和食STYLE

文化遺産にふさわしい店「この一品」 新・和食めぐり㉘京ばし松輪のアジフライ定食

今回は京橋にあるアジフライの名店『京ばし松輪』を紹介したい。ランチタイムに提供される「アジフライ定食」は70食限定なので、毎日多くの人が行列を作っている。毎回30分は並ぶ覚悟が必要だが、その行列の先には、これまでとは次元の違う絶品のアジフライが待っている。ソースではなく、醤油をたらした、たっぷりの大根おろしに乗せて食べるのが定番である。ぜひ、一度ご賞味あれ!

家庭料理の定番アジフライを
ワンランク上の料理へと昇華させた名店

京ばし松輪
東京都中央区京橋3-6-1 秋葉ビル B1F
03-5524-1280

京橋に店を構える『京ばし松輪』は、昼時ともなると、毎日のように大行列ができる店として知られている。並んでいる人は全員、ランチタイム限定の「アジフライ定食」を目当てにしているのだから、もはや京橋名物といっても過言ではないだろう。
この「アジフライ定食」の価格は1,500円(2022年1月現在)で、その値段を聞くと「アジフライ定食」にしては高いと感じる人がいるかもしれない。しかし、とにかく一度食べてみてほしい。その値段でもなぜ毎日大行列になるのかがわかるはずである。

まず、何より『京ばし松輪』のアジは見るからに美味しそうなサイズ感である 。一見しただけでは違う魚ではないかと勘違いしてしまうほど、ふっくらと厚みのあるアジ2尾が出てくる。そこに薬味としてついてくる山わさびと大根おろしをたっぷりと乗せて、さらに醤油を数滴たらして頬張るのが『京ばし松輪』流。とにかく絶品なので口福を実感してほしい。

フライのサクサク感が絶妙で、そこに薬味の爽やかさが相まって、今までのアジフライの概念を覆す、軽やかなうまみが幸せに変化して口いっぱいに拡がる次元のまったく違う味わいに出会うことができる。美味しさの秘密は、刺身にできる新鮮なアジを独自のルートで仕入れているからなのだそう。
確かにまったく臭みがなくホクホクと仕上がっていて、最初に食べたときは「本当にこれがアジなのだろうか!?」と驚いたほどである。加えて、しっかりと揚げられた骨せんべいも添えられていて、ポリポリとかじれば、合間のいいアクセントになる。

ただし、この「アジフライ定食」は毎日限定70食のみとハードルは高めなので、少なくとも30分は並ぶ覚悟で臨んでほしい。確実に食べたいならば、11時30分開店の一巡目で入れるように11時には並び始めたいところ。お店に入ってしまえばランチメニューはひとつだけなので、すぐに配膳される。
「アジフライ定食」にはご飯と赤だしの味噌汁、大根おろし、小鉢、漬け物がついていて、ご飯と味噌汁、大根おろしは無料でお代わりができる。並ぶかいがあったと思えるランチタイムになるだろう。

プロフィール
川原 秀仁(かわはらひでひと)

街のにぎわいを創生し、建築に様々な役割を与える「施設参謀」として日本全国を飛び回る。事業と建築、和食という一見異なるジャンルの中で、伝統に基づいた本物の技術に着目。無形文化遺産として登録された和食の普及にも公私にわたり努めている。株式会社山下 PMC 代表取締役社長。

https://www.ypmc.co.jp/