和食STYLE

⽇本名産紀⾏ 柘いつか 第16回 真鶴産の岩牡蠣「鶴宝」

作家/旅行作家 柘いつか – Itsuka Tsuge –

真鶴の海の香りを感じながら旬の岩牡蠣「鶴宝」を味わう
神奈川県足柄下郡真鶴町は、都心から電車で1 時間半とアクセスも良好。相模湾の西に突き出した半島の形が、羽根を広げた鶴に似ていることから町の名前が付けられました。
その先端にあるのが真鶴岬で、岬の先の海上には三ツ石があり、干潮の際には岬とつながる絶景パワースポットがあります!

どこかのどかな雰囲気をたたえていて、海の絶景を堪能したり、坂の多い懐かしい町並みを散策したり、源頼朝ゆかりの地を訪ねてみたりと、楽しみ方はいろいろ。

森の恵みを吸い込んだ相模湾の奇跡の一粒
『鶴宝』は、真鶴町の地域活性化と漁業振興を目指し、漁師たちが生み出した真鶴の新しい名産品です。
「真鶴町に人を呼ぶ」をコンセプトに、平成27 年度から岩牡蠣の試験養殖を開始し、平成30 年度からは「真鶴町岩沖岩牡蠣養殖事業推進協議会」を設立。紫外線滅菌海水槽による24時間滅菌など、徹底的な衛生管理と安心・安全の品質管理のもと、岩牡蠣の養殖を始め、令和3年には「株式会社 岩ガキBASE」を設立し、本格的に出荷が始まりました。

ネーミングを募集したところ、全国から465 件もの応募があり、神奈川県初の生食二枚貝の養殖となることから、真鶴の豊かな自然が生み出した「真鶴の宝」の意味で『鶴宝』と名付けられました。

私は牡蠣が好きで、今までパリやNY、バンクーバーオリンピックの際は現地のオイスターバーで「KUMAMOTO」など小ぶりの銘柄のコンク牡蠣を、カクテルスタイルでいただいたことを懐かしく思い出しました。牡蠣はキリッと冷えた白ワイン片手によく合います。

『鶴宝』は真鶴沖の栄養をたっぷり吸い込み、歯ごたえのある大ぶりの貝柱に凝縮された出汁のような塩見と甘みを帯びた旨味が詰まり、噛めばプリッと濃厚でクリーミーな味わいが口いっぱいに広がります。

美味しくいただくためには、生が一番おすすめです。そのままでも十分ですが、レモン+醤油をかけたり、もみじおろし+ポン酢でアクセントを効かせたり。気分を変えて、焼き牡蠣にするのもおすすめです。

関東で唯一の外洋での岩ガキ養殖事業
牡蠣と言えば冬と思われがちですが、鶴宝の岩牡蠣は水温の高い夏場に最盛期を迎え出回ります。水深 3~15m ほどの深場に生息し、その名の通り真牡蠣に比べて殻が大きく分厚く、身も大きくなります。

すぐに深くなる「どん深」の海や海流に加え、お林から相模湾に湧き水が流れ込むことから、プランクトンが集まり、岩ガキの生育環境に適しています。
漁師が一粒ひとつぶ手塩にかけて養殖するため、出荷できる量は年間10 万個程度しかありません。送付の際には一粒ずつ丁寧に殻が磨かれ、牡蠣ナイフ・片手軍手・剥き方・パンフレットが同封されてくるので安心です。

今年5月に開催された「真鶴なぶら市」という民間マルシェでは「鶴宝の無料試食会」を開催。
長蛇の列ができて、用意した 400個はあっという間に品切れになりました。皆、貴重で美味しい名産には、目がないのですね!

岩牡蠣「鶴宝」岩ガキBASE
https://iwagakibase.com/description/

柘いつか – Itsuka Tsuge –

作家。東京都生まれ。
世界 50 カ国以上を訪れ、各界に多彩な人脈を持つ。ムーミン谷でトカイナカ(都会田舎)暮らしを始め、日本の良さを再認識している。
『⼀流のサービスを受ける人になる方法 極(きわみ)』(光文社)が好評発売中。ベストセラーとなった『別れたほうがイイ男 手放してはいけないイイ男』『成功する男はみな、非情である。』はアジア各国で翻訳された。
https://itsuka-k.com