とんかつ3名士 河田部長のとんかつひとり旅㊹ epais(大阪・北新地)
epais(エペ)は大阪のとんかつにおける最近の流れの先駆者的な一軒と言えるかもしれません。2013 年に創業し、吹田市や梅田阪神百貨店にも系列店を展開しています。北新地のクラブやバーが集まっている地域の飲食ビルの中にあります。予約が望ましいようなので予約して出かけました。入口はとんかつ店というよりはバーか隠れ家レストランのようです。店名のえ épais は分厚いという意味のフランス語からとっているようです。
店内に入ると女性がコックコートを着て作業しており、サービスもフレンチの給仕人のような服装です。コックコートのシェフ、水谷麻里さんは以前バーを経営していて、その時にカツサンドが評判だったことからとんかつに転身したそうです。バーデンダーコンテストの表彰状が飾ってあり、カウンター後ろの棚にはウイスキーなどのボトルが並んでいます。
ドレッシングが大葉のモヒートというのもバーの出自を思わせます。メニューには数種類の銘柄豚が用意されています。訪問した日は茶美豚、TOKYO X、山形豚、信州太郎ぽーくなどでした。信州太郎ぽーくのロースカツとヘレカツの定食を選択しました。
信州太郎ぽーくは長野県上田市のタローファームが飼育している豚で、180 日肥育メス子豚は épais だけに出荷しているそうです。
こちらもラードを低温でじっくり揚げていきます。断面を上にする盛り付けは大阪を中心に広がっていますが、こちらは早い時期から採り入れていました。店名の通り分厚く、肉汁をたっぷり含んでいます。厚くても歯ですっと切れます。ポルチーニ茸の塩をつけて食べると旨みが引き出されます。ご飯、キャベツ、味噌汁も高水準でした。食後のバニラアイスにアップルシナモンソースをかけたデザートも秀逸でした。 洗練されたとんかつを味わいたいということであれば、こちらがお勧めです。
お勧めポイント
● 洗練されたスタイルのとんかつ
● バー出身でアルコールに合わせることも可能
大手証券会社の調査業務に携わる傍らでグルメアナリストとしても活躍。さまざまな料理を食べ歩き、著書『ラーメンの経済学』(KADOKAWA)で話題に。料理の背景や素材、流通に至るまで、幅広い視点での鋭い洞察が特徴。