和食STYLE

日本名産紀行 柘いつか 第33回 宮崎県椎葉村の「平家キャビア」

作家/旅行作家 柘いつか – Itsuka Tsuge –

世界三大珍味のひとつを宮崎から
フォアグラ、トリュフと並んで、世界三大珍味と言われるキャビア。
バブル時代に、ロシア貿易の社長のお土産で、黒い宝石のようなベルーガをたくさんいただき、ひと瓶丸ごと茹でたてのパスタに入れ、豪快に食していたのを懐かしく思い出しました。

最初から余談で恐縮ですが、この世界三大珍味は食材のかたよりから、フランス三大珍味とも呼ばれています。中国三大珍味はフカヒレ、熊の手、燕の巣で、日本三大珍味は江戸時代から食べられていた、からすみ、このわた(なまこの腸の塩漬け)、塩うにの3つだそうです。

さて今回、国内産の貴重なキャビアを食するのは初めてで、さすがに緊張しました。

椎葉村の豊かな清流で育ったフレッシュキャビア
宮崎県中部に位置する椎葉村は、山間ののどかな村です。日本三大秘境としても知られ、”椎葉のマチュピチュ”と称される幻想的な「仙人の棚田」や、国内初めてとなる100m級の大規模アーチダム「上椎葉ダム」など、ここでしか出会えない風景が豊富に存在します。
名前の由来となる、11月初旬に開催の「椎葉平家祭り」では、平家の末裔「鶴富姫」と源氏の武将「那須大八郎」との悲恋物語を題材に、つかのまの逢瀬が再現されます。

平家キャビアは、約8年の歳月をかけ、椎葉の清流で育てられたシベリアチョウザメから採卵され、厳選されたキャビアです。特別にブレンドされた塩に低濃度で漬けられ、低温殺菌を行っていないフレッシュキャビアなので、素材本来の味が楽しめます。

自社一貫体制を活かし、養魚場から加工場までを時短化。養魚場から水揚げされて15分以内に加工場へ搬送されたチョウザメは、開腹~解卵を経て4時間以内のスピードで瓶詰めまで施されます。
短時間で加工することで、体内で生きたまま熟成させることができ、過熟になる寸前で製品化しています。

絶妙な塩加減でよりクリーミーさが際立つ仕上がりに
チョウザメの品質を左右するのは水質です。清流の水質を保持するため、最先端テクノロジーIoTを導入し、水位や溶存酸素量を24時間監視しています。
水質の悪化を招く給餌は手やりにこだわり、日々変わるチョウザメの食いつきを観察しながら細かく量を調整しています。食べ残しで水質が濁ることなくクリーンに保たれ、良質なキャビアをもったチョウザメに育ちます。

厳しいチェックを通過したチョウザメを血抜きし、卵を傷つけないよう丁寧に取り出し、過熟を抑えるために氷水で器を冷やしながら、手作業で脂や筋を取り除き、調味して瓶詰めした後、真空状態でお手元にお届けしています。

調理に関しては、地元宮崎のフランス料理店『ラポール・ド・クニトミ』のオーナー、尾畑和雄シェフが、毎回調理施設に足を運び、絶妙な塩加減で味付けを行っています。

こうしたこだわりが、平家キャビア独特の、臭みのないまろやかな味わいを実現させているのです。

キャビア王国
https://caviaroukoku.official.ec/

柘いつか – Itsuka Tsuge –

作家。東京都生まれ。
世界50カ国以上を訪れ、各界に多彩な人脈を持つ。ムーミン谷で人生初のトカイナカ(都会田舎)暮らしを始め、日本の良さを再認識している。
『一流のサービスを受ける人になる方法 極(きわみ)』(光文社)が好評発売中。ベストセラーとなった『別れたほうがイイ男 手放してはいけないイイ男』『成功する男はみな、非情である。』はアジア各国で翻訳された。
https://itsuka-k.com