子育てに追われる中、
いつの間にか鮨といえば=「子連れOKな回転寿司」となってしまっているママも多いはず。
でもその間に、今東京の鮨事情が変わり始めています。
カジュアルに楽しめて、それでいて最高に刺激的な非日常が味わえる今どきの高級鮨。
〝鮨活〟を日々の原動力にしてみませんか!?
さながらの空間で本格鮨を楽しむ
「アートギャラリーにある鮨屋」がコンセプトの一軒は、店内の作品が数カ月に一度入れ替わる。弱冠34歳の大将の宇田津久氏による独創的なハーブを使ったつまみやスペシャリティ、まぐろのスモークは必食!
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【 DATA 】おまかせコース¥20,000、¥30,000。
目黒区上目黒2-48-10
☎050-3550-5938
私たちが知らない間に鮨バブルが!
少なくとも東京オリンピック開催の2020年までは続くと言われる鮨バブル。
単価が上がり、予約も取りづらい…でもその分、いまいっそう私たちに特別な
非日常を体験させてくれるのが〝鮨〟なんです。
読者緊急調査高級鮨、何年行ってない…!?
半数以上が「出産後、一度も高級鮨に行っていない」、「回転寿司ばかりで5年以上ご無沙汰」という結果に。多くの高級鮨店が子連れNG(12歳や16歳以上限定)であることを考えると当然ともいえる数字ですが、その間にお鮨事情は大きく変わってきています!
「東京は今、鮨バブル絶頂!
その分、新名店も増えています」
現在予約困難店といわれるお店はおまかせコースで3万円がスタンダードで、10年前には考えられなかった水準のまさに〝鮨バブル〟。予約回転制の店にグルメなセレブが17時にきっちり集合してくる様を見ると、わがままな人たちも人気の鮨店は体験したいのだなと(笑)。貸切り予約しSNSで仲間を集うスタイルも増え、取りづらさを助長しているかもしれません。この数年、若手職人の独立も相次ぎ、幅広いエリアに高級鮨店が登場。中にはサーファーなどキャラの立った40歳前後の大将もいて、VERY世代の方は、同年代のお店に通いともに歳を重ねる楽しみもあると思います。 僕のおすすめは『鮓 村瀬』。西麻布という艶っぽい立地に『すし匠』の流れをくむ仕事の確かさ。カウンターの舞台感や他のお客さんの雰囲気もダイレクトに感じられ、たまの贅沢を実感できるはずです。
- 最新号は「大人な1ヶ月の過ごし方」がテーマ。最旬レストランを舞台に艶やかな男女4人の物語を軸に「モア充」な日々を提案。741円+税(東京カレンダー)
食通読者たちは、「鮨活」始めてた!
新たに開拓した店が徐々に
人気店になっていくのも楽しい!
- 河村真弓さん投資家
「ネタもシャリも店で違うのが面白くて新規開拓も楽しい。今お気に入りは光り物が美味しい『銀座 あらた』。リピートしてもメニューが替わるので飽きず、徐々に予約困難に!」
接待とご褒美。絶対に外したくない
一食はやっぱりお鮨が鉄板です
- 荻野綾子さん広告代理店勤務
「評判の店ならハズれない安定感で、仕事の接待と自分へのご褒美、どちらも絶対裏切られないのがお鮨。熟成鮨の『すし キムラ』のイクラの握りは一度食べたら夢に出ます(笑)」
遠くても行く価値のある店で
山手線外も開拓中!
- 青山みずきさんスタートアップ支援会社勤務
「凛とした空気で味わう一貫一貫の感激は、他の飲食店にない非日常の体験。築地の仲買経験もある魚マニアの大将が握る三鷹の『さき田』は、遠くても一人でも通ってしまいます」
子連れでもホテルで
2カ月に一度、本格〝鮨活〟が定番!
- 渡辺由香さんELENDEEK
クリエイティブディレクター
「ニューオータニの『銀座 久兵衛』は子連れで行ける座敷カウンターがあり、職人さんと お話をしながら日本酒を。子どもと一緒でも本格的なお鮨が食べられるのが嬉しい!」
どんなに先でも次回の予約が
日々の生活の原動力になります
- 和田彩加さん『わだ家 別邸』代表
「友人とより、食の好みが合う人とお鮨を堪能しに行く感じで、もはや趣味! 予約2年待ちの四谷の『三谷』はペアリングも秀逸。遥か先の予約でも次回を楽しみに生きてます」
いまどき高級鮨って、じつは親しみやす♥
貴重な一席の争奪戦に勝ち抜けば、あとは座ってただ身を委ねればOK♥
ひと昔のように難しい作法に気後れすることなく、気軽に楽しめる鮨が増えています。
一度行ったらその場で次回の予約が取れる店も多いので、まずは諦めずに門を叩いて。
ブームを牽引しているのはVERY世代が握る若いお店!
映えなヴィトンのネタケースも目印
エルメスのハチマキがトレードマークの大将、安田尚充氏は39歳。ココのこだわりは毎日大量に揃う極上ウニ。ここまで種類のある店はほかにないと言ってよく、ウニの食べ比べは至福♡ 世界から高級ウニを求めて客が訪れるため、予約できれば超ラッキー。おまかせコースのみで圧巻の26品を展開。
目黒区青葉台1-28-2 ☎03-3712-6999
コース中盤にウニの箱を並べる〝ウニパーティ〟のハイライトが!「時期により、おつまみと握り、丼などウニ三昧もできますが、もちろんウニだけじゃありません。僕個人が一番好きなのはコハダ(笑)」と安田氏。マグロやおつまみも絶品、ビジュアルだけじゃありません!
齋藤氏がプロデュース!
『鮨 さいとう』で研鑽を積んだ大将の丸山真琴氏は44歳。仕入れ先も同じ『鮨 さいとう』から、素材を大事にする丁寧な仕事ぶりを受け継ぎ、昨年のオープン以来すでに予約困難に。「緊張したら美味しく感じられないから、召し上がっていただきたい」と笑顔で接客してくれる懐ろの深さも魅力!
目黒区東山1-21-26 ☎03-6451-0903
さっぱりした柚子がけのイクラから始まるこの日のコースは、おつまみ6品と握り11貫。お客さんの到着に合わせて炊き上げるシャリは古米を使い、赤酢と塩のみという『鮨 さいとう』流。少し温かいシャリのコハダもマグロも、ひと口頰張っただけで素材と仕事の良さがわかります。
10年前と変わってる!?鮨の新常識◎
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1.シャリが白くない最近多くの人気店で常識になりつつあるのが、赤酢を効かせた「白くないシャリ」。極上ウニもこの赤シャリだからこそ、深いコクを受け止められるんだとか。
(写真:鮨 尚充) -
2.醤油皿がないあらかじめ刷毛で醤油が塗られたり塩が振られ、「そのままでどうぞ」と供されるスタイルが主流に。そのためカウンター上には醤油皿自体がないことも多い。
(写真:鮨 尚充) -
3.ペアリング専門のソムリエがいたり、鮨とのお酒のペアリングを提案する鮨店が増加。ワインや日本酒だけでなくシャンパン、ウイスキー…。中には持ち込み可の店も。
(写真:鮨 尚充) -
4.握り手渡し置かない前提でごく軽めに握るためという説と、すぐに食べて欲しいから手渡しという場合も。ごく軽く握ったフワフワ蟹も崩れないうちにどうぞ!
(写真:鮨 尚充)
〝おまかせコース〟一本が主流なので座ってるだけでいい!
型にハマらない女性好きするコース
握りとつまみのコース¥17,000のみ。銀座という立地と内容にしてこの価格とあり、グルメたちが隠れて通う店。大将の新妻賢二氏は旬の素材とそのとき一番いいものだけでコースを構成するといい、毎日通っても違うものが食べられます。「鮨屋のありきたりなつまみではないものを」と野菜を駆使し、女性客に好評。焼酎、泡盛、さらにはウイスキーまで揃います。
おまかせコース¥17,000。
中央区銀座4-10-1 HOLON-GINZA9F ☎03-6228-4960
手渡しで出される噴火湾の毛ガニの握りは、ふわふわのカニが口に入れた瞬間に柔らかくほどけてうっとり。揚げナスとイチジクのおつまみなど手の込んだ一品も楽しみ。「牡蠣もフライにしたり、柔軟にお出しします」と、リクエストでワガママも聞いてもらえます♡
銀座の超予約困難店
つまみと握りのコースではなく、鮨のみで30貫! でも、飽きず食べられる細やかな仕事ぶり。マグロに負けないシャリを追求し生み出された赤酢の酢飯は大将、佐藤博之氏の代名詞。メニュー中盤に極上マグロが5貫続き、クレームブリュレといわれるキャラメリゼした〝玉〟で至福の締め!
大将¥30,000(+サービス料10%)。
中央区銀座6-7-6 ラペビル3F ☎03-6280-6555
マグロの美味しさは言わずもがな。珍しい鮟肝の握りや、この金目鯛柚庵漬も美しき絶品! 上品な香りと旨みは、予約できた人だけの贅沢♡ 別名クレームブリュレまで、最後まで飽きさせない構成はさすがです。常連で埋まる大将のカウンターですが、ぜひ諦めないで連絡してみて!
子連れでも参戦可能! ホテルに名店オープンが続々
要予約でベビーカー入店可能!
六本木の名店『蔵六雄山』の支店として、今年満を持してオープンした一軒は、予約すればカウンターと4席の個室でキッズの受け入れ可能なのが嬉しい! 支店を取り仕切る佐伯真生氏によれば、「マグロの熟成に研究を重ねており、鮨・つまみ、それぞれに合うものを提供しています」。
千代田区平河町2-16-15 ザ・キタノホテル東京B1
☎03-6256-9909
メニューは六本木とほぼ同じ。まだ平河町のほうが予約が取りやすく狙い目! 表裏に丁寧に包丁を入れた柔らかなアオリイカ×バフンウニの〝イカウニ〟は、誰もが悶絶するというここの名物。シャリは赤酢が基本。大トロは1週間寝かせ熟成させ、玉ねぎ醤油をのせるなどまるで高級肉のよう。
二つ星の味を子どもと一緒に♡
ミシュラン二つ星シェフ増田励氏が監修し今年春にオープン。プライベートカウンター、プライベート個室でキッズの受け入れ可能。豊洲市場で料理長・山口将司氏自ら仕入れる最高の素材と、最高の日本酒ラインナップが揃うのもウリで、江戸前寿司とのペアリングを優雅なホテル空間で楽しめます。
にぎりコース(昼)¥18,000(+サービス料15%)
千代田区有楽町1-8-1 ザ・ペニンシュラ東京4F ☎03-6270-2990
本店の大将から継承した技術で、魚の香りと味を最大限に生かす仕込みを。「和食の基本として良い食材を入れ、寝かせるなど〝引き算〟で勝負」。『銀座 すきやばし次郎』の流れをくむ玉子焼きも楽しみ。
撮影/前田 晃〈MAETTICO〉(人物、静物)、八木竜馬(その他取材) スタイリング/桑代 愛
ヘア・メーク/サユリ(nude.) モデル/牧野紗弥 取材・文/有馬美穂 編集/引田沙羅
VERY 2019年11月号より