和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第一三回 ハイボール飲み放題の寿司屋 by 板前寿司

第一三回 ハイボール飲み放題の寿司屋 by 板前寿司

ハイボール飲み放題の寿司屋って…

赤坂見附駅から1分、ハイボール飲み放題って店名に興味がわき、ふらふら〜っと立ち寄ってしまったワケ。入ってから驚いたのが鮪を豊洲の仲卸、「やま幸」から仕入れてるっていうじゃありませんか。あのとろんと舌に纏わりつく「やま幸」の鮪が、愛してやまない「やま幸」の鮪が高級鮨店でもないのに食べられるなんて! しかも大トロでも1貫498円と驚愕のプライス! 本当に「やま幸」の鮪なのか?と不安がよぎる。

いきなり鮪っていうのも何なので、おつまみと“自慢”の海鮮料理の3品がセットになった「スターターセット(1,650円)」で、とりあえず飲み放題のハイボールを1杯。入口にあるサーバーでドリンクバーのごとく勝手に注ぎます。2 席だけサーバー付きがありますが、飲み放題時間を1 秒でも無駄にしたくない、または注いだ直後のハイボールがお好みという方はこちらの席を予約しましょう。
飲み放題は60 分550円、120分1,100円180 分1,650円。席が空いていれば延長もできるらしいです。私はお鮨の時の炭酸は最初の1 杯でいいので60分にしました。スターターセットに期待はしていなかったけど、それにしても天ぷらはいかん。どうやったらこの衣ができあがるのか、むしろ知りたい。

ということでもう他には目を向けずに「やま幸」の鮪へ直行します。「本まぐろ4貫セット“いろんな部位を味わってほしいからこれだけ4貫”(1,380円)」を食べてみる。そうか、なるほど、ホント、お鮨ってタネと酢飯のマリアージュなのよ。タネと酢飯だけのシンプルな料理だけに握る人がどういうお鮨を食べさせたいのかがよくわかる。“おいしい”は食材と対峙したその先にあるんですよね。

こちらはハイボールに合うような一品料理が揃っていて、ついでに握りや巻物も食べられる居酒屋的な存在です。仕事帰りのサクめしやちょっとした宴会にはいいかも。赤坂という土地柄、「カリフォルニアロール」や「アボカド&ベジロール」といった外国人向けメニューもあり、いろいろ考えているんだなと思いました。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★
ロケーション&設え ★
サービス ★
のどの渇き度 ★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。