和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第五一回 築地すしくろ 銀座インズ店

第五一回 築地すしくろ 銀座インズ店

本格派つまみと握りでこの価格に大満足!

JR有楽町駅から徒歩1分、地下鉄なら直結の「銀座インズ1」に1/13にオープンした「築地すしくろ銀座インズ店」。できたてほやほやってことで行ったんですけど、これが思わぬ拾い物だったのです。扉を開けると仕切りを挟んでカウンターが左右にあり右側は4人くらいの半個室っぽくなっていて、左側がメインのカウンターで奥に向かって広がっていて15-6席あったかな。カウンターの先にはテーブル席が30席くらいあって、全体的には厨房をコの字に囲んでいる感じの造りです。

ここは創業100年の「築地玉寿司」グループの中でも海鮮メニューにフィーチャーする新業態で横浜ジョイナスの中に1号店があるそう。確かにつまみだけでメニューが1冊あって、「刺身盛り合わせ」「旬のなめろう」などの定番料理から「秘伝のたれ づけ鮪」「手こねさつま揚げ」「海の幸チーズグラタン」とか子供も大人も喜びそうなラインナップ。「サーモンハラス」は皮パリッパリ、身はホワホワでお酒が進む!

絶対に食べて!と言われた銀座店限定の「鮪かま焼き」は骨と身の間の脂がとろりんで骨周りの身もマジおいしい! 鮪なので罪悪感ないし、胃もたれもしない。素材も良いのかもしれませんが、お鮨屋さんには珍しく付け場の奥に厨房があり、裏方の仕事が丸見え。焼物は焼き台で丁寧に焼き熱々で提供できるし、つまみもできるだけオーダーが入ってから調理しているのでおいしいのかも。

握りはこれまたメニューが1冊になるほど豊富で(と言うか限りなくできるみたい)、「七福にぎり」「築地まぐろにぎり」などのセットメニュー、「海鮮丼」「ちらし」「巻物」「挟み巻」、「にぎり」は1貫からと選びたい放題。この「のどぐろ焼き挟み巻」は脂ののった熱々ののどぐろと酢飯とパリパリの海苔の組み合わせがたまらない。焼物がおいしいので「炙りづくし」ってセットを頼んでみたんですけど、穴子の煮詰めは甘すぎず、大トロには甘め醤油の大根おろしをのせてたりしていい感じ。酢飯は寿司下駄に全部のせてから提供されるのでちょびっとカピってるものもあるけど、タネを邪魔しない酢加減で悪くない。

高級鮨店には出てこないような「変わり鮨」もあって楽しいし、チェーン店とは思えないレベルの味っていうのは料理人歴50年っていう大ベテランがいるからでしょうか。普通、この価格の、しかも駅ビルは握り歴数年っていう料理人がほとんどだけどこちらは若手の横でレジェンド級の握り手がいる、しかも店長は中堅どころっていう人事が功を奏している気がします。接客も「いらっしゃいませっ」「おいしいいただきましたっ」と全員で威勢の良い声が飛び交うし、お酒がなくなりそうだとすかさず来る。説明も的確。好きなものを好きなだけ食べて飲めて、おひとりさまから家族もグループも、なんなら気取りない接待までいけちゃう、おまけに駅直結って至れり尽くせり、チェーン店の良いお手本って感じです。本日のお会計、濃い目グレープフルーツサワー、日本酒3合、つまみ4品、握り6貫、巻物で11,528円。そうそう、半個室では「鮨にぎり体験コース」 っていうのもやってるそう。こりゃ、インバンドに限らず流行りそう!

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★★★
ロケーション&設え ★★★
サービス ★★★★
のどの渇き度 ★★★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。