和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第二回 鮨龍次郎

第二回 鮨龍次郎

お客を笑わせるのもミシュラン級

初めて訪れた時、店主の中村龍次郎さんの「お待ちしてました!」ってめちゃくちゃデカい声に一瞬怯むと同時に中村さんの修業先である外苑前「海味」を思い出しました。
「はいっ!」という弟子たちの超元気な返事と、いつも笑いが絶えなかった「海味」。早逝された2代目親方、長野充靖さんの愛弟子である中村さんは、“お客を楽しませる”という魂ごと引き継いでいます。

「まずは一貫握らせてください」と名刺代わりの「鮪」からスタート。豊洲市場で1,2を争う仲卸「やま幸」から産地にはこだわらず、いまいちばんおいしいものを仕入れていて、この中トロもトゥルンとした舌触りを感じると、とけるように消えてしまいます。2種類の赤酢と1種類の米酢の合わせ酢で、炊き方や種類を日々研究し進化させているという酢飯にめちゃくちゃ合うじゃないですかっ!
その後は酒肴、刺身、茶碗蒸し、焼物などのつまみが6~7 種類、握りは10種類前後供されます。ここは追加もできて、人気NO.1は“映え”る「かっぱ巻」らしいけど私は食べたことがありません。一度、〆に「海鮮丼」をお願いしたらタネ盛り盛りの超豪華版で、いくらは足りなくなるとガバッと「追いいくら」してくれました。「こんなサービスして大丈夫なの?」と聞くと「お客さんが喜んでくれるのがいちばんですから。ガハハ」と笑っていたけどその後は出してくれたことがないので懲りたのかも。

おまかせコースは27,500円~。この日はハイボール2杯に日本酒をグラス5杯で34,000円でした。特注の酒器も器も美しく使いやすくてセンスがいい。そういえばオープン当初に比べミシュランを獲ってからイケイケにいちゃんとねーちゃんが増えた気がする。予約も1年待ちになりおいそれとは行けなくなってしまったのが残念。

⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“⾷” へのこだわりは、その後の素晴らしい⼈々との出会いと相まっていつしか⼈⽣そのものに。その間に培った⾷のデータと⼈脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外⾷で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ⼿帖」「BRUTUS」「GQ」「⾷べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★★
ロケーション&設え ★★★
サービス ★★と半分
のどの渇き度 ★★

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