和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第十六回 鮨一新

第十六回 鮨一新

IT健保の附属施設にお鮨屋さんがあるなんて!

「関東ITソフトウェア健康保険組合」のお鮨屋さんがあるってご存知ですか? 附属施設ということで、「嘘でしょ?」って価格なんですよ。附属施設ってことはどうせそこそこなんでしょ?って思うかもしれませんが、侮るなかれ。
こちら、ミシュラン二つ星の「銀座鮨 かねさか本店」の系列店なので、いい食材が揃っているんです。ただし、IT健保の会員のみが予約できるので、おいそれとお伺いすることはできません。私も会員さまの同伴席にちゃっかり座らせていただいてます。

場所は赤坂駅から徒歩 5分ほどの山王健保会館の中にあります。まぁ、なんというか飾り気のない区役所みたいな建物でお鮨食べるって感じじゃないなぁと思いながらビルの中へ入ると、大きな暖簾の前に着物姿の仲居さんが待っていて中へご案内してくれるので気分 は一変、お鮨モード全開に。お店はカウンター12席、テーブルはなんと26席もあり、ちょっとした宴会場って感じ。

コースがいろいろあるそうですが、お友達の会員さまはいつもいちばん高い「板前おまかせコース(被保険者は5,500円、同伴者が8,800円)」なので、本日もそのコースです。ドリンクメニューをみると生ビールの中がなんと380円!ウーロン茶に至っては180円ですよ。飛露喜が1,100円って、おちょこも選べって素晴らしい!

「板前おまかせコース」ははじめに「お造り」「茶碗蒸し」「焼物」などのつまみが6品ほどでて、握りになります。「鰆」「コハダ」「帆立」などのいわゆる江戸前の定番で、鮪は「赤身の漬け」「中トロ」「大トロ」に「カマ」もあったりして3万、4万のお店と同じレベル。酢飯は赤酢を使っているとのこと。結構酸味も塩も強いけど万能タイプです。ちょっぴりボリューミーかなと思いますが、やわらかめですぐにほどけるのでさほど気になりません。

この日は11貫にうにいくらミニ丼、鉄火巻きに玉、デザートのアイスでフィニッシュ。焼酎ソーダ割りを2杯に日本酒4合くらいで13,500円でございました。親分の「銀座鮨かねさか本店」はコースで35,000円超えなので若手の握り手さん育成って考えたらいい感じです。
しかし、会員さまの予約に便乗するしか手立てはなく、その会員さまも毎月1日の電話予約(アナログ!!!)が争奪戦とのことなので、むしろ親分より予約困難ってことです。行きたい方は電話予約をいとわない会員さまをお探しください。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★★
ロケーション&設え ★★
サービス ★★★★
のどの渇き度 ★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。