みでお店に直接来られて野菜を持ち込まれることもしばしばあるのですが、できるだけ農地を実際に「見て」そして「食べて」という作業があって始めて、きちんと取引することにしています。消費者と生産者を結ぶハブとしての八百屋ですので、お互いのニーズや要望、説明をきちんと把握した上で「美味しさのコツ」を伝えられるように努力しております。(なので、何でもかんでも仕入れることはできません。良いものだからこそ、自信を持って販売したという自負があります。)

いま来春に向けてチャレンジすることがあるので、農家巡りをふくめて八百屋スタッフともども全国各地を飛び回っております。食のスタンダードをあげていくことが私たちの使命なので、皆様の食卓に届くまでの手間を惜しまず、チャレンジしてまいります!

八百屋瑞花:http://www.suika.me

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第38回

[香港で日本酒を売り込め! 牡蠣と日本酒の組み合わせはベストペアリング!]

11月初旬。僕は香港へと飛ぶことになった。

今回のミッションは、新潟清酒組合の皆さんとともに、香港マーケットに日本酒を売り込むこと。さらに、新潟のお酒に特化したプロモーションを仕掛けるにあたり、昨年度より新潟清酒組合と日本貿易振興機構(JETRO)が企画していた、「食材と新潟清酒のペアリング」をBtoB向けマーケット(いわゆるバイヤーやインポーター向け)に提案すること。マーケティングリサーチと、「地域団体商標」としての「新潟清酒」のブランディングを実施するという役割を担っている。

今回仕掛ける大きなテーマは、食材となる「牡蠣」と新潟清酒の組み合わせ提案だ。牡蠣を含む魚介類は、ワインを合わせると生臭みが発生し食事を楽しめないことが多い。なぜなら、魚介に含まれる過酸化脂質と、ワインの鉄分がバッティングし、生臭みが発生することがわかったのだ。特に鉄分が1ppm以上だとより一層生臭みを感じやすいというもの。ちなみに牡蠣といえば白ワインの「シャブリ」を思い出す方がいらっしゃるかと思いますが、シャブリは、そのワインのなかでも、とりわけ鉄分が低く、牡蠣と相性が良いことからフランスでもペアリングで好まれているというわけだ。

そんな中、新潟清酒の鉄分含有量は、ワインのなんと1/100! なるほど魚介と日本酒が合うのは、単に日本で刺身などの生魚を食する文化があり、それと日本酒が合う、だけではなく、科学的にも相性が良いということが証明されていたのである。また牡蠣と合わせることで味のバランスがよくなるタイプや、酒で口の中をリフレッシュさせるタイプ、牡蠣と調和して味が広がるタイプなど、味香り戦略研究所と、新潟県醸造試験場とでそれぞれ分析、セレクトいただいたものを香港に持ち込む作戦だ。

さてその魅力が香港人に伝わるであろうか。もちろん単純に持ち込んだだけでは「伝わらない」。

みなさんは「酒サムライ」という存在をご存知だろうか。日本酒造青年協議会が定めた、「日本酒を愛し、日本酒の素晴らしさを国内外に広めることに貢献している、または貢献できる可能性を持つものが、推薦され、叙任」されるもので、日本人、外国人などが任命されております。

そこで今回、新潟清酒のアンバサダーとして、酒サムライでもあり、香港在住のミッキー・チャン氏に、牡蠣と新潟清酒のペアリングについて、プレゼンテーションしてもらい、よりBtoB向けにもわかりやすく、現地の言葉で伝えていただくことを企画した。あわせて、BtoB商談会の他に、今年で5回目となる、すでに香港でも人気の日本酒イベント「新潟 ミニ酒の陣 Niigata Sake Festival」も合わせて開催。

さて、そんなプレゼンテーション&イベント当日。久しぶりの香港は11月にしては暖かく、天候も晴れやか。会場となった香港市内のホテルのボールルームでは、新潟清酒組合から90の蔵元のうち、海外に販路を持っていたり、これから仕掛けたりすることを考えている蔵元30が出店。もちろん「牡蠣」とペアリングする日本酒もあらかじめ選定され、各蔵元で用意、万全の体制である。

プレゼンテーションは、ミッキー氏の軽快な広東語で進められ、生牡蠣と「シャブリ」そして新潟清酒からは「吟醸 極上吉乃川(吉乃川)」「北雪 純米吟醸NOBU(北雪酒造)」の2種類とともに、バイヤー、インポーター、そして現地メディア関係者に試食試飲をしていただいた。

実際に食べて、飲んだ印象として、皆日本酒との相性の良さを感じ、感触としては上々だ。一方で、香港においての「日本酒市場」については、ここ最近需要が非常に伸びており、可処分所得も高いゆえに、「ワイン」の次の高級酒として「Sake(日本酒)」は非常に人気である。またその嗜んでいる大半は、いわゆる「若い女性」が多いのだ。Sake festivalでも、多くの参加者に恵まれ、300人を超えるお客様が来場した。なかなか新潟の酒蔵30、そしてそのフェスティバルだけは、残りの60蔵のお酒も登場し、全部でおおよそ200品目の日本酒にありつけるというから、舌の肥えた香港人は見逃せない企画だろう。蔵元も、インポーターや、外国語を話せる日本人の営業スタッフを配置し、それぞれ思い思いのプレゼンを来場者に仕掛けている。関係者によると、この光景は5年前とは違い、圧倒的に日本酒を嗜む香港人が増えているという印象だそうだ。確かに、欧米人よりは純粋な香港人が嗜んでいるという形だ。単に「日本食」「和食」がブームというだけではなく「日本酒(Sake)」も浸透していることは間違いない。

いま、全世界にみると、やはり圧倒的に日本酒が流通しているのはアメリカで、ニューヨーク、サンフランシスコ、フロリダ、ハワイの飲食店やスーパーなどの小売に販売されている。特に、高級業態や日本料理屋では、ワイン1本と同量の日本酒の四合瓶(720ml)がワインと変わらない値段、8000-15000円で値付けされている状況だ。これからのマーケットはアジアに広がっていくだろうが、所得や環境、価値などを考えると、まだまだ5-10年はかかると予想される。一方で国内は「作り手、担い手不足」といった社会的状況から、どのくらいの酒蔵が伝承され、収量が確保できるかが読みきれない。この日本酒に対する期待値と、それを実現していくフィジビリティが、今後の鍵になるのではないか。海外における販路拡大と販売促進には、大きなビジネスチャンスとともに、リスクも潜んでいることは間違いない。

日本の食を海外に伝えていくことは増えているのは間違いないからこそ、それを支える基盤と、担い手育成の必要性を感じた香港であった。

新潟清酒組合:http://www.niigata-sake.or.jp/

新潟 ミニ酒の陣:http://afoods247.com/sakefestival.jp.html

酒サムライ:http://www.sakesamurai.jp/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp