和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第⼀回 鮨⼤地(おおち)

第⼀回  鮨⼤地(おおち)

電話番号⾮公開︕ ぜひ紹介してもらいたい秀逸鮨

広尾にある「鮨 ⼤地」、⾷べログを⾒て⾏きたいなぁと思ったら何だよ、紹介制じゃないか︕ これは誰かにおすがりしなければと探したら快く紹介いただけた。紹介者からの電話で OK という緩めの規制で扉が開く。⼤将の⼤地督志さんはシャイなのか⼝数が少なく、初訪だといささか居⼼地はよろしくないかも。でもそれを払拭しても⾏きたくなる理由は… …、アラウンド3万円という良⼼的な価格でしかもレベルは⾼い。紹介制ゆえに客層がよく、“輩”はいない。場合によっては当⽇でも⼤丈夫という予約の取りやすさ、ってとこかな。「え、そんなこと︖」と思われるかもしれないが、昨今、こういうお鮨屋がなかなかないのだ。

こちらはつまみ 7〜8 品からの握り 13 貫のおまかせ(多少の追加は可能)コース。つまみはケチらず量多めで、旬の⾷材をふんだんに使ってくれる。⾒た⽬は地味だけど味のバラエティは豊か。この⽇は牡蠣から始まったのですが、この牡蠣が美味かった︕ ホワンとした⾷感で調味料使ってないのかと思わせる味付け。いや、もちろん⼿を⼊れてるに違いないけど、そのくらい⾷材のもち味を⽣かしているってことです。カワハギも肝を添えるだけでなく“肝味噌スタイル”にしていたり、鮨屋には珍しく揚げ物を出したりと、ただのつまみにあらず。本当に飲ませ上⼿だなぁ。“映え”しない地味さだけどね。

頃合いよくガリが出され、握りが始まります。⾦⽬鯛、鰤、コハダ、⽩イカ、⾙、⾞海⽼、電話雲丹……、鮨ダネはどれもきっちり仕事をしていて美味い︕ 鮪は“あの”「やま幸」で⾚⾝、中トロ、カマトロ(⼤トロの時もあるみたい)の三連発︕ 酢飯は 2 種類を使い分け、酢が尖ってなくてかなり好み。タネとのバランスもちょうどいい。⼤地さんは「すし清」で修業されたそうです。握りの後半に 3 ⼝サイズのミニ丼(この⽇はイクラ)を出してくれるので、追加せずともお腹は満⾜。お会計は最初に⻨焼酎ソーダ割りを、その後は⽇本酒 3合(だったかな)を飲んで 30,700 円でした。ホント、いい鮨屋だ。

そうそう、顔を覚えてくれると⼤地さんは話してくれるようになりますのでご⼼配に及ばず。その分、カウンターのお隣さんと仲良くなれたりするので、それも良しですな。

⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“⾷” へのこだわりは、その後の素晴らしい⼈々との出会いと相まっていつしか⼈⽣そのものに。その間に培った⾷のデータと⼈脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外⾷で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ⼿帖」「BRUTUS」「GQ」「⾷べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4 万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【今回の評価】
おひとりさま度 ★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★★★
ロケーション&設え ★★★
サービス ★★★
のどの渇き度 ★★★★

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