和食STYLE

⽇本名産紀⾏ 柘いつか 第17回 真鶴町 魚伝の干物

作家/旅行作家 柘いつか – Itsuka Tsuge –

老舗の一番人気は「サバのみりん干し」

神奈川県は西の端、真鶴駅に着いて坂を下り、明治10年創業の老舗干物店『魚伝』に着く頃には、潮の香りがしてきます。
日本の伝統食である「干物」が、食卓に並ぶようになったのは江戸時代から。保存できるうえに、栄養価も高く、干すことで旨味倍増! またたく間に「食卓に欠かせないもの」になりました。

真鶴の海には、3つの山の土と森の栄養、さらに黒潮の影響で、動物性と植物性の両方のプランクトンが生息するため、深海魚、回遊魚含め、約 600 種類もの豊富な魚種があります。

そんな真鶴産の魚に加え、全国の干物に合う旨い魚を目利きして仕入れ、毎朝店先でおろしてていねいに洗い、天然塩や、一子相伝の秘伝のタレに漬け込んで、絶妙な乾燥を施します。
金目鯛、アジ、サバ、カマス、イカなど、職人技が息づいた干物が、常時7種類以上並びます。どれもふっくらとして上品で、とても美味しいのですが、中でも一番人気の「サバのみりん干し」はクセが全くなく、優しい甘みで子供にも大人気だそうです。

メイドインジャパン品質の洋風干物『アタラシイヒモノ』

現代人の干物離れを憂いた5代目店主・青木良磨さんが、「日本の食卓の定番とも言える干物をいま、アタラシクするとしたら」をテーマに、2018 年にTEAM Atarashii Himono プロジェクトを発足。
海外からも注目を集める、フレンチの田村浩二シェフとタッグを組んで、「日本伝統の干物技術」と「若手シェフの気鋭のセンス」が融合し、モダンな干物が出来上がりました。

第一弾の「金目鯛 ハーブ&ガーリック」を皮切りに、「銀鮭ハラス チョリソー」「サバ 黒七味」など現在6種がラインナップ。
アタラシイ定番を目指して、選りすぐりのハーブやスパイスで調味することで、香り高く仕上げました。

しっかりと味がついているので、調味料要らず。「焼いて、煮込む」「野菜と並べてオーブンでグリルする」スペイン風に「ごはんと一緒にフライパンで炊く」など、調理はフライパンとオーブンのみ!なので、後片付けもカンタンで、キッチンライフから魚グリルを掃除する手間を解放します。
どれも15 分以内にできる時短調理で、プロ仕様のおいしいメインディッシュが出来上がります(アレンジレシピはHP に掲載されています)。

今まで干物に馴染みがなかった方にも、手軽に楽しく調理していただける、白ワインに合う干物たちです。

イベントで1日4000個売れたこともあるB級グルメ大賞「イカ爆弾」!

5代目が「食べ歩きできるワンハンドグルメ」をと発案した『いか爆弾』は、「TOKYO&AROUND TOKYO 地場産品」に認定され、1都7県の地酒と地場産品の観光振興賞を受賞しました。
真っ黒で一見コゲているように見えますが、これはイカスミ入りの特製パン粉の衣が使われているから。ジャガイモと真鶴産の柔らかい真イカ、飴色玉ねぎに、中にはとろ~りチ ーズが入り、ブラックペッパーが効いたスパイシーなお味が、口いっぱいに広がります! お店に行けば、揚げたてが食べられるので、真鶴観光のお供に、是非!

魚伝
https://www.uoden-himono.co.jp

柘いつか – Itsuka Tsuge –

作家。東京都生まれ。
世界 50 カ国以上を訪れ、各界に多彩な人脈を持つ。ムーミン谷でトカイナカ(都会田舎)暮らしを始め、日本の良さを再認識している。
『一流のサービスを受ける人になる方法 極(きわみ)』(光文社)が好評発売中。ベストセラーとなった『別れたほうがイイ男 手放してはいけないイイ男』『成功する男はみな、非情である。』はアジア各国で翻訳された。
https://itsuka-k.com