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菅原佳己のGOTO GoTo-chi ⑮☆祝認定☆ 5月11日は『ご当地スーパーの日』。 ご当地スーパーの魅力を発信し続ける菅原佳己さんに聞く、ご当地スーパー「へぇ~!」なあれこれ。

ライター M子
ライター M子

賢い旅人はお土産物屋さんよりご当地スーパーへ! そんなムーブメントの火付け役といえばテレビや雑誌で活躍中のスーパーマーケット研究家の菅原佳己さん。 調味料やご当地のお菓子はもちろん、デリコーナーのお惣菜、調理器具までその土地で愛されているものが、実は他県民からするととても見新しいものという発掘の楽しさを伝えつづけています。そんな菅原さんが代表を務める一般社団法人「全国ご当地スーパー協会」より5月11日(5ご11とうち)が」「ご当地スーパーの日」と認定されたというお知らせが! なんともおめでたいこの機会にご当地スーパーの魅力について菅原さんにお聞きしました。また特集の最後には、この「ご当地スーパーの日」認定を記念して全国のご当地スーパーの偏愛商品やグルメ、隠れた魅力などをSNSを通じたイベントの詳細も!

Q1ご当地スーパーにハマったきっかけは?

30年前、結婚したときに夫の勤務先が愛知県豊田市だったので、東京育ちの私が25歳で初めて、三河の濃厚な豆味噌文化や愛知特有の食文化にびっくりしたのがきっかけです。近所の「ヤマナカ」(名古屋市内店舗数ナンバーワンご当地スーパー)に行ったときに、関東でよく見る丸い醤油せんべいがないのに、えびせんばっかり20種ぐらいある偏った品揃えに違和感! そしてフードコートには必ず「スガキヤラーメン」あり、豊田市あたりでは郷土料理の「五平餅」がアメリカンドッグと同じ保温ケースに入っていたりして。 その後、車好きの夫率いる家族旅行で日本各地へ。主婦としては帰りぎわに旅先の「知らないけれどワイワイとにぎわっているスーパー」に立ち寄って翌日の朝食の食材、パンや牛乳なんかを仕入れるうちに、各地にも見たことないものがたくさんあることにはっきりと気づきました。「違和感」が「ご当地感」、「知らないけれどワイワイとにぎわっているスーパー」が「ご当地スーパー」だと認識したのです。

Q2印象深い店舗や商品、魅力的な店員さんは?

まるで宇宙人の死体⁉ 印象深い商品は、博多でお盆のシーズンに売られる「たらおさ」呼ばれる、たらのエラから胃までつながったまま干したもの。丸のまま魚売り場にぶら下がっているのを見たときに、宇宙人の死体を見たんじゃないかというくらいの謎と恐怖を感じました。 じつは北海道でつくられた棒鱈の捨てる部分を活用したもので、「たらおさ」は博多の一部と大分の日田地方のお盆のおふくろの味。3日ぐらい手間暇かけて水で戻して甘辛く煮付けて食べる郷土食。水で戻して煮付けても、見かけはずっと怖いままなんですが、味は高級な棒鱈の煮物そのもの。「世の中には、まだまだ知らない食べ物があるんだなぁ」と。今までの中で一番の第一次接近遭遇が忘れられないもの。

クセ強めのスーパーは飛騨高山にあり 岐阜県飛騨高山の「駿河屋」と「ファミリーストアさとう」 とにかく飛騨高山は食のくせがすごい。冬に保存中に凍った漬物を炒めたのがはじまりという「漬物ステーキ」や、昔はイカの刺身が手に入らなかったからと貴重だった「生食用の煮いか」など、不便が生んだ郷土の味が独特なんです。

飛騨なのに「駿河屋」という名は、創業者が少年時代に家を飛び出し、たどりついた先で行き倒れかけたときに助けてもらい、奉公させてもらったのが、静岡の魚介を扱う商店だったことに因みます。奉公を終え、地元飛騨に戻り、魚屋「魚一(うおいち)」を開いたのが始まりで、今も社名は「駿河屋魚一」。魚には定評あり、とりわけ、飛騨の年末を〆るのに欠かせない味「塩ぶり」は、駿河屋特製で作り方は社長含めて社内で3人しか知らない秘伝となっています。年末の数日間のみの売り出しで全部売り切れる人気です。

同じ飛騨の「ファミリーストアさとう」は、今でこそスーパーの通販が多くなりましたが、12年前からオンラインショップを開設し、地元の豆腐一丁から地方に発送することをはじめていた、ご当地スーパーオンラインショップの先駆けと言えるスーパーです。「あげづけ」がテレビで紹介されるとサーバーダウンしたスーパーがここです。今ではサーバー、強化されました。 飛騨特有の食文化は、他県に住む飛騨出身者には手に入らない恋しい味だったので、そんな人たちに飛騨の味を届けたいと手探りで開始。当初は人件費ばかりかさみ赤字だったそうですが、現在は年に数回行われる地域の食イベント「#おうちで飛騨の味まつり」を中心となって盛り上げ、普段のファミリーストアさとうでは買えない飛騨の味を同じさとうのネットショップを通して入手できるので、ファンも楽しみにしています。次は6月の10日から開催だそうで、私も今から楽しみなんです。

京都の女神さまがいるお菓子売り場 京都に一軒だけしかないご当地スーパー「フレンドフーズ下鴨店」は、味にうるさい京都の人からも信頼されている、日本中の高品質で美味しいものが並ぶ店。もちろん、京都には歴史ある品質のよいものがたくさんあるため、地元メーカーのこだわりの商品も必然的に多くなります。 この店の方はみなさん自分の担当する商品に対し熱心で感心するのですが、とくにお菓子ご担当の高橋さんという女性にまた会いたいなと。私が1聞くと10の回答として、その商品のよさを教えてくれるので、ついついたくさんのお菓子を買ってしまう高橋マジックにかかりました。でもこちらも楽しかったんです。とても美しいのに写真NGと言われており、写真なしですが、京都のお菓子売り場の女神様です。

Q3これまでの出演の番組とそのエピソードをいくつか教えて

今や好感度ナンバーワンのMCさん秘話 一番最初に出演させていただいたテレビ番組が当時住んでいた名古屋のテレビ局CBCの「花咲かタイムズ」です。その時うちにまでロケに来てくれてご当地スーパーやご当地食の魅力を引き出してくれたレポーターが、当時CBCアナウンサーの石井亮次さんでした。そうです!私のご当地スーパーの説明を聞いた石井さんが「まさにFOODが風土をつくっているんですね!」といった名言も飛び出したり!あの名古屋発信の情報番組「ゴゴスマ」のMCで昨年独立されフリーとなった超売れっ子の石井さん。少ない人数でのロケなので、スタッフに代わって雑用もにこやかにこなし「人として素敵な人だな」と思っていたら、今じゃもう「人気MC投票で1位」を獲得するように。

マツコさんの「おいしい♡」一言でサーバーがダウン! そしてやっぱり2012年、本出版のおりに出演した「マツコの知らない世界」。前出のファミリーストアさとうのあげづけ紹介をして、さとうのサーバーがダウン。飛騨の豆腐店のつくる日常食が全国に知れ渡った歴史的瞬間を目の当たりにしました。

Q4ご当地スーパー探検の醍醐味は?

知らない食と出会えること。ネットの書き込みやトラベルマップ頼りで飲食店に行って「美味しい不味い」と評価するより、ご当地スーパーを訪ねて、自分の知らない文化を知るほうがアカデミックだと思うのです。ご当地学という学問があるならば、フィールドワークは「食べ方がわからないものなど、お店の人や地元のお客さんに聞いたりして、トライするとき」。舌よりも脳が喜ぶのを感じてください。 沖縄県石垣島の知念商会で出会った地元のわんぱくっこたちが大好きな“オニササ”。手作りのおにぎりとささみのフライをビニール袋の中でむぎゅむぎゅとドッキングさせてソースやマヨネーズなど好きな味をダイナミックにかけて食べるご当地スーパー発祥の風土食です。具とおにぎり、ソース類の組み合わせは無限大、お店の方に指南を受けて楽しみながら作って味わってみてください。

Q5どんなスーパーにピン!ときますか?掘り出し物のある売り場は?発掘攻略法など

入口をはいったときに清々しい空気が流れているスーパー、古くても掃除の行き届いているスーパーに吸い込まれます。また店内でワゴンセールされているような目玉商品には、地元のソウルフード的存在のものが多いんです。地元客がワイワイとこぞって買うもの、とにかくマネをしてカートに入れてください。青森のおかずの定番「カネカメ中村のしょうゆこんぶ」もそうやって出会いました。

Q6ご当地の日を記念して何かイベントがあれば教えてください

5/11に全国の人気ご当地スーパーの社長さんなどが参加する「ご当地スーパーの日記念!ご当地スーパー大リモート集会」が行われます。各社の自慢の商品などを知ることができます。この様子はYouTubeで公開しますのでお楽しみに。 また、ご当地スーパーファンにも参加していただけるようなSNSをつかったフォトコンテストなども企画中なので、全国ご当地スーパー協会のFBやインスタでお知らせしていきます。

全国ご当地スーパー協会のHPでは菅原さんがおすすめするスーパーのネットショップの情報も充実! 公式HP
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スーパーマーケット 研究家 菅原佳己
菅原佳己
(すがわらよしみ)

スーパーマーケット研究家。一般社団法人「全国ご当地スーパー協会」代表理事。 大学卒業後、放送作家としてバブル時代を彩る伝説のバラエティ番組を数多く担当。結婚後ご主人の転勤先の地方スーパーに出会い、その土地の日常食はほかの地域では非日常の魅惑の味であることを発見。持ち前の探求心と好奇心で、お土産屋さんでは出会えない魅力あふれるご当地スーパーの逸品を日々研究。執筆やテレビ出演、講演活動など広いフィールドでご当地スーパーの魅力を伝えている。
菅原佳己オフィシャルサイト
https://www.gotouchisuper.online/
「全国ご当地スーパー協会」
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