和食STYLE

文化遺産にふさわしい店「この一品」 新・和食めぐり㉜RESTAURANT七條の海老フライ

『RESTAURANT七條』は、誰もが一度は食べたことがあるだろう「海老フライ」を店の看板料理にまで極めさせた。先代から受け継いだ心意気と2代目のご主人の繊細な技が融合し、一度食べたら忘れられない味へと昇華させている。
尻尾の先まで一直線に伸びたエビフライは迫力満点で、プリプリとした海老ならではの噛み応えが味わえる。ランチタイムにできる行列にも納得の美味しさだ。

名物にうまいものあり!
迫力満点のそそり立つ「海老フライ」

RESTAURANT七條
東京都千代田区内神田1-15-7 AUSPICE内神田1F
03-5577-6184

そそり立つ「海老フライ」で名を馳せる『RESTAURANT七條』は、昭和51年創業の老舗レストランである。先代が腕を振るっていたころは神保町に店があり、私もその頃から足を運んでいる。
今は2代目のご主人へと代替わりし、店の場所も都営新宿線の小川町駅、東京メトロの新御茶ノ水駅、JRの神田駅から数分の場所になった。表通りからは一本奥まった場所にあるのにも関わらず、以前と変わらずランチタイムになると周辺で働く人が行列を作り、今でも絶大な人気を誇っている。

『RESTAURANT七條』は日本の昔ながらの家庭料理が味わえる、いわゆる古き良き洋食店である。ハンバーグやハヤシライス、カレー、ステーキといったメニューにも目が奪われるが、まずはこの店の良さを実感できる「海老フライ」を食べてみてほしい。
一口食べると、すぐに丁寧な下ごしらえが施されているのがわかるだろう。海老の身はプリプリとした食感で、細かく包丁が入っているからこそ、真っ直ぐにそそり立たせることができるのだ。長年愛され続ける名店の名物料理には、相応の理由があるのだと、きっと一口で皆さんにも納得してもらえるに違いない。

フライの食感の決め手となるパン粉は細かく砕かれ、素材の味わいが存分に引き立つように薄くつけられている。サクサクと軽く仕上げられているので、見た目の迫力とは裏腹にどんどんと箸が進む。
添えられたタルタルソースは、ほどよい酸味がアクセントになっていてフライのコクを引き立ててくれる。タルタルソースはベースとなっているマヨネーズから手作りされていて、若い頃にフランス料理の名店で修業をされていたご主人の料理の技が存分に活かされているのが実感できる。

平日は行列覚悟ではあるが、まずはコストパフォーマンスが最高にいいランチがお薦めだ。「海老フライ」はもちろんのこと、それ以外のコロッケや鰺フライ等もひとつ300円という値段で追加オーダーが可能。このクオリティで、この価格はまさに破格と言えるだろう。ぜひ、お腹を空かせて行って、いろいろなメニューを試してもらいたい。

プロフィール
川原 秀仁(かわはらひでひと)

街のにぎわいを創生し、建築に様々な役割を与える「施設参謀」として日本全国を飛び回る。事業と建築、和食という一見異なるジャンルの中で、伝統に基づいた本物の技術に着目。無形文化遺産として登録された和食の普及にも公私にわたり努めている。株式会社山下 PMC 取締役会長。

https://www.ypmc.co.jp/