和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第五三回 鮨源 帝国ホテル店

第五三回 鮨源 帝国ホテル店

馴染みの客にならないと辛い

知人がバイトしてるというので行かなきゃと思っていたところ、仕事で帝国ホテルにいたので予約せずに突撃! テーブル席でよければと入れてくれましたが、開店直後で誰もいない状況ではじめましての客には相当なアウェー感。テーブル席なのでメニューから選ぶしかないなぁ、カウンター、16席もあるんだからひとりくらい入れそうなのにと心の中でブツブツ。メニューは握り(松:9貫+巻物3個+玉で7,600円、竹:11貫+巻物3個+玉で 10,800円、梅:13貫+巻物 3 個+玉で 13,300円)やちらし(松:7,600円、竹:10,800円、梅:13,300円)、お刺身盛り合わせ(桜:5,700円、梅:8,300円)という感じでめちゃ高いじゃん! これはホテル価格なのでしょうか?

つまみもほとんど 3,000 円超え。ひとりでつまみと握りのお好みにしたらかなりの金額になるはず。いやいや、ここでそれはあり得ん!とつまみ 2 品と握り7貫+巻物3個+玉+味噌汁+デザートという椿コース10,800円をオーダー。いつものように麦焼酎ソーダ割りを頼んで待つこと5分。まずおつまみが登場。
スタッフのお姉さん、感じは非常に良いのですが料理の説明は一切ないんです。どうやら鯛の皮の湯引きに刻んだ香味野菜と出汁のジュレということが食べてわかるという…。これどうなんでしょうか。

続いてはお刺身盛り。これもまた説明してくれないので確かではありませんが、水蛸、甘海老、鮪、カンパチ…のはず。新鮮がウリらしいがカンパチはちょっと魚臭い。開店から30分経つけどまだカウンターには誰も座っておらず、付け場にいる3人は全員黙ってお仕事されているのでこのシーンとした妙な緊張感、マジなんとかしてほしいなぁ。そしてきました、どどど〜んと握りの盛り合わせ。もちろんタネの説明はありません。握りの前にはおしぼりを変えてくれるし、お酒がなくなりそうならメニューを持ってきてくれるし、言葉遣いも丁寧で接客態度は素晴らしいのに何故? ま、見ればわかるタネなので聞くのは諦めて日本酒にチェンジ!しようとメニューを見ると、冷酒は4種類のみで1合 1,200円か2合 2,400円ってきっちり倍なんだ。お燗と常温は黒鷹本醸造のみ。焼酎も 960円均一で芋、麦、米が各1種のみって居酒屋チェーンみたいだな。

そうそう、握りでびっくりしたのが煮切りはタネの上に塗ってなくて、醤油皿に醤油を入れてつけて食べるんです。つまり握りをひっくり返してタネに醤油をつけるってことだよねと理解する。どうする? ガリを醤油に浸し、刷毛代わりにしてチョンチョンとタネの上につけることで解決。すると次のどうする?が。食べる順番に迷うんです。この場合好きなものから食べれば良いんだろうけど、久々のシチュエーションに狼狽えてしまう。カウンターで出してくれる順番ってちゃんと考えられているんだと気づかせてくれてありがとう。酢飯はやわらかめ。ちょっとねちょっとしているけど酢の加減はいい。タネは寒鰤といくらはイケるけど他は…、う〜ん。あ、穴子は炭火の香りがしっかりついて煮詰めも爽やかな甘みでおいしい。そういえば食べているうちに酢飯がカピっとしてきました。なるほど、最後まで持たせるため、ねちょっとやわらかめにしてあったんだ。

でも大穴の存在があったんです。お味噌汁がなんとアラ出汁でめっちゃくちゃおいしい! ただものすごい量なんです。おいしいから飲み干したけど、結構お腹タプタプです。そして、最後の最後にたまげたのがデザート。「あんみつ」なんだけど黒蜜無しっていう。黒蜜ってただ甘いだけじゃなく、アイス、あんこ、寒天を繋ぐ重要な役割だって気づかせてくれてありがとう。本日のお会計、麦のソーダ割り、日本酒1合、椿コースで12,960円。握りはお皿盛りだとお酒が進まないと気づかせてくれてありがとう。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★
ロケーション&設え ★★
サービス ★★★
のどの渇き度 ★★★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。