和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第十回 鮨東京よし田

第十回 鮨東京よし田

いつかは行きたい鮨のファーストクラス!

飛行機だったらいつかは乗りたいと思うのがファーストクラスですよね。お鮨にもあったんです。「鮨東京よし田」は幡ヶ谷、六号通り商店街っていうかなりローカルな場所で、外観はそこまでゴージャスではないのですが、お店に入った途端、「ここは銀座?」になります。2階は接待などに使うVIP席だそうでエレベーターで(3階建てなのに)行くといきなり人間国宝14代今泉今右衛門の作品がどんど~んと並び、壁には横山大観の版画ではなくほんまもんの絵が飾られていて、つけ場の奥には日本刀っていう、「ここは美術館ですか?」ってくらい。そんでもってワインセラーにはDRCやらドンペリたちが平然と鎮座し、日本酒は十四代、黒龍などが勢揃い。中でも黒龍の最高峰「石田屋に似た「吉田屋」が!いったいどなたさまがオーナーなのでしょうかと訊くと、幡ヶ谷に本社がある1920年創業の老舗時計・宝飾店「YOSHIDA」とのこと。「吉田屋」は東京店100周年記念に黒龍とコラボでオリジナルを作ってもらったそうです。
1階へ降りて席につくとカウンターは木曽檜の1枚板で長さなんと6m10cm! その奥には金箔に桜の花が咲いておりました。豪華絢爛! 美しすぎる! 気持ちアガリまくりです。

こうなったらシャンパーニュしかない! ぐびっと喉を潤したところに「突先です」と総料理長の藤本大輝さん。おぉ、鮪に雲丹、シャンパーニュにしてよかった。海苔もパリッパリで好みだわ。続いてお椀、そしておつまみが8皿。「招き猫型もなか」の中身はあん肝、カシューナッツに奈良漬け。「煮蛸」はめっちゃくちゃやわらかい。「鯨」も「鮑」もでた! ヤバい、ワインがスルスルと入っていく。

握りは「墨イカ」からスタート。きましたよ~、キャビアのせ。普段の私なら「握りに高級食材のせってどうなのよ」と言ってしまうのですが、このお店の雰囲気が「キャビア、いいね」と言わせるんです。

鮪は「赤身」「血合い2 番」「大トロ2番」「カマトロの炙り」の4連続、「赤貝」「車海老」「雲丹」「のどぐろ」と高級食材オンパレード。もちろん「コハダ」「イワシ」など青魚もありで13貫。玉にお味噌汁、デザートでフィニッシュ。さすがファーストクラス、お値段も5万円をラクに超えました。しかし1 度経験するとクセになるのがファーストクラス、恐ろしや。ちなみにお隣に座った人は「YOSHIDA」で数千万円の時計を購入したついでに“寄った”そう。お店を出るといきなり現実に戻された私、「あぁ、天井知らずのお金持ちだったらなぁ……」とバスで帰りましたとさ。

⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“⾷” へのこだわりは、その後の素晴らしい⼈々との出会いと相まっていつしか⼈⽣そのものに。その間に培った⾷のデータと⼈脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外⾷で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ⼿帖」「BRUTUS」「GQ」「⾷べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★
ロケーション&設え ★★★★★
サービス ★★★★★
のどの渇き度 ★★★

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