和食STYLE

文化遺産にふさわしい店・この一品 新・和食めぐり②一徹の「トリュフ土鍋ご飯」

今回紹介するのは、隅田川にかかる永代橋のたもとにひっそりとたたずむ創作料理の店。日本料理の名店で鍛えた技を土台とし、和食のセオリーを大胆にアレンジした料理が人気を集めている。東京の台所、豊洲市場にも近いため、毎日日本全国から集められた旬の魚介類が堪能できる。しかし、今回の本命は「トリュフ土鍋ご飯」。一度食べたら忘れられない芳醇な味わいが絶品と評判だ。

確かな日本料理の技に支えられた
コスパ最高の「トリュフ土鍋ご飯」

一徹
東京都江東区永代1-2-5 ヴィヴアンセードル永代橋1F
http://ittetsu.tokyo/

今回は、東京都江東区永代にある『一徹』を紹介したい。東京メトロ、または都営大江戸線の門前仲町駅から徒歩8分、東京メトロ茅場町駅から徒歩11分。茅場町駅から歩くと川沿いの柳の並木に風情があり、都心部なのに、まるで郊外にあるお宅の離れに伺ったような感覚になる。東京の料理屋の女将さんらしいちゃきちゃきとした小気味の良い接客も気持ちよく、いつ訪れても、多くの人が笑顔で食事を楽しんでいる人気店だ。 魚河岸に近いからか、いつでも新鮮な魚介類が数多く揃っている。特にお造りは新鮮で、季節ごとにメニューが変わるので、いつ訪れても旬の海の幸を味わうことができる。しかし、数多くの魚介類のメニューが並ぶ中、実は絶対に外してはいけない食べるべき「この一品」は「トリュフの土鍋ごはん」だ。『一徹』では、他所の店では見かけない食材が組み合わせや、ご主人のインスピレーションから生まれた常識にとらわれないユニークな料理がずらりと並ぶ。一見すると、あれもこれも盛り込んだ創作料理に見えるが、それなのに基本に忠実な王道の味わいで、食べれば料理人の腕の確かさが感じられるはずだ。創作の裏には、確かさに裏打ちされた日本料理の技術が光っている。聞くとご主人は「麻布 かどわき」の出身で、名店仕込みの「トリュフの土鍋ごはん」のクオリティの高さにも納得がいく。

大きな土鍋には、ご飯が見えないほどたっぷりとトリュフがスライスされている。まず一膳目はそのままで。存分にトリュフの香りを堪能したら、二膳目は添えられている溶き玉子をよく混ぜ合わせて、ふわりと海苔をひとつまみ。コクとまろやかな食感が加味されて、トリュフの豊かな風味が一層際立つのがわかるはずだ。食べきれなかった分はお土産も可能。 トリュフがたっぷり入っているので、もちろん安価ではないが、他店の同様の料理に比べるとコストパフォーマンスはかなり高い。そのためトリュフが高値で取引されている時期には、この絶品の「トリュフの土鍋ごはん」食べることはできない。確実に食べたいならば、予約の際に確認を。

プロフィール
川原 秀仁(かわはらひでひと)

街のにぎわいを創生し、建築に様々な役割を与える「施設参謀」として日本全国を飛び回る。事業と建築、和食という一見異なるジャンルの中で、伝統に基づいた本物の技術に着目。無形文化遺産として登録された和食の普及にも公私にわたり努めている。株式会社山下 PMC 代表取締役社長。

https://www.ypmc.co.jp/