和食STYLE

日本名産紀行 柘いつか 第27回 佐賀県太良町の竹崎カニ

作家/旅行作家 柘いつか – Itsuka Tsuge –

太良町の「まえうみもん」は魚介類の宝庫!
私と太良町(たらちょう)のご縁は深く、2018年3月に佐賀県を取材で訪れた際、太良町の前の海(有明海)で取れる魚介類を味わう「太良町まえうみもん試食会」に参加し、佐賀TVの取材を受けたことから始まります。

竹崎カキ、有明海苔、コハダ、芝海老、アサリ、イイダコ、スズキ、舌平目など、豊富な魚介類の中でも、一番のご馳走が『竹崎カニ』です。「ガザミ」といわれるワタリガニの一種で、こちらではとても珍重されています。

竹崎カニは、有明海では水深10m以上の泥質の傾斜地に多く生息しています。
有明海の干満の差でできる広大な干潟、その干潟に棲むプランクトンや小動物は、1日1回は潮の引いた干潟の上で日光を浴びます。
食べ物をおいしくする遠赤外線を多く吸収したそれら小動物は竹崎蟹の格好のえさであり、それを食べる竹崎カニはそれゆえに、格段に美味であるといわれています。

1年中食べられますが、夏場はオス、秋口になるとメスの方がおいしく、おなかにギュッと詰まったタマゴも絶品です!

月の引力が見える町
月の引力は目に見えるものではありませんが、潮の干満差日本一の有明海に面する太良町には、江戸時代に建てられた大魚(おおうお)神社の海中鳥居があり、3つの鳥居が時間帯によって表情を変える、絶景スポットになっています。

有明海のプレミアムリゾート旅館『蟹御殿(かにごてん)』は、「全日本温泉宿アワード2013」でグランプリに選ばれてから、国内外からのお客様も増えています。オーシャンビューの客室からは、窓から映画の大スクリーンのような景色として、潮の満ち引きの様子をゆったり眺められます。
もちろん、朝焼け&夕焼けや、夜空の見える時間には更に壮大な美しさに感動します。

「蟹御殿」の味がご家庭でも楽しめる
竹崎蟹の料理法としては、活きのよい物をシメてから塩茹でするのがべストです。酢醤油につけて手づかみで食べられ、味噌汁や雑炊、天ぷら、コロッケ、グラタンなど、食べ方はいろいろです。持ち味をストレートに味わうならやっぱり塩茹でがたまりません!日本人なら、ミソの詰まった甲羅に、熱い日本酒を入れてすする甲羅酒もおすすめです。

蟹は中身を出す作業で忙しく、無口になる食べ物なので、口下手な人向きで、実は苦手な人と会食する時にも選ばれます(笑)。蟹は、人がそれくらい夢中になる好物なのです。
ほんのりした甘味が後を引き、それからというもの、私の事務所では毎年お取り寄せしています。

蟹御殿 竹崎カニ販売サイト
https://www.kanigoten.com/event/2137/

柘いつか – Itsuka Tsuge –

作家。東京都生まれ。
世界50カ国以上を訪れ、各界に多彩な人脈を持つ。ムーミン谷で人生初のトカイナカ(都会田舎)暮らしを始め、日本の良さを再認識している。
『一流のサービスを受ける人になる方法 極(きわみ)』(光文社)が好評発売中。ベストセラーとなった『別れたほうがイイ男 手放してはいけないイイ男』『成功する男はみな、非情である。』はアジア各国で翻訳された。『月刊パセオフラメンコ10月号』にエッセイ掲載。
https://itsuka-k.com