和食STYLE

檀崎真由美のボルドー通信『フランス必食N E W S』①

皆様、はじめまして。フランス・ボルドー在住の料理家、檀崎真由美です。現在ボルドー生活は9年目ですが、海外に20年近く住んでいます。
フランス好きの父の影響で、私もいつかフランスに住みたい!と夢を抱き、料理の助手をしながらコルドンブルーにも通い、その後フランス料理店で働きました。
2014年にフランス料理シェフの主人の仕事でフランスに移住し、子育てや料理の仕事を通してカルチャーショックを受けながらも、奮闘してボルドー生活を楽しんでいます。
街全体が世界遺産の月の都ボルドーから私が皆さんにお勧めしたい食料品をご紹介していきたいと思いますので、どうぞお付き合い下さい。

先ず第1回目はボルドーのお土産として私のイチオシのワインソルト(仏語はSEL DE VIN )。数種類在りますが1番手に入り易くお勧めなのが、ワインの聖地サンテミリオンで造られている『セル・ド・シャトー』(SEL =塩、CHÂTEAU =城)。サンテミリオンのお土産屋さんや、ボルドーの新名所の『シテ・デゥ・ヴァン』(Cité du vin)と というワイン博物館でも購入できます。
この他にメルロー、カベルネ、シラーの花の香りを移したワインソルト等も在ります。

《ワインソルトの歴史》
ワインと塩が船で運搬されていた20世紀初頭の嵐の日、荒波の勢いにより積荷のワインが樽から漏れて船倉に流れ込み、隣に保管された純白の塩の結晶が赤く染まってしまいます。サンテミリオンの隣街、リボルヌの門でそれを見た船員達は「こんな血色の塩は不吉で販売出来ない!」となり、船員の一人がその赤い塩を持ち帰り、ワイン商の妻であるバレンタイン・コーニエさんに提供。
彼女はキッチンでその赤ワインに染まった塩に楽しみながらスパイスを加え、家族に料理を振る舞うと、いつもとひと味違うその旨みに皆が喜びました。
この赤ワイン塩がもたらした独創的な風味や味わいからインスピレーションを得て、その孫で幾つものワイン畑を所有するパスカル・デルベックが、祖母から引き継いだ赤ワイン塩を更に何年もかけて豊かなフレーバーを加え調合し、レ島の天然海塩と合わせ、この美味しいオリジナルワインソルトが誕生しました。
天災による偶然の産物とおばあさんの遊び心に感謝ですね!

私はこのワインソルトを煮込み料理の味付けにするのは、風味を活かし切れず少しもったいなく感じるので、主にシンプルなテイストの肉料理や、魚料理の仕上げに使い、ワインソルトの風味と味わいと共に楽しみます。特にロゼに焼いた赤身の肉や、茹でたジャガイモとの相性が良くてオススメです。
今日のランチには鴨のロティと付け合わせの春野菜に軽くこの塩を振り、素材の旨みとワインソルトの味わいで楽しみました。
暑い日には素麺とロゼにキュイした鴨肉にワインソルトを振りかけて味わうのも、麺つゆとの相性も良くて楽しんで頂けます。

又、インゲンをフランス流にクタクタになる迄柔らかく茹で、薄くスライスしたマッシュルームにレモン汁と上質なエキストラバージンオイルにこのワインソルトがあれば、それだけで充分に美味しく味わえます。そこに好みでザクロや季節のフルーツをアクセントに加えたら、レストランクオリティーの一皿の出来上がり!

和食なら蒸した白身魚や、アンコウや白子の唐揚げ等にワインソルトを添えて振りかけると、ふっくらジューシーな魚との相性もピッタリです。
私は自家製甘酒を冷凍保存して常備しているので、このワインソルトをアクセントに振り、旨味と甘味を引き出し、甘酒のグラニテとしてデザートにも一役買っています。

このワインボトルに見立てた『セル・ド・シャトー』は見た目も可愛くてインパクトがあり、話題性もあるので、日本からボルドー訪問される名店のシェフの方々にもお土産にお持ち帰り頂き喜んで頂いています。
ボルドー訪問の際は是非手に取って味わってみて下さい。

【おまけ】自家製ワインソルトの作り方
【材料】赤ワインと岩塩(お薦めはフルードセル)を1対3の割合で。
①鍋にワインを沸かしてシロップ状になるまで煮詰める。
②濃度が出たら岩塩を加えて良く混ぜ、その後オーブンペーパーに広げる。
③低温のオーブンで時々かき混ぜながら、水分をしっかりと飛ばし、サラサラの塩の状態になったらでき上がり。飲 み残しのワインがあったら試してみては如何でしょうか?

檀崎真由美(だんざきまゆみ)

フランスボルドー在住料理家。ダンラキュイジーヌ(Dans La Cuisine)主宰。
La société MT GESTION CULINAIRE共同代表(フランス)。
Alchemist.Pte.Ltdコーポレートシェフ(シンガポール)。

和洋中の料理を専門的に学び、著名な一流シェフのアシスタントを経験後、仏料理店『シェ松尾』で5年修行し独立。
クッキングスタジオでの料理教室開催、大手企業や海外一流ブランドのパーティーフードをシェフとして手掛け、人気を集める。アメリカ、シンガポール生活後、現在ボルドーを中心にフランス政府正規就労許可の元、料理教室、オンラインレッスンを開催。英語と仏語でも和食レッスンを行い、全国放送『F R A N C E3』にてお節料理を作り、自身の料理活動と共に紹介される。フランス料理だけでなく、和食、本格中華点心迄ワンランク上のクオリティーに仕上げるテクニックで国内外問わず活躍中。

https://instagram.com/mayumi_bdx