和食STYLE

日本名産紀行 柘いつか 第24回 宮古島の雪塩

作家/旅行作家 柘いつか – Itsuka Tsuge –

何も足さない何も引かない。宮古島の海そのままが、雪塩です
沖縄の海の中でも、その透明度は随一といわれているのが宮古島。
俳優の故・峰岸徹さんが、トライアスロンの大会に出るからと、みんなの前で話してくれたのが宮古島でした。私もその話の虜になり、サンゴ礁のエメラルドグリーンの海を見たくて旅をしたことがあります。

宮古島はサンゴ礁が隆起してできた「琉球石灰岩」と呼ばれる地層で作られた島です。雪塩製塩所では、ビーチや沖から直接海水を汲んでくるのではなく、海岸近くの陸上から地下約22mまで琉球石灰岩の層を堀り、そこから取水した海水を原料としています。

海水の成分を残すことにこだわった雪塩のこだわり
琉球石灰岩が天然のろ過装置の役割を果たしてくれるので、不純物のないきれいな海水を取水でき、また琉球石灰岩中に含まれる成分が地下海水に染み出すので、それらの成分が溶け込んだ海水になっています。取水のための構造物を海中に作る必要がないので漁業などの妨げになることがなく、また満潮や干潮、台風や雨などによる影響も受けません(地下海水は台風の時でも濁りません。さらに台風によって砂層に溜まったゴミが洗い流されるので、よりいっそうキレイになります)。
さらに海洋生物などを取水管に吸い込むことがないので環境にもやさしいといえます。

雪塩と一般的な海水塩の違いは「にがり」成分を含むか否かです
一般的な海水塩は汲み上げた海水を、大きな釜に入れて、だいたい2日間くらい煮続けて蒸発させます。塩分濃度が25%を超えたあたりから徐々に結晶ができ始め、最終的には結晶とにがりという液体に分離させます。その結晶をいわゆる塩として使っています。結晶するのは90%以上が塩化ナトリウムです。
ニガリは「苦汁」と書くほど、舌を痺れさすような強い苦味としょっぱみがあり、そのままではとても食べられない味です(豆腐の凝固材などに使用されます)。一般的な「煎ごう法」と違い、雪塩は、ニガリ分も含んだまま結晶にする加熱ドラム式という製法で製塩されています。

雪塩は、濃縮した海水を、アツアツに熱した金属板の上に吹き付けて、2秒間で水分を蒸発させています。一瞬で結晶化するので、さらさらの粉末状になります。(すりつぶしたりはしていません)。2秒間で水分を蒸発させるので、にがりと塩が分離する暇がなく、ニガリ分を全部塩の中に閉じ込めることができました。その結果、雪塩に含まれる塩化ナトリウムは約77%程度です。
残りはにがり成分で構成されています。雪塩はマグネシウム、カルシウム、カリウムが豊富に含まれています。
苦味の強いニガリが、苦くならない温度で結晶化するため、まろやかな味わいになります。一般の海水塩に比べ、マグネシウム30倍、カルシウム8倍、カリウム20倍と、ミネラル分が豊富に含まれています。

ギネスブックからも掲載されていた宮古島の雪塩
2000年8月9日、宮古島の雪塩は「世界で一番、含有するミネラル成分の種類が多い塩」としてギネスブックから世界一の認定を受けた過去があります。現在はギネスからこのジャンルはなくなってしまいましたが、事実上この記録は破られていないそうです。

サラサラとして粉雪のような雪塩は、不純物の少ない、ミネラル成分を多く含んだ地下海水を原料に、海そのままの成分を残せるよう瞬時に水分を蒸発させる特殊な製法で作られています。
キメの細かいパウダータイプのほかに、雪塩の味や成分はそのままに、使いやすく加工したこつぶ(顆粒)タイプがあります。

・雪塩 (パウダー)
サラサラのパウダータイプは、素材馴染みが良いのが特徴です。お肉などの下味付けや、天ぷらなどの付け塩、塩おにぎり、スイーツなどにもお薦めです。パウダー状なので見た目ほど重さがないため、通常と同じ塩味にするためには見た目で3倍になるようにお使いただくと、ちょうど良い塩味になります。

・雪塩 (こつぶ・顆粒)
パウダータイプの雪塩と味・成分は変わらず、粒状に加工しました。使い勝手の良さが特徴です。煮物や炒め物など普段のお料理に、一般的な食塩と同じ感覚でお使いいただけます。

また、雪塩には、おにぎり、ステーキ、ドレッシングなどの用途別のほか、ハイビスカス、シークヮーサー、島とうがらしなど、沖縄らしい素材を中心にブレンドした「雪塩かける」というシリーズが多数あり、かけるだけで料理の美味しさがアップします。

他、大好評の「雪塩バウムクーヘン」「雪塩ふわわ」「雪塩黒糖」「雪塩ちんすこう」といったスイーツ。「雪塩石鹸」や「ミネラルソルトホームスパ」と言った美容製品。「雪塩太もずく」や「雪塩ポン酢」、「宮古島サイダー」など、様々な商品が展開されています。

宮古島の雪塩
https://www.yukishio.com

柘いつか – Itsuka Tsuge –

作家。東京都生まれ。
世界50カ国以上を訪れ、各界に多彩な人脈を持つ。ムーミン谷で人生初のトカイナカ(都会田舎)暮らしを始め、日本の良さを再認識している。
『一流のサービスを受ける人になる方法 極(きわみ)』(光文社)が好評発売中。ベストセラーとなった『別れたほうがイイ男 手放してはいけないイイ男』『成功する男はみな、非情である。』はアジア各国で翻訳された。『月刊パセオフラメンコ10月号』にエッセイ掲載。
https://itsuka-k.com