和食STYLE

文化遺産にふさわしい店「この一品」 新・和食めぐり㉕銀座 よし澤の鰆の藁焼き

2022年、最初に紹介するのは正統派の懐石料理がいただける『銀座 よし澤』だ。店のスペシャリテとなっているのは、絶妙の火加減で焼き上げられた「鰆の藁焼き」で、藁の香りとジューシーな旨みが堪能できる一品である。
銀座の高級店なので価格はお高めだが、ランチコースを利用すれば比較的リーズナブルに食べられる。新春の特別な集まりにもふさわしい一軒としてお薦め。

香りと旨みが融合した鰆の藁焼きは
店のアイコンとなっている極みの一品

銀座 よし澤
東京都中央区銀座1-13-8 ハビウル銀座ビル B1F
050-3196-8055
https://www.yoshizawa-ginza.com/

2022年の幕開けは、新春の華やいだ気分をより一層盛り上げてくれる高級店を紹介したい。すでにご存じの方も多いかもしれないが、ミシュランガイド東京で何年も連続で星を獲得している『銀座 よし澤』である。
『銀座 よし澤』は本格的な懐石料理の店で、いつ訪れても日本の美しい春夏秋冬を食材から感じさせてくれる絶品料理が楽しめる。その中でも一度食べたら忘れられないのが「鰆の藁焼き」である。
鰆の藁焼き」は『銀座 よし澤』の定番のアイコンとなっている一品で、シンプルな焼き魚の料理ではあるが鰆への火入れが絶妙で職人の技術の高さを体感できる。

香ばしくパリッと焼き上げた皮目に、ジューシーでふくよかな食感を残したままの旨みたっぷりな鰆の身が藁の香りと絡み合って、何段階ものうまみになる。
まず一口頬張ると芳しい藁の焼けた香りがふわり広がり、まったりとした食感の鰆の身の旨みが押し寄せてくる。噛みしめるごとに香りと旨みがミックスされ、深い味わいの余韻が残って後を引く。
添えられたわさびやにんにくとの相性も抜群で、きっとこれまでに食べたことのない鰆の味覚に出会えるはずである。職人が片時も目を離さず丁寧に藁で焼き上げた鰆は、当然ながら家で食べるそれとは大きく一線を画すものだ。日本人ならば、ぜひ一度はこの繊細な味わいを食してもらいたい。

高級店に分類される『銀座 よし澤』での食事は、もちろん決して安いものではないし、銀座でいただく正統派の懐石料理と聞くと敷居が高くて躊躇してしまう人もいるかもしれない。
そういう方は、手始めにお値打ちなランチコースから挑戦してみてはいかがだろうか。ランチであれば、スペシャリテの「鰆の藁焼き」も含まれたコースが1万円以下で味わえる。
夜のコースと比べても見劣りする料理はなく極上の世界が広がる。銀座の高級店の入り口として考えるならば、ランチコースのコストパフォーマンスは最高である。
少し贅沢を味わいたい日や誕生日等の記念日に訪れても、きっと高い満足度が得られるに違いない。2022年、最初にトライしてもらいたいお薦めの一軒である。

プロフィール
川原 秀仁(かわはらひでひと)

街のにぎわいを創生し、建築に様々な役割を与える「施設参謀」として日本全国を飛び回る。事業と建築、和食という一見異なるジャンルの中で、伝統に基づいた本物の技術に着目。無形文化遺産として登録された和食の普及にも公私にわたり努めている。株式会社山下 PMC 代表取締役社長。

https://www.ypmc.co.jp/