和食STYLE

EATRAVELLER HIROEの女子美食旅 ③長崎県 雲仙市 Villa del Nido ヴィッラ デル ニード

長崎空港から1時間半、延々と続くジャガイモ畑をひた走り雄大な雲仙岳が近づいてきます。雲仙国立公園は、瀬戸内、霧島とともに日本で最初の国立公園に指定され、また島原半島ユネスコジオパークは2009年に認定。活火山である雲仙岳とは対照的に海は至って穏やか。風光明媚、素晴らしいパノラマ。

オーナー吉田貴文シェフは、2015年、実家の敷地内にテーブル6席のヴィッラ デル ニードをオープン。サービスはマダム。ジャパンタイムズが主催する「Destination Restaurants2022」(全10店)に選出されています。

「保存という意味で、発酵はここ数年よく使うようになりました」と吉田シェフ。島原産の食材を中心に使うということは、同じ時期に同じ物が大量に採れる世いうこと。それを保存するため発酵を取り入れるようになったそうです。

たとえば、肉料理には発酵させた羊肉のエキスを塗ったり、発酵レモンや発酵ジャガイモペーストを使った料理は、その他の自家製発酵調味料と共に巧みにに使い分けられ、食材の可能性を引き出しています。

有明海の恵みもふんだんに取り入れ、決して華やかではないけれど、海苔や塩は風味豊かにお皿をグレードアップ。モリ突き海中神経締めした五島列島産のクエ、有明海のフグといった海からの贈り物、じゃがいもやイチゴといった大地の恵み。島原特産品、吉岡製麺所の島原素麺。地元生産者さんを大切にするということでおのずと地産地消になっていったそうです。

この日のお品書きは……

新玉葱

くさふぐ イノシシ節 レモン味噌 野蒜 人参

自家製フォカッチャ

コウイカ 昆布 ローストしたじゃが芋 発酵じゃがいものピューレ 島原牛乳 葉玉ねぎのスープ

クエ モリ突き海中神経締め カボチャ 人参 ピクルス クミンビネガー

ハタのフリット

そうめん あさひ米魚のスープ スパイス レモン仕立て あさり 自家製カラスミ

ラビオリ さといも フレッシュチーズ サフラン

島原羊 11ヶ月熟成した羊エキスと白胡麻オイル 大根の鞘

キンカンシロップ、自家製カステラ

チョコレート グラッパ シナモン 芋

現在改装でお休中の「竹田カタツムリ農園」の在来野菜は注目度大!ドライブ途中寄った「オーガニック直売所タネト」は滋味深い有機野菜が元気に並びます。生き生きとした緑濃いお野菜たちを、ついつい飛行機に乗せて連れ帰りました。みずみずしく甘くて、ほんのりエグみもあり生命力に溢れます。美味しかった!

島原そだち本舗のもちもち全粒麺はまたリピしたい一品です。つるっとモチっと喉越しがたまらない。

雲仙島原の旅では、このエリアの人気店pescecoとBEARDといった魅惑のレストランを1度で回りたいのだけれど、pescecoは日曜日休みになり、BEARDは夜営業のみ、週末弾丸トラベラーにはちと厳しい……いち滞在ごとに、ひとつひとつ丁寧に周ってゆきます。

わざわざ度 ★★★★

食材への愛 ★★★★

地産地消度 ★★★★★

リピしたい度 ★★★★

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大野ひろえ

美食を求め旅するEATRAVELLER. その土地ならではの食材を使ったディスティネーションレストランからB級グルメまで幅広く巡ります。趣味は変態料理人探し。