和食STYLE

日本名産紀行 柘いつか 第7回 志摩市 ⼭吉のあわび

作家/旅行作家 柘いつか – Itsuka Tsuge –

豊潤な海の幸に囲まれて

「いずれ、アマになりたいの」
私が夢を語ると、
「そうでしたか。いつかさんも色々ありましたもんねー。人生」
皆、尼さんだと感違いしている(笑)。
「そうじゃなくて、朝ドラの『あまちゃん』の、海に潜る海女のことなんですけど」
と言うと、やっと理解してもらえました。
昨年のテレビ朝日の『ポツンと一軒家』で、海女小屋が画面に出た時はときめきました。

美しいリアス式海岸を持つ三重県志摩市。複雑な地形の海岸は、風光明媚で有名です。豊富なプランクトンを食べて育つ、肉厚で弾力を持つあわびは、2000年も前から地元の海女さんたちによって漁が行われています。
大昔から伊勢神宮にも献上され「あわびを食べると目の綺麗な子が生まれる」とも言われているのです。

「ああ美味い︕」伊勢志摩発 海の幸直⾏便
うまし国伊勢志摩は、⿂介類の宝庫です。
志摩半島の最南端に、遠浅で⽔が美しい御座白浜海⽔浴場があり、夏にはたくさんの観光客も訪れます。驚くほど⽩い砂と、マリンブルーのコントラスト。澄み切った海に戯れる海の幸は⽬に眩しいほど新鮮で、温暖な気候と豊かな海の資源に恵まれた漁港です。

テレビ東京のドラマ『釣りバカ⽇誌、新⼊社員浜崎伝助』のロケ地にもなった、御座漁港の定期便乗り場の隣に『⼭吉』はあります。

⿂介類は全て天然物で(輸⼊物は殻が⻘くて付着物がない)、⽩あわびと⿊あわびのつがいもあります。
その他、伊勢海⽼、さざえ、ひおうぎ⾙(バタ⾙)⼤あさり、ほら⾙、ウニ、殻付カキ、岩ガキ、ナマコ、ヒラメ、タイ、ハマチなど、時期によって種類も豊富です。

あわびの⾷べ⽅いろいろ
クール便で届いたあわびは、まずは何と⾔ってもお刺⾝で。『⼭吉』の HP には写真付きで「さばき⽅教室」が載っているからありがたいですね。
肝はカットして添えてもいいですが、私は軽く叩いて醤油と混ぜたところに、刺⾝をつけていただきました。磯の⾹りと苦味のある肝醤油でいただくあわびの刺⾝。コリコリとした⾷感がたまりません。

蒸しあわびは、まず表⾯にたっぷりの塩を塗って、タワシなどでこすります。⾝が少し⽩ っぽくなればサッと洗います。⾝がギュッと引き締まったところで酒⼤さじ1をふりかけ、蒸し器にお湯をたっぷりと沸かしておき、お⽫に乗せたあわびをセットします。弱⽕でじ っくり1時間程度蒸し続け、取り出して冷ましたら殻から外し、⼀⼝⼤に切っていただきます。柔らかくて弾⼒があり、噛めば噛むほど豊潤な旨味が⼝いっぱいに広はります。

王道の定番、バター焼きもオススメです。下ごしらえは、HP にある「さばき⽅教室」の4番までは刺⾝と同じです。表⾯に切り込みを⼊れたら、フライパンにバターを熱し、塩胡椒したあわびを焼きます。酒を加えてフタをし、2分ほど蒸し焼きにします。
あわびを取り出し、フライパンにバターとあわびの肝を加え、つぶしながら⽕を通します。これを盛り付けたあわびにかけていただきます。

変わり種で、志摩市の店では、レモン塩でいただくあわびの握りなども食べられます。
身が引き締まって美味しく、日本人に生まれてよかった、と感じる瞬間です。

志摩市 (有)⼭吉
http://yamakiti.sakura.ne.jp

柘いつか – Itsuka Tsuge –

現在発売中の光文社『女性自身』の「ゆるハラ」特集に、メインコメンテイターとして出ています。
作家。東京都⽣まれ。世界 50 カ国以上を訪れ、各界に多彩な⼈脈を持つ。
『⼀流のサービスを受ける⼈になる⽅法 極(きわみ)』(光⽂社)が好評発売中。ベストセラーとなった『別れたほうがイイ男 ⼿放してはいけないイイ男』『成功する男はみな、⾮情である。』はアジア各国で翻訳された。
https://itsuka-k.com