和食STYLE

文化遺産にふさわしい店「この一品」 新・和食めぐり㉛にょろ助 赤坂の鰻重

今回は、皮に焼き目をつけて、バリっと焼き上げた関西風の「鰻重」が、東京でも気軽に食べられる『にょろ助 赤坂』を紹介したい。東京で関西風のうなぎを食べさせる店は、それほど多くない。
長年、関西風のうなぎに親しんできた私からしてみれば、この美味しさを知らずにいるのはもったいない! そして、その味わいの違いからも和食の技法の多様さが感じられるであろう。

関西風のバリっと焼き上げた
「鰻重」が気軽に楽しめる人気店

にょろ助 赤坂
東京都港区赤坂3-16-8 東海アネックスビル 1F
03-5545-6314
https://kiwa-group.co.jp/nyorosuke_akasaka/

私は大のうなぎ好きで、この連載の1回目でも専門店を紹介した。そのときは、焼き上げた後に蒸して調理する、ふわふわ食感が美味しい関東風のうなぎであった。
今回は関西風のバリっと仕上げた「鰻重」をお薦めしたい。一般的に関西風のうなぎは腹開きで、頭を落とさずに焼く。最後にうなぎの頭を落として提供する店もあるが、いずれにしても蒸さずに、脂がたっぷりと乗ったままの状態で焼き上げる。
そのため、皮にはほどよく焦げ目が入っていて、噛み応えのある食感が楽しめるのが特徴。どちらも美味しいのだが、個人的には長年食べて慣れてきた関西風の店を選ぶことが多いかもしれない。

『にょろ助 赤坂』は、そんなうなぎ気分のときに、よく訪れる店のひとつである。東京でも、グイっと弾力とパンチのある味わいの関西風が気軽に食べられて嬉しい限りだ。
近年、値上がりが著しいうなぎだが、『にょろ助 赤坂』は価格が手ごろで、カウンター席からテーブル席、個室のように使える掘りごたつがある小上がりもあり、使い勝手が抜群にいい。席数が多いので予約も取りやすく、気軽に利用できるのも嬉しいポイントとして挙げられる。東京メトロの赤坂駅、赤坂見附駅のどちらからでも歩いて行ける立地の良さも嬉しい。
店を目指して歩いていくと、入り口には「鰻」と書かれた大きな暖簾がかかっていて、インパクト抜群。店内はモダンな和のテイストでまとめられていて、落ち着いた空間となっている。

「鰻重」は、うなぎの蒲焼き1尾が使用されている並、1.5尾の上、2尾の特上がある。特上を頼むと、蒲焼きと白焼きを1尾ずつ食べることもできる。
どのサイズを頼んでも、重箱からはみ出る大きなうなぎが使用されているので、まずはその見た目の迫力に圧倒されるだろう。夜は一品料理もいろいろと揃っているので、「鰻重」は控えめにして、好きなものをオーダーするという手もある。
私は素朴な味わいの骨せんべいが好きなので、焼き上がりを待ちながら、つまんでいることが多い。アルコールもいろいろと揃っているので、ゆっくりとうなぎを味わいながら楽しんでほしい。

プロフィール
川原 秀仁(かわはらひでひと)

街のにぎわいを創生し、建築に様々な役割を与える「施設参謀」として日本全国を飛び回る。事業と建築、和食という一見異なるジャンルの中で、伝統に基づいた本物の技術に着目。無形文化遺産として登録された和食の普及にも公私にわたり努めている。株式会社山下 PMC 取締役会長。

https://www.ypmc.co.jp/