和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第四七回 鮨みうら

第四七回 鮨みうら

移転して行きつけにしたいお店にレベルアップ!

麻布十番にあった時は正直ピンとこなくて1度行ったきりにしちゃった「鮨みうら」。
でも移転のお知らせを頂戴して、なぜか「行かなきゃ」って思ったんです。そこにタイミング良くお友達からお誘いがあり、一緒に行くことにしました。赤坂駅から歩くこと7〜8分。最後に「え、ここ入るの? この先にお店があるとは思えない」くらい真っ暗な小径を進めとGoogle mapが言うわけ。でも足元に「鮨みうら」の行燈があるので安心して入っていくと、ちゃんとお店がありました。こうなるとこのアプローチ、素敵!と思えるから不思議。

そんなんで中へ入ると L 字カウンター8 席のちょうどいい感じの広さ。早速いつものように麦焼酎ソーダ割からスタートします。こちらはつまみが先に出て握りになるスタイル。はじめが真鱈の白子です。「うげっ、白トリュフかけちゃうんだ」。やみくもトリュフかけにアンチな私としてはちょっと萎えたんですが、食べてみるとこれがおいしいのなんのって! 餡もトリュフ風味だからかもしれませんがすっごく合うんです。

いきなりごきげん良くなったところに「あん肝」が登場。これは日本酒ですなとスイッチすると、お猪口コレクションが素敵すぎました。パンダがフチにぶる下がってたり、寝てたりのパンダシリーズや、中からシロクマが出ようしていたりのキャラクターシリーズ、もちろん正統派の切子や陶磁器もありまして、お友達とキャーキャーしちゃいました。と、そこに次なる「香箱蟹」が。まだほかほかと温かい蟹、サイコーです。

蟹の後は寒鰤、甘鯛蕪蒸し、鰆の幽庵焼きと好きなタイプでしかもおいしいつまみが続き気分があがり切ったところで握りが始まりました。1 貫目は「松川鰈」。えんがわを中に忍ばせたそうで、シコシコの食感がマジうまっ! 酢飯は赤酢と米酢をブレンドしているとのことで硬さとほぐれ方はマイタイプ! 本当に十番のお店はおいしいかったような…ってくらい印象が薄いのです。めちゃレベルアップしてるんだけど。

4巻目にして大間の鮪中トロです。やばい、溶けた。カワハギは上に肝をのせ、ボタンエビもミソを上にのせ、どちらも肝っていいよねと思わせる。特にボタンエビはとろとろなのに歯応えはしっかりあってびっくり。三浦さんの包丁の入 れ方がすごいんです。あとで分かったのですが19歳から13年、「赤坂菊乃井」で働いていたんだそう。そりゃ、素晴らしいに決まってます。最後のお味噌汁もめためたおいしい。それにしても麻布十番ではなぜ行かなくてもいいやと思ったんだろう。とは言え三浦さんに聞くわけにもいかないし、もうそれは無かったことにして、まだ予約取れるしこれから行きつけにしたいと思います。本日のお会計、麦焼酎ソーダ割1杯、日本酒4合、つまみ7品に握り11貫、追加で干瓢巻きで30,000円でした。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★★★
ロケーション&設え ★★★★
サービス ★★★★
のどの渇き度 ★★★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。