和食STYLE

⽇本名産紀⾏ 柘いつか 第20回 柏原市 カタシモワイナリー

作家/旅行作家 柘いつか – Itsuka Tsuge –

100年以上続くぶどう畑を、ワインの力で次の100年につなげる
大阪にワイナリーが? と、意外に思う人も多いと思いますが、大正時代の終わり~昭和の初め頃まで、この地域のぶどうの生産量は全国1位だったこともあるそうです。

柏原市にあるカタシモワイナリーでは現在約60種類もの商品を製造しています。その歴史は古く、明治初期から続く100年畑で作られる、西日本最古の老舗ワイナリーです。
現代表の祖父に当たる高井利三郎氏が、葡萄栽培に適した河内堅下村の南斜面を開拓し、大阪ぶどうの黄金期を築きました。

大正時代に入り、2代目の高井作次郎が、果樹園の経営のかたわらワインの醸造に成功。カタシモ洋酒醸造所を設立し、創業者となって、ぶどう液(ジュース)の製造を始めました。

やがてぶどう酒の製造販売も開始。昭和期には坂口謹一郎氏が日本初のワイン用酵母OC2(後の醸造協会酵母 ブドウ酒用1号)を発見し、法人を設立。3代目高井利一氏が代表取締役に就任しました。

平成に入ると『葡萄華(ブドウカ)』がモンドセレクション銅賞に続き、農林水産大臣賞を受賞したのを皮切りに、自社製品が国内外の数々の賞を受賞し、ワイン貯蔵庫が国の登録有形文化財に指定され、全農園が大阪府エコ農産圃場に認定されました。

2019年の『G20 大阪サミット』では、7アイテムが各国の代表の喉を潤しました。

金賞受賞のジャパニーズブランデー『葡萄華(ブドウカ)』
イタリアで、デザート酒として冷えた体を温めるグラッパをイメージし、日本用にアレンジした蒸留酒です。
デラウェアの蜂蜜のような香りと、リムーザンのフレンチオーク木樽で、力強い香りがブレンドされ、上品な香りと柔らかな味わいに仕上がりました。
2021年サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションで金賞を受賞しています。

たこ焼きに合うスパークリングワイン『たこシャン』!
「たこ焼きと合わせて欲しい、大阪産のスパークリングワイン」がコンセプトの、親しみやすいネーミングと、たこ焼きをイメージしつつも高級感溢れるラベルデザイン、和食全般にも合う、ほんのり甘く、すっきりとした飲み口。デラウェアで造ったワインには甘いものが多いのですが、冴えた酸味のスパークリングワインです。
「ジャパンワインチャレンジ2019」にて、たこシャン2018が銅賞を受賞しています。

ワイナリーなのになぜ『ひやしあめ?』
関東ではあまり知られて居ない『ひやしあめ』ですが、関西圏では夏の滋養飲料の定番で、昔から「あめゆ」として親しまれ、心斎橋に屋台も並びました。
琥珀色をした飲み物で、濃縮されているため、3~4倍に薄めて氷で冷やせば出来上がり!

大阪産名品に認定された、昔懐かしい味わいのカタシモの『ひやしあめ』は、鹿児島県産の甘藷でん粉を使った麦芽飴、種子島産の砂糖、高知県産の生姜、沖縄波照間産の黒糖など、国産の原材料と、濃縮にもこだわっています。

最初は自家用で作っていたものが、その美味しさが口コミで評判となり、販売することに。
素朴な味わいのすっきりとした甘さと生姜の程よい刺激が、夏バテした体に染み渡ります。

水で割っていただくのが定番ですが、緑茶や牛乳、カフェオレで割るのもオススメとのこと。さらに肉ジャガやカレーの隠し味にも使えるのだとか。
ミルクで割ったひやしあめ、癖になる美味しさでした!

ワイナリー見学「Winery Tour」も好評です! ワイン造りの歴史ともいえる明治~大正時代の醸造器具に囲まれた空間で、ワインの造り方や葡萄の品種など、商品の背景まで遡りながら、ご自身にぴったりのワインを探すのは、至上の喜びではないでしょうか?

カタシモワイナリー通販サイト
https://kingselby.shop-pro.jp/

柘いつか – Itsuka Tsuge –

作家。東京都生まれ。
世界 50 カ国以上を訪れ、各界に多彩な人脈を持つ。ムーミン谷でトカイナカ(都会田舎)暮らしを始め、日本の良さを再認識している。『一流のサービスを受ける人になる方法 極(きわみ)』(光文社)が好評発売中。
ベストセラーとなった『別れたほうがイイ男 手放してはいけないイイ男』『成功する男はみな、非情である。』はアジア各国で翻訳された。
https://itsuka-k.com