和食STYLE

日本名産紀行 柘いつか 第2回 別海町の西別鮭

作家/旅行作家 柘いつか – Itsuka Tsuge –

「ここまで来ると、べつせかい︕」
北海道にはご縁があり、講演会やトークイベントで時々呼んでいただいております。また『カーピアセロム』という、隔月発行の車情報誌のエッセイ「いつかの東京通信」も連載4年目を迎えました。

さて、別海町の町名は、アイヌ語の「川の折れ曲がっている」を意味する「ペッ・カイエ」から転化したものなのだそうです。

北海道の道東に位置する根室振興局管内にある野付郡西別川は、世界有数の透明度を誇る摩周湖の伏流水を水源とし、遥かに国後島を望む根室海峡まで悠然と流れています。

豊かなオホーツク海の恵みを受ける大自然に囲まれ、「野付半島」や「風蓮湖」など、豊かな自然環境を有する酪農と漁業の町で、しばれた日の朝には、幻の四角い太陽が現れることもあります。

徳川将軍家の献上鮭に︕
西別川を故郷とする鮭を西別鮭と称し、天明5年(1785)にはその名声はすでに江戸にまで広まっていました。
徳川幕府第十一代将軍徳川家斉より「献上鮭」としての栄誉を授かり、以降幕末まで、将軍家と大奥に、毎年献上され続けました。

明治 11 年には明治新政府により、日本で初めての缶詰工場が本別海に建設されました。海外輸出も始まり、最高品質を誇る鮭として好評を博したそうです。

現在では、伝統的な製法で作り上げた「献上造り」、独特の製法の「山漬造り」、新鮮な「甘塩造り」など、漁師自ら心を込めて丹念に作り上げています。

西別鮭の美味しさの秘密
西別鮭の味の秘密は、清冽な西別川の水質と、川底に無数に存在する「味の笛」と呼ばれるパイプ状の河石による相互作用が、他に類のない味を生み出したからだといわれています。

「山漬造り」は、冷凍設備を使わず長期保存をするために漁師達が考えた製法です。
鮭自体が持つ余分な水分をほとんど除いてしまうため、塩味は大変強いですが、身のしまりは格別です。
脱塩(塩抜きをして味を調える)、風干(寒風干し)の伝統製法により、ゆっくりと時間をかけ、天然秋鮭が持つ本来の旨みが引き出されます。

おすすめの食べ方は︖
現地では、風味豊かな「味の年輪」の切り身を、まるごと一切れ豪快にお茶漬けにして食べるそうです。ご飯の上に焼いた鮭を乗せてかける出汁は、標津産の鮭ぶし、羅臼昆布、かつお、ホタテ出汁など様々な種類があります。
他にも、水出しをしての焼き魚・三平汁・魚漬けの具材など、料理通の腕が鳴りますね︕

西別鮭を焼魚にすると、身がふくらんで皮の方に反り返り、身が一枚一枚はがれやすくなるのが特徴です。
ちなみに私は、朝食でヘルシーに大根おろしを添えて、真っ赤な焼き魚を楽しみました。白いご飯が進み、思わずおかわりをしました。

丸ごと炊き込みご飯にしても風味が丁度よく、バター焼きも格別です。豪華版の1品になるはずです。久しぶりに日本食らしい朝食など、あつらえてみては、いかがでしょう。

北海道ぎょれん 産直ネットショップHP
(「西別鮭」で検索)
https:www.gyoren.net/

別海漁業協同組合 HP
http://www.aurens.or.jp/hp/betsugyo/index.html

協力︓別海町観光協会
https://betsukai-kanko.jp

柘いつか – Itsuka Tsuge –

作家。東京⽣まれ。世界50カ国以上を訪れ、各界に多彩な⼈ を持つ。
『⼀流のサービスを受ける⼈になる⽅法 極(きわみ)』(光⽂社)が好評発売中。ベストセラーとなった『別れたほうがイイ男 ⼿放してはいけないイイ男』『成功する男はみな、⾮情である。』はアジア各国で翻訳された。
http://www.itsuka-k.com