和食STYLE

日本名産紀行 柘いつか 第41回 愛媛県大洲市 濱屋の天然とらふぐ

作家/旅行作家 柘いつか – Itsuka Tsuge –

天然魚の宝庫・伊予灘産の天然とらふぐ
『天然活魚 濱屋』は、愛媛県大洲市長浜町の商店街の入り口にある魚屋です。ザ・魚屋!と呼べるほどの落ち着いた店構え。

「ざっと100年前ぐらいの創業ですかね」とさらりと言ってのけるスマートな4代目の濱田毅(はまだ たけし)さん。法政大学法学部卒業後、塾の講師を経て家業を継いだそうで、『とらふぐのなみだ』(22世紀アート・キンドル判)、『とらふぐの夢』(文芸社)と2冊のエッセイ集の他に、『もう一度あなたに会いたい』(愛知出版)の中に、「父のハーモニカ」というコンクール受賞作が収められています。また、全国公募から選ばれた『大洲市民の歌』の作詞家でもあります。

前身の生魚問屋『濱屋商店』の創業は、明治時代にまでさかのぼります。一級河川肱川が注ぎ込む長浜は昔から漁が盛んで、町内には魚屋が多く、今でも濱屋を含めて3軒あり、どの店にも生簀(いけす) があって、井戸を掘って海水を組み上げて使っています。
立地によって、海水の塩分濃度が違うので、魚によって生簀に入れられる魚が違っていました。

天然の生簀と寝かしが旨味を際立たせる
濱家自慢の生簀は自然の海水と変わらず、四季折々の天然活魚を取り扱い、河豚(ふぐ)やカワハギ、夏はハモなどが泳いでいます。とりわけとらふぐが有名で、味、品質ともに、都市部の一流料理店からも高い評価を得ており、極上のとらふぐを楽しむことができます。

河豚といえば下関が有名ですが、近隣の河豚が集まってくることもあり、若干品質にばらつきがあるように思います。
その点長浜の河豚は、この伊予灘で獲れたものしか扱っていないため、安心感があり、肉質などの特徴もわかっているので、美味しさも十二分に引き出せます。

打ち抜きの生簀で泳がすことが美味しさの秘訣で、海の幸の滋味を最大限に味わっていただけます。海と同じ環境でストレスも無く、身が締まり、お腹の中のものが綺麗に洗われるのです。

河豚を捌いた後を身欠きの状態といいます。「美味しいものは、美しいんですよね」と、ほれぼれ。

濱屋が扱う河豚は天然ものを扱っていますが、天然物は身に力があります。捌いてすぐは、身の締まりが強くてすぐに調理できないので、少し身を寝かせないといけません。養殖の場合は、時間の経過とともに味が落ちてしまいますが、天然物の場合は日持ちがし、寝かせるとよく熟成されるので、通はあえて一晩寝かしてから食べる方もいらっしゃいます。

熟練の技で薄造りにした天然とらふぐを、自家製ポン酢で!
大洲市の『ええモンセレクション』に登録されている「天然トラグフうすづくりセット」は、2晩寝かせて薄造りにして発送しています。身がしまり、味が洗練された状態のものを熟練の技で丁寧に身欠き、一枚一枚気持ちを込めて薄造りにしています。

古くから伝わる絶品の自家製ポン酢とセットにした当店オリジナルの商品。秋の彼岸から春の彼岸まで薄造りで出荷しているので、届いてすぐに食べられます。身の他にアラとひれも入っており、鍋や唐揚げ、ひれ酒を楽しむこともできます。

また、長浜には「もちゃ」という名物料理があります。河豚の身の切れ端と皮を、ネギと紅葉おろしでモチャモチャっと和えて、ポン酢で食べる一品料理。コラーゲンがプリプリでお肌にもいいので、翌日が楽しみですね!

大洲ええもんセレクション 天然活魚 濱屋
https://www.ozu-eemon.com/approved-business-operator/hamaya/

柘いつか – Itsuka Tsuge –

作家。東京都生まれ。
世界50 カ国以上を訪れ、各界に多彩な人脈を持つ。もうすぐムーミン谷は卒業して、新トカイナカ(都会田舎)に行くことを考えている。
『一流のサービスを受ける人になる方法 極(きわみ)』(光文社)が好評発売中。ベストセラーとなった『別れたほうがイイ男 手放してはいけないイイ男』『成功する男はみな、非情である。』はアジア各国で翻訳された。
https://itsuka-k.com